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雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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高城山でのキノコ狩り その7 (ブナ帯でのキノコ狩りは、毒茸のツキヨタケに気をつけろ!)
日本で一番キノコ中毒の多いツキヨタケ
注意喚起のために、写真に赤線の縁取りを施しました
●ツキヨタケは有名な毒キノコで、日本で一番中毒件数が多いとされます。 (ただし、クサウラベニタケが一番中毒件数が多いという説もある) ま、いずれにせよツキヨタケとクサウラベニタケは、中毒件数・中毒患者数の多さではワースト1位と2位を争う毒キノコの双璧です。猛毒菌ではないにしても、激しい下痢や幻覚症状に苦しみ、奈良県などで死亡例もあるようです。ブナ帯のキノコ狩りでは厳重な警戒が必要です。

ツキヨタケを、ムキタケ・ヒラタケ・シイタケと見誤って誤食するケースが多いようです。典型的な形状や色合いのものならばそう見誤ることはないのですが、キノコは1つ1つは個体差がかなりあり、色合いも形状も変異の幅があります。で、紛らわしいものが出てくるのですが、とくにムキタケとツキヨタケが傘が湿っている場合、似ていると言えば似ています。同じブナの枯れ木に両種が出ることも多いです。野生キノコ採りの盛んな地方では、行政機関が毒キノコに厳重に注意喚起をしていますが、中毒は毎年必ず起こります。相当な深山でなければブナ帯がない西日本瀬戸内や太平洋側であっても、ツキヨタケ中毒は発生しています。登山者やハイカーがうっかりツキヨタケを 「食べられるのかな?」 と不用意に食べて中毒するようです。

厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:ツキヨタケOmphalotus guepiniformis(キシメジ科ツキヨタ属)
ツキヨタケ中毒事件は必ず起こる
↑ 厚生労働省の資料にある数値データをグラフ化しました。2000年の接触者総数は>91で、正確な数字は不明であるが91人以上であるらしい。

東京都福祉保健局 食品衛生の窓 ツキヨタケ(毒)キシメジ科 
にツキヨタケの発光している写真があります。国内に発光するキノコは10種ほど知られていますが、大部分は沖縄や小笠原・八丈島など亜熱帯のキノコです。温帯のツキヨタケの発光は特異な存在と言えましょう。

有毒キノコ:道の駅でツキヨタケ販売か…滋賀・高島
毎日新聞 2014年09月21日配信。 
引用】 滋賀県は21日、同県高島市朽木市場の「道の駅くつき新本陣」で販売されたキノコを食べた人が、腹痛と嘔吐(おうと)の症状を訴えていると発表した。いずれも軽症という。有毒キノコ「ツキヨタケ」の可能性があり、県は購入者に食べないよう呼びかけている。  県によると、市内の住民が18日に近くの山の同じ木から食用の「ヒラタケ」と思ってキノコを採り、道の駅が20日に計12パック(1パック2、3個入り250円)を販売した。パックは全て売り切れた。食べた愛知県の客から21日に「腹痛などの症状が出た」との連絡があり、別の人も同様の症状を訴えていることが判明。残っていたキノコを調べたところ、すべてツキヨタケと分かった。 県によると、ツキヨタケを食べると食後30分〜1時間ほどで中毒症状が表れるが、翌日から10日程度で回復するという。【引用終了

●毎年、こういうツキヨタケ中毒事件が起こっています。ヒラタケと思って採ったということですが、馴れれば確実に識別できるハズなのに、キノコ狩りの初心者が経験不足で不用意な採取をするのでしょうか? 厄介なのはツキヨタケの発生が極めて多いことです。ブナ帯の森へ行けばツキヨタケは、あるわ、あるわ、そこらじゅう、いたるところツキヨタケだらけです。しかも、1本のブナの立ち枯れにツキヨタケとムキタケやヒラタケが一緒に生えることもある、ということでしょうか?

高城山のブナ林もツキヨタケだらけ…
以下5枚の写真は10月4日、徳島県・高城山 (1632m) の前衛の山の西砥石権現 (にしといしごんげん、1457m) の1350m地点で撮りました。


↓ ツキヨタケが古くなると、傘の表面が紫色~黒っぽくなることが多いです。ただし、紫色にならない場合もあるので厄介です。キノコの傘の形状も、古いツキヨタケでは強風に煽られたこうもり傘のように、やや反りかえってくる傾向がみられます。
ツキヨタケの老菌

↓ ツキヨタケが出る樹種は100%ブナの立ち枯れや風倒木です。唯一の例外として、北海道のブナ分布域外ではイタヤカエデに出るとされますが、本州以南ではブナ以外には出ないです。
ブナの立ち枯れに生えるツキヨタケ

↓ブナ帯では ツキヨタケの発生がきわめて多いです。ツキヨタケの発生量は他のキノコを圧倒しています。瓦を重ねるようにして大量に発生します。
瓦重ねに多数が発生する

↓ ツキヨタケには短い柄がありますが、その柄にリング状になった隆起がみられます。しかし、ときにはこのリング状突起がない場合もあるので要注意です。
短い柄にリング状の突起がある

↓ ツキヨタケを縦に裂くと、傘と柄の間あたりに黒いしみがあることが多いです。これが他のキノコにない特徴の一つですが、黒いしみがないか、あるいはしみがあっても確認しずらいこともあるので注意がいります。
ツキヨタケを裂くと黒いシミがある


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こちらは安全な食用菌、大いに採って食べよう!!
ツキヨタケはこの3種と間違えられるとされます。少し目をこらして観察すると、全然違います。吾輩の写真では不十分なので、Google画像を見ましょう。ただし違うのも出てくるので要注意です。

↓ ムキタケ Google画像 「ムキタケ」
ムキタケ
↑ ムキタケを裂いても黒いしみはなし。老菌でも紫っぽくならないし、傘の表面を爪の先で引っ掻いて引っ張るとスルーと薄皮がはがれます。

↓ ヒラタケ Google画像 「ヒラタケ」
ヒラタケ
↑ これは淡路島諭鶴羽山地でキノコ狩りをしたときの収穫物です。ヒラタケには柄がほとんどなく、リング状の隆起もありません。傘の色はかなり変異があり、時には海老茶色っぽいものも出てきますが、傘の上から見たら全体の色がノッペラボウな感じです。

↓ シイタケ Google画像 「シイタケ」 
シイタケ
↑ これも淡路島・諭鶴羽山産です。シイタケは明瞭な柄があり、傘全体の中央に柄がつきます。傘の表面には絹状の糸っぽいもいのがあることが多いです。


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