雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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お花見に行こう、樹上着生のフウランの観察
●観賞価値がすこぶる高く、甘美な佳い香りがする ラン科 フウラン (波田研HP) ですが、江戸時代には大名たちが栽培を競ったともいわれ、純白の清楚にして高貴なランであります。関東地方南部以西、沖縄まで分布しているとされていますが、淡路島南部の諭鶴羽山系の照葉樹林帯の大木樹上に自然分布が見られます。昔はあっちの谷こっちの谷と、けっこう産地が沢山あったみたいです。しかし、30年ほど前の野生ランブームのときに、かなり盗掘されました。たとえ自分が盗らなくても、後から来た人が結局盗ってしまう、どうせ盗られるのだから盗ってもかまわない、あるいは盗らないのは損だ! という風潮で、片っぱしから盗掘です。エビネ、ソノエビネ、キエビネ、ナツエビネ、シュンラン、キンラン、ギンラン、フウラン…、などなどラン科植物が軒並み盗掘の標的になりました。そういえば今年の5月の連休ごろでしたか、知人の写真家がキンランの花の写真が撮りたいというので、自生地を案内しました。満開には数日早いかなという感じでした。つぼみの写真を撮ったのですが、数日後にその写真家が奥様と一緒に写真を撮り直しに行ったそうです。すると、そのキンランの株が影も形もなく、掘りとった跡があったとのことです。いまだに盗掘する人がいるとは、なんともヒトという種の性 (さが) はどうしようもないです。

●ま、どうしようもないのは、原子力ムラの連中も同じです。あれだけの過酷な原発事故を起こしながら、溶融した核燃料デブリがどこに行ったのか? 誰にも全く分からない状態なのに、いまだ事故の真の原因が不明で、収束の目途なんてまったく立たないのに、それでも再稼働しようとたくらんでいます。まったくヒトという種の性はどうしようもないです。おそらく、麻薬中毒と同じ状態なのでしょう。早くヤクを打ってくれ (再稼働してくれ) と禁断症状が出ているのでしょう。何の禁断症状かといえば、利権を失う禁断症状です。利権を持っていると、その利権を死に物狂いで守ろうとして正常な判断ができなくなるということを、まざまざと見せつけられます。


フウランは希少植物
都道府県別の 「フウラン」 の絶滅危惧度
日本のレッドデータ 検索システムから借用しました。フウランが分布している都府県ではほとんど例外なく絶滅危惧植物の扱いとなっています。それだけヒトの鑑賞用採取の盗掘圧力が強いのでしょう。図では東北地方・北海道・本州中央高地が空白となっていますが、フウランが自然分布してないのであります。北陸地方(新潟・富山・石川・福井)もほとんど分布していないようであります。

北陸地方最南西端の福井県 嶺南地方(れいなんちほう) の三方町・小浜市・大飯町・高浜町にわずかにあるだけのようであります。 → 『福井県の絶滅のおそれのある野生植物』 76頁。原発銀座と称される嶺南地方は天気予報では近畿に含められたり、経済的に京都と関係が深かったりで、ほとんど近畿地方といってもいいです。したがって北陸にはフウランが分布していないと言ってもあながち間違いとは言えません。

また、広島県も空白になっていますが、 『レッドデータブックひろしま2011』 を見ると、たしかにフウランがレッドデータ種として収録されていません。 『広島県植物誌』 がネット公開されているので閲覧すると、広島県植物誌にフウランは収録されてはいますが、「沿岸部の数カ所で、民家の庭や寺の境内にある樹木に着生している」 「これまで、広島県からは確実な自生は知られていないが、これらの中には自生と見なせる状態で生育しているものがある」 とのことで、だとしたら要調査種として 「情報不足種」 扱いになりそうな気がしますが、関係者は広島県にはフウランの自然分布はないという判断なのではないか?


フウランは大木の樹上に着生します
大木の樹上に着生するフウラン
↑ 胸高直径が1mはある大木の上の方に着生していました。クスノキの大木です。フウランが着生する樹種は決まっていませんが、あまり若い木ではダメですし、樹皮が滑らかな木もダメです。若い木は幹や枝がどんどん太っていくので、樹皮に張り付いていて成長が遅いフウランは振り落とされてしまいます。樹皮が滑らかな木、たとえばツバキとかヒメシャラなどはフウランが滑り落ちるのでダメでしょうね。それから樹皮が剥がれ落ちる樹木がありますが、たとえばカゴノキとかバクチノキなども振り落とされてしまうでしょうね。フウランが着生できる樹種は、必然的に樹皮がざらざらしていて、樹皮が剥がれ落ちず、成長が緩慢になった大木、ということになりましょうか? 実際に写真のフウランが張り付いている木はまさにその条件に当てはまります。

花のアップ
↑ 花期は淡路島南部では7月上旬頃です。独特な花の形態でありますが、純白の花で薄暗い森の中で花の幽霊みたいです。花には甘美な香りがあるのですが、昼間は香りが弱く、夜になると香りが何倍にも強くなるらしいですが、夜中に山に行くわけにはいかないし、樹上で咲くのでなかなか確認しずらいです。フウラン ~噂は本当だった!~ によると、夜に香りが強くなるのは、夜行性の蛾に花粉を運ばせるため誘引しているらしいです。

フウランの太い根
↑ フウランの根はそうめんよりも太く、うどんよりも細く、ひやむぎ程度の太さです。細根はなく、太い根で大木の樹皮に張り付いています。この大木の樹皮は亀甲状にひび割れていて、苔のようなものも着き、フウランの根は樹皮の溝に入ったり苔の下に潜り込んだりしていて、しっかりと張り付いています。この状態ならば、たとえ台風の暴風にさらされて落ちる心配はなさそうです。こんな太い根しかなく、根の数もすくないので、どうやって栄養をとっているのか不思議ですが、そこはラン科です。ラン科植物の多くがそうであるように、菌根菌と共生しているのだろうと思います。

根のアップ
↑ 太い根は乾燥してくると白っぽくなるのですが、雨が降って水分を吸うと緑色っぽくなるようです。乾燥する樹上で生活できるのは、ときどき降る雨を吸って、水分を貯蔵しているからか?


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