雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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人類は紀元前の大昔から、太陽黒点の消長と、温暖化との相関関係に気付いていた! (前篇)
●現代人は、先人達が何千年もかけて築き上げた知識や技術の遺産の上に胡坐をかいて、我々は文明人だと威張っているけれども、けっして現代人が古代人よりも賢いわけではありません。生物の種としては数千年ぐらいではあまり変化はなく、進化の結果、別の種に変わるのには最低でも万年のオーダーの年月が必要です。古代人も現代人も生物学上の種は全く同じで、古代人にも洞察力豊かな賢者は大勢いたハズだ。

たとえば、地球が球状であるということは今では当たり前の常識ですが、現代人はそう教えられたから知っているにすぎません。仮に、そういう知識がない白紙の状態であったならば、普通に暮らしていて、いったいどれだけの人が地球が球状であることに気付くでしょうか? たぶんほとんどの人は気付かないと思います。もちろん吾輩も気付かんでしょう。しかしながら、紀元前の大昔に、大地は平らな板などではなく 「地球は丸いぞ」 と気付いていた人々が確実に何人もいます。三平方の定理で知られる ピタゴラス (紀元前582年~紀元前496年) は地球は球形をなしているという見解を示しました。アリストテレス (前384年~前322年) は観察に基づいた証拠をいくつも並べて、地球が球形であることを証明しています。エラトステネス (紀元前275年~紀元前194年) は測定と計算で地球の外周を約46000キロと割り出しました。このエラトステネスの測量は15パーセント程度の誤差がありますが、当時の粗末な観測道具での測量という点を斟酌するならば、実に画期的な科学的業績と言えましょう。ただ惜しむらくはこれらの賢者たちも天動説を信じていたのは残念ではありますが、それはそれとして、紀元前の大昔に、地球の外周の長さまで計算したのは素晴らしいと思います。



紀元前に、人類は太陽黒点と温暖化の相関に気付いていた!
●上に例示したように、紀元前にも賢者はいました。もちろん愚者もいたでしょうが、それは現代でも同じであります。さて、現代の気象学や気候学の権威とされる偉い人々が地球温暖化の原因は二酸化炭素だとしています。それは政治的な庇護があるがゆえに、潤沢な研究費が流れてくるからそういうふうな主張をしているだけという面が強そうですが、地球温暖化の原因は、二酸化炭素原因説が棄却される寸前になってきました。最近とみに太陽活動原因説を支持する学者が増えてきたという印象がします。この話題に関連するハナシですが、紀元前の賢者たちが太陽黒点と温暖化の相関について気付いていたのではないか? と思われる節があります。

●キーワードは、太陽に棲むカラス ・ 肉眼黒点 ・ 2つの太陽 ・ 複数の太陽 ・ 温暖化 ・ 干ばつ ・ 射日(しゃじつ)神話、等ですが東アジアに広く存在する 「射日神話」 から少し考察してみます。

東アジアに普遍的に存在する 「射日神話」
メコンプラザ情報DBミャオ族の 「招日神話」 2003年4月掲載
10個の太陽がおって、毎日1個づつ交代に出てきた。あるとき、へそ曲がりの1個を除いて9個の太陽が一斉に出てきたが、世の中は暑くて大変だ。大地は焼け焦がされ干ばつになった。そこで、勇者が登場し9個の太陽を射落としたが、今度は世の中はまっ暗闇。人々は困って、へそ曲がりの1個の太陽を誘い出すために雄鶏に美声を発しさせたところ、目出度く太陽が出てきた…。という神話です。注意すべきは、中国雲南省の ミャオ族の神話には、太陽に棲むカラスは出てきません。面白いのはカラスではなく雄鶏 (おんどり) が出てくることです。

国立民族学博物館 異文化を学ぶ 「オロチの射日神話」 佐々木史郎
引用開始】 極東ロシアの日本海に面した地方に暮らすオロチという先住民族に次のような神話がある。昔、大地が固まりきっていないころ、太陽が三つあり、できたての大地は熱くて生き物が住めなかった。その時、ハダウという神が二つの太陽を弓で射落とし、一つだけ残した。その後、ハダウはワシとカラスを創(つく)り出し、それから人間が生まれた。あるいは、太陽が三つあったころは大地がとても熱く、人は水中や空中で暮らしていた。そこで二つの太陽を射落としてようやく涼しくなり、地上で暮らすようになった。【引用終了】 注意を要するのは、この極東ロシア先住民の神話にはカラスが出てくることです。

●沢山の太陽が出て来て熱くてたまらないから、弓矢の名手が登場して太陽を射落とすという神話や伝説は東アジアに普遍的にたくさん存在しています。ただ、話の基本形は共通するのですが、いろいろな変化形 (バリエーション) があるようです。一番有名なものは、なんといっても中国の古典 『淮南子』 (えなんじ ) に書かれているハナシであります。紀元前の前漢のころに編纂された書物でありますが、引用します。 なお、ネット情報を捜しましたところ、福岡市の三宅漢方医院の院長さんが 射日 という記事で古代中国の射日神話の概略を書かれています。



『淮南子』(えなんじ ) と 『楚辞』(そじ) の記述
●中国のサイト 百家諸子 中国哲学書電子化計画 から、本文テキスト を借用させていただきます。『淮南子』 巻八の本経訓ですが、6と番号をふってあるくだりが該当箇所です。射日神話の部分を太字で強調します。ただし、この淮南子には太陽を射る記述はあってもカラスは出てきません

引用開始】 振困窮,補不足,則名生,興利除害,伐亂禁暴,則功成。世無災害,雖神無所施其德,上下和輯,雖賢無所立其功。昔容成氏之時,道路雁行列處,托嬰兒于巢上,置餘糧於畮首,虎豹可尾,虺蛇可蹍,而不知其所由然。逮至堯之時,十日並出,焦禾稼,殺草木,而民無所食。猰貐、鑿齒、九嬰、大風、封豨、修蛇皆為民害。堯乃使羿誅鑿齒于疇華之野,殺九嬰于凶水之上,繳大風於青丘之澤,上射十日而下殺猰貐,斷修蛇於洞庭,禽封豨于桑林,萬民皆喜,置堯以為天子。於是天下廣狹、險易、遠近,始有道里。舜之時,共工振滔洪水,以薄空桑,龍門未開,呂梁未發,江、淮通流,四海溟涬,民皆上丘陵,赴樹木。舜乃使禹疏三江五湖,開伊闕,導廛、澗,平通溝陸,流注東海,鴻水漏,九州幹,萬民皆寧其性,是以稱堯、舜以為聖。晚世之時,帝有桀、紂,為琁室、瑤台、象廊、玉床,紂為肉圃、酒池,燎焚天下之財,疲苦萬民之力,刳諫者,剔孕婦,攘天下,虐百姓,於是湯乃以革車三百乘,伐桀于南巢,放之夏台,武王甲卒三千,破紂牧野,殺之于宣室,天下甯定,百姓和集。是以稱湯、武之賢。由此觀之,有賢聖之名者,必遭亂世之患也。 【引用終了】 


太字の部分の現代語訳 (日本語訳) は次の通りです。 『中国古典文学大系 6巻 淮南子・説苑(抄)』 平凡社刊 の94頁から引用します。

【引用開始】 堯 (ぎょう) の時になると、日輪が十個ならび出て穀物や草木を焦がし、民は食を失った。猰貐 (あつゆ、獣名) ・ 鑿齒 (そうし、獣名) ・ 九嬰 (きゅうえい、水火の怪) ・ 大風 (たいふう、鷙鳥・または風伯) ・ 封豨 (ほうき、大豕) ・ 修蛇 (しゅうだ、大蛇) がこもごも害をなした。堯は羿 (げい) に命じて、疇華 (ちゅうか、南方の沢名) の野で鑿齒を除き、凶水 (きょうすい、北狄の川名) のほとりで九嬰を殺し、青丘 (せいきゅう、東方の沢名) の沢で大風を繳 (いとゆみ) にかけ、上は十日を射て下は猰貐を殺し、洞庭 (どうてい、南方の沢名) で修蛇を斬り、桑林 (そうりん、地名) で封豨を擒 (とりこ) にした。万民は歓喜して堯を天子に迎えた。 【引用終了】

●カラスが出てくるのは 楚辞(そじ) という漢詩を集めた書物です。中国哲学書電子化計画 から楚辞 天問 の6と番号を振ってある漢詩を引用します。

焉有石林何獸能言
焉有虯龍負熊以游
雄虺九首倏忽焉在
何所不死長人何守
靡蓱九衢枲華安居
一蛇吞象厥大何如
黑水玄趾三危安在
延年不死壽何所止
鯪魚何所鬿堆焉處
羿焉彃日烏焉解羽

太字で強調したところにカラス(烏)が出ています。

【訓読】 羿(ゲイ)焉(な)んぞ日を弾(い)たる 烏(カラス)なんぞ羽を解きたる 
【現代語訳】 ゲイはどこで太陽を射たのか? カラスはどこに羽を落としたのか?

この意味不明のくだりに後漢の王逸が註釈をつけて説明しています。『中国古典文学大系 15巻 詩経・楚辞』 平凡社刊 の342頁から引用します。(目加田誠訳 楚辞天問 補注27)
射日神話


●長くなるので一旦稿を切り、この射日神話の意味するところを後編で考察します。



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