雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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高城山でのキノコ狩り その4 (優れた食用菌から突如中毒死が…)
食用キノコから一転、毒キノコに変身したスギヒラタケ!

【↓ 徳島県・高城山 (1632m) へ至る林道わきのスギ林に出ていた
写真の物は海抜1150mぐらいのスギ植林地のスギ倒木に出ていました。四国東部では、場所にもよりますが海抜1000mを越える高所まで (ときには1500m近くまで) スギ植林がありますが、スギヒラタケ は徳島県の剣山系では海抜高度が低いスギ植林地には出ず、海抜の高いところ800m以上でスギヒラタケが普通にみられます。海抜が高いほど雲や霧がかかり、高湿度・高湿潤で、地表の風倒木や岩は厚いコケで覆われています。いわゆる蘚苔林 (モスフォレスト、moss forest) となっています。そういう所で見られるのであるから、スギヒラタケは乾燥を嫌い、湿気を好むのではないか? あるいは低地の夏の高温を嫌うのか? 温帯のキノコという印象がします。ちなみに、吾輩は淡路島のスギ林でスギヒラタケをまだ確認したことがありません。意識して探しましたが見つかりません。西日本低地の暖帯下部にはないようです。スギヒラタケの分布域は暖帯上部~温帯下部あたりか?


高城山のキノコ
↑ 2014年10月4日、徳島県高城山中腹のスギ植林にて、海抜1150m地点。

●西日本じゃ、こんなものを捜して食べる人はほとんどいません。西日本、とりわけ瀬戸内海沿岸地方では、マツタケに非 (あら) ずんばキノコに非ず! と言わんばかりの風潮で、マッタケ以外の野生食用キノコなど誰も見向きもしないのです。

スギヒラタケは、現在では毒キノコ!
下に引用したように、現在ではスギヒラタケは毒キノコ扱いです。ただし、食べた人が全員中毒症状を現わすわけではなく、全く無症状で平気の平左の人も多いわけです。まだ毒成分の詳細も、どのような作用機序で病理を発現するのかもハッキリ分からないみたいです。もっか研究者たちがスギヒラタケの毒成分を研究中…。しかしながら、実際問題として中毒症例が多数報告され、死亡者も出ていることを深刻に受け止めたほうが宜しそうです。吾輩も以前は見つけたらスギヒラタケを採ってさんざん食べていますが、10年前にスギヒラタケで死亡との報が出てからは食べるのを止めました。

スギヒラタケは清楚でかわいいキノコです。西洋のキノコ図鑑を見ていたら、スギヒラタケはエンゼルウィング (angel wing、天使の翼) などと瀟洒な名で呼んでいるようで、食用 (edible) としています。北陸地方・本州中央高地・東北地方では、普通に食べられてきた野生キノコです。山の宿では朝の味噌汁の実に入れてくれます。山岳地帯ではウスヒラタケと並んでスギヒラタケは発生が頻出する野生キノコで収量も多く、結構な山の幸でした。くせのない穏やかな味とされますが、意外に非常に濃厚なダシが出るキノコです。やはり味噌汁の実によく合います。スギヒラタケに関する文献にあたっても、濃厚なダシが出るなど書かれていないので、四国東部山岳地帯のものは、ひょっとすると系統が異なるのかも? しかし残念ながら、この優れた山の幸も、現在では毒キノコのカテゴリーに入ってしまいました。農水省や厚労省がスギヒラタケを食べるなと注意を呼び掛けています

非常に興味深いのは、スギヒラタケの中毒患者が発生したのは北陸地方や東北地方など、北日本や東日本であります。西日本ではそんなハナシは聞いたことがないし、西日本でスギヒラタケ中毒患者が出たという報道はないし、西日本の地方行政が注意喚起情報を出すこともありません。西日本でスギヒラタケ中毒患者が出ない理由はハッキリしています。そもそも、マッタケ以外の野生の怪しげなキノコに手を出さないからなのです。

逆説的な言い方ですが、絶対にキノコ中毒に当たらない方法が1つだけあります。

それは、野生キノコを絶対に食べないことであります。 (註)

火山の噴火で絶対に遭難しない方法も、ただ1つだけあります。それは簡単です。
火山に登らない、近づかないことであります。 (註)

(註) ただし、野生キノコを絶対に食べない、火山には絶対に登らない、という対処法はあくまでも個人の対処法です。社会的にはこの対処法はあり得ないでしょう。なぜならば、野生キノコを食べてはいけないという法律 (規制) や、火山登山を禁止する法律 (規制) を作ることになるからです。それは不可能です。世の中には、野生キノコを採集して商売をしている人もいるし、火山でメシを食っている観光業者が大勢います。みだりに禁止や規制をすると猛反発や反対運動が起こるでしょう…。つまり、個人と社会全体との対処法はまた別ものであります。国の食べて応援と、個人のわしゃ絶対に食べんよ、に似ています。


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●おかみは、スギヒラタケを食べるなと注意喚起しています。危険情報をシッカリと公開しています。おかみは、食べろと言ったり、食べるなと言ったり、ややこしいですな。しかしまあ、きちんと情報公開した上での注意喚起を、国民が無視して食べて死んでもそれは自己責任であります。

一方、食べて応援の問題点は、情報を隠蔽したり、その影響の過小評価をしていることであろうかと思います。北関東~南東北での各種疾病の発現率が急上昇してきましたわね。政府は隠蔽するのにテンヤワンヤです。はやく特定秘密に指定したいところ…。もし、情報をあらいざらい公開したうえで食べて応援して何かあっても、それは自己責任です。しかしながら、情報を隠蔽した上で何かあった場合は明らかに政府の責任です。もちろん東電の責任、原子力ムラ全体の連帯責任も。その事象によって、政府の情報公開の基準が二重基準みたいです。

(今も食べている人がいるので) 毒茸の可能性があるスギヒラタケを食べるなと言い、一方で、内部被ばくの要因となりうるベクレル食品を食べなさいと呼びかける、双方とも危険性はあり得るのに、この二重基準はいったい何なのだろうか??



農林水産省 「スギヒラタケは食べないで!」

厚生労働省 「自然毒のリスクプロファイル:キノコ:スギヒラタケ」

農水省サイトから引用
●スギヒラタケは、キシメジ科スギヒラタケ属のきのこです。日本ではスギ、マツ等の針葉樹の切り株や倒木に主に8月から10月頃にかけて発生し、右下の写真のように、傘が2~6 cm程度の大きさの耳形又は扇形の白いきのこがいくつも重なり合って群れて生えるのが特徴です。

●かつては、スギヒラタケは食べられるきのこと考えられていました。そのため、日本では栽培されていないものの、東北、北陸、中部地方を中心に野生のものが広く食べられていました。しかし、平成16年以降、それらの地域でスギヒラタケを食べたことが原因と考えられる病気 (急性脳症:意識障害やけいれんが主な症状) が多数報告されるようになりました。

●当初は、腎臓の機能が低下している人がスギヒラタケを食べると、急性脳症が起きるのではないかと考えられました。しかし、その後、腎臓の機能に異常が認められない場合でも、スギヒラタケを食べた後に病気を発症して死亡した事例が確認されました。そのため、厚生労働省は、(原因が究明されるまでの間、念のため、)腎臓の機能が低下していない方も含めた一般の方に対し、スギヒラタケの摂取を見合わせるよう注意喚起をしています。

●農林水産省からも、毎年、きのこ狩りのシーズンに合わせてスギヒラタケの摂取を見合わせるよう自治体や関係団体にお知らせし、スギヒラタケの特徴等に関してウェブサイト等を通じて広く情報提供してきました。

●農林水産省や厚生労働省が原因究明のための調査研究を実施してきましたが、スギヒラタケが安全に食べられるきのこかどうかは現時点ではわかっていません。 農林水産省の委託研究では、スギヒラタケに天然に含まれる複数の成分が関係して、急性脳症が起きるのではないかと考えられる成果が得られています。

●このようなことから、スギヒラタケはこれらからも引き続き食べないようにお願いします。 【引用終了】 



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