雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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西日本で岡山県が、関東からの移住者に一番人気だ。(その2)
●2011年3月11日に発生したモーメント・マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震は、甚大なる物的被害・人的被害を及ぼしたのでありますが、この地震による被災の避難者も数十万人のオーダーに達する膨大なものであります。 復興庁 が集計している 『全国の避難者等の数』 という資料は毎月公表されています。この資料のタイトルには若干の隠蔽ないしは誤魔化しが感じられます。そもそも、この資料でいう 「避難者」 とは何から避難しているのか? ということを考えてみますと、たんに、東北・関東地方大震災から避難しているのではなく、ハッキリ言って放射能汚染からの避難であります。それは、復興の現状と取り組み というページに並んでいる項目をみれば明らかです。 「福島」 「除染」 「放射線リスク」 などの語句が並んでいます。したがって、 『全国の福一原発事故からの避難者等の数』 と表現するべきであります。政府ないし政府に準じる組織から発表される資料には、フクイチ原発過酷事故を想わないようにという意図が明瞭に感じられます。東北大震災の被災者・被災地区を 「食べて応援しよう!」 という農水省のキャンペーンにしても同様で、どこを応援するか? ハッキリ明示しません。しかしながら、言っているのは放射能汚染地帯で生産された農産物等を食べなさいと言っているのです。

●たとえば、「Nuclear power plant」 を 「原子力発電所」 と訳すことになっています。 「Nuclear weapon」 は 「核兵器」 と訳すことになっています。英和辞書ではそうなっているから定訳です。見え透いた誤魔化です。 「Nuclear」 という本質は全く同じものなのに、そのときの都合で 「核」 と 「原子力」 に使い分けています。軍事的な好ましくないものには 「核」 という表現を用い、平和利用で好ましいものとして 「原子力」 を用いるのは、悪質なイメージ操作です。表現を変えて誤魔化すのはタチが悪いです。たとえば、森林を根こそぎ広範囲に伐採した行為を指して、 「自然を冒涜する森林破壊だ」 と表現すれば悪いイメージですが、 「産業育成基盤整備のための開発なんだ」 と表現すればそれほど悪いイメージではありません。たとえば、原子力発電環境整備機構 という組織があります。原子力発電の 「環境整備」 などと表現すると、なんだか偉い人々が立派な事業をやっているみたいに錯覚する人もあるでしょう。しかし、原発稼働の結果、必然的に大量に出てくる高レベル放射性廃棄物を穴を掘って埋めてしまえ、ということを目指している組織です。ぜんぜん立派ではありません。「原子力発電環境整備機構」は、 「核発電高レベル放射性ゴミ穴掘って埋める機構」 と改名すべきですわね。政府や省庁の資料を閲覧していると、表現のアヤで誤魔化そうとする姿勢が目立ちます。タチが悪いです。

吾輩は思うのですけれども、日本人の弱点の一つが、物事を筋道を立てて論理的に考えるのではなく、感覚的に直感的にイメージで捉える傾向が強いことがあるのではないか? この日本人の国民性が権力者どもに突かれています。たとえば、日本文化を観察すると、日本文学史上、短歌や俳句や 俳諧(はいかい) など、刹那的な感興を詠う短詩形文学が異常に多いです。これらは、われわれ日本人が物事を感覚的・イメージ的に捉える傾向が強いことを示唆しています。日本文学史には壮大なスケールの叙事詩であるとか、深刻な思索型のトルストイのような作品はほとんど現れませんでした。この日本人の “物事をイメージで捉えるという弱点” を、政府 (原子力ムラ) は突いているのであろうかと思います。で、見え透いた言葉のアヤで騙されてしまう…。

さて、前エントリーの続きとして、2枚の図表を作成した。


岡山県への避難者数の推移

西日本への避難者数の推移

●作成したグラフは2011年8月 (詳しくは7月28日現在のデータ) からですが、フクイチ原発過酷事故以降4か月ほどは資料がないので (少なくとも復興庁のサイトにはない) 不明です。西日本への避難者は2011年の12月に1万人の大台に乗せました。その後は全くのプラトー (高原状態) でしたが1年まえからじりじりと減少に向かっているようであります。 岡山県への避難者は、西日本全体の推移と大きく異なり、次第に増加しています。当初は500人程度であったのに現在は約1100人と倍増しています。西日本各県毎の状況は、増減はかなりあるものの、おおむね西日本全体の動向と似通っています。沖縄県を含む西日本24県のなかで岡山県は異彩を放っています。一貫して増加傾向があるのは岡山県だけです。避難者の中で岡山県が人気があるというのは、ほぼ確からしいと言えましょう。 

ただし、あくまでも復興庁の集計する統計数字が正しいと看做したハナシです。統計数字は説得力があるのですが、一面、統計数字は誤魔化しの温床でもあります。たとえば交通事故死者数の統計など統計の取り方で数字が大きく異なります。平成24年の交通事故死者数は警察庁の統計では4411人です。一方、厚生労働省の統計では6277人で、42%も多くなっています。これは警察庁の4411人は事故後24時間以内の死亡者数であり、厚労省の6277人は事故後1年以内の死亡者数であり、基準がことなるからです。復興庁が集計した避難者数は、市町村からの報告をまとめたもののようですが、なにをもって避難とみなすか、統一基準は一応あるようですが、市町村の担当者の主観も入りそう…。報告漏れもあるのではないか? どこまで信用していいのか? 恣意的に誤魔化そうとすれば、いくらでも誤魔化せるのが統計数字です。とくに部外者が検証不能の統計数字は誤魔化し放題です。 新聞やテレビの世論調査の数字なんかは、その典型例 ですが、マスゴミの発表する世論調査の数字など信じる人は、失礼ながらお人よしかと…。


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岡山県が避難者に人気がある理由

①、岡山市と民間が連携して、「岡山市移住定住支援協議会」 をつくるなど、官民あげて避難者を厚く支援している。避難や移住に支援活動をしている民間団体やNPOがたくさんあるみたいです。

②、避難者は岡山市周辺に多いが、岡山市は都市の規模以上の不動産物件が沢山ある。つまり買い手市場。家主にとっては避難者であろうと、支援と称して割引価格であっても、ぜひ借りてほしい。これが岡山県の不動産業者が避難者支援に積極的な理由と思われます。避難者からみたら物件をあれこれ選べる。

③、そういう状勢が避難者同士の情報交換や口コミで広がっている。口コミで広がるのは時間がかかるから、岡山県への避難者が一挙に激増するのではなく、じりじりと増加。

④、それから意外にも有効求人倍率の高さがあります。1.5とか1.7とか全国平均よりもかなり高いです。岡山県は西日本有数の有効求人倍率の高さを誇ります。岡山市HP 有効求人倍率の推移 を参照。医師とか看護師など特別な技術を持っている人ならば、全国どこへでもサッサと移住出来ますが、そうでなくても岡山県の有効求人倍率の高さならば、えり好みしなければ仕事はなんとかあります。

⑤、「避難」 は 「移住」 と同義ではないけれども、避難者は移住という決断も視野に入れているハズです。そうした場合、交通の便利さはプラスの要素です。山陽本線、山陽新幹線、山陽自動車道が岡山市を通るので、関東からの避難移住者が関東に帰省するのには大変便利です。 その点は、にぎやかな関東地方からの避難者が四国太平洋側などに避難したら、島流しに遭ったような気分がするのではないか?

⑥、岡山県 (岡山市周辺) は瀬戸内式気候で、大雨が降らないし、関東で多いゲリラ豪雨もほとんどありません。移住ということを視野に入れたら、大雨・洪水などの災害が少ないことも考慮しなければなりません。その点では、南海道太平洋側は大雨の常襲地帯です。岡山市の年降水量平年値は1106ミリ、高知市のそれは2547ミリです。岡山市が雨量が少ないといっても、中国山地の雨量は概ね2000ミリあり川の水量は豊かで水不足の心配はありません。

⑦、台風の被害もあまりありません。南海道太平洋側の室戸岬や潮岬は、室戸台風・第二室戸台風・伊勢湾台風という日本本土4大台風の3つが直撃しています。しかし、四国山地が盾になり岡山ではあまり被害はありません。また、台風が九州に上陸して瀬戸内海沿いに来たとしても、陸上を数百キロ通過するうちに台風は2ランク程度減衰します。結局、岡山は台風の被害が少ない県なのです。

⑧、特にこれが重要なのですが、岡山県ならば南海地震の心配はあまりしなくてもいいです。原発事故による放射能汚染からの避難といっても、その事故のきっかけは地震です。地震の恐怖がトラウマになっているわけで、南海道太平洋側は南海地震の洗礼をもろに受けます。その点、岡山県ならば震源域から距離があるので揺れも減衰しますわね。震度4ぐらいではないか? 津波も瀬戸内海にまでは入ってきません。かりに来ても1mぐらいか? 大丈夫ですわね。 



…と考えてみたのですが、わが南海道地方 (四国4県 + 和歌山県 + 淡路島 + 三重県最南端部) は岡山県と全く正反対です。避難者や移住者に人気がないのも無理がありません。情けないですわねえ。


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