雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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瀬戸内海を適度に汚せ! 水清ければ魚棲まず。
●われわれ瀬戸内地方の住民は、動物性たんぱく質やカルシウム源として、瀬戸内海から漁獲される水産資源に依存してきました。四季折々に瀬戸内海から漁獲される魚種は変化するけれども、また、その変化は季節の風物詩であって、季節ごとに何らかの漁獲物が瀬戸内海民の食卓をにぎわしてきたのです。瀬戸内地方の文化は漁労文化の色彩が濃厚でありまして、瀬戸内人には肉が嫌いで魚好きが多いのは、おそらく住民そのものが漁労民の末裔であるということなのでしょう。わたくし個人的にも基本的には肉を食べない主義でありまして、多分そうだろうと思い御先祖様のルーツをしらべたところ、4代前のご先祖様に漁師をしていた人がありました。瀬戸内海人の各家庭のルーツを調べたら、どこの家系でも何代か前に漁師であったという御先祖様が見つかるハズです。つまり、この地方の住民はたいてい漁労民の末裔ということですわな。どおりで肉嫌い魚好きが多いのも納得できますわね。

●さて、前置きの真偽はともかく、今年のイカナゴは例年よりもかなり値段が高いような気がします。各店舗での小売価格を子細に調査したわけではありませんが、そういうふうに思いますね。

イカナゴ100グラム298円!
↑ 島内資本のスーパーの店頭でなんと100グラム298円!という結構な小売価格がついています。もちろんこの一例で論じることはよろしくありませんが、例年は150円ぐらいでなかったですか??  2、3年前に記録的な不漁で法外な値段の年もありましたが、おおむね150円前後であったと思いますね。 今年のイカナゴの漁獲量の統計は、まだ期間中なので出ていませんがかなり不漁なのか?  兵庫県立農林水産技術総合センター 水産技術センター の平成26年漁期の、『イカナゴ親魚調査結果(1月7日発表)』、『イカナゴ稚仔分布調査結果(1月29日発表)』、『イカナゴシンコ(新子)漁況予報(2月14日発表)』 では全ての発表で今年のイカナゴ漁の不漁を強く匂わせていました。やはり不漁のため小売価格が高騰しているのか??

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瀬戸内海の漁獲高は、かつての豊饒のころから半減!!
瀬戸内海の漁獲高の経年推移
↑ 上のグラフは、国土交通省 中国地方整備局 港湾空港部が設置した 瀬戸内海環境情報センター のホームページから借用しました。→ 『瀬戸内海における海面漁業による漁獲量の変遷』

●このグラフは政府系の組織が作成したものですから、農林水産の調査統計にもとづいているでしょうから、ハッタリがなく信用してもいいと思います。わたくしが幼少期のころは20~25万トン程度であった瀬戸内海の漁獲高が、日本経済の高度成長と合わせて漁獲高が増えていますね。そして、1970年代~1980年代には40万トン程度の高レベルでの高原状態です。その後、1990年代~2000年代で急減、漁獲高回復のきざしはグラフからは全く窺えませんわね。目をこらして見ると、2009年(ひょっとしたら2010年?)の落ち込みが異常です。15万トンぐらいか? 2010年、2011年も20万トンを割り込んでいます。瀬戸内海は かつての肥沃な豊饒海から、不毛の砂漠海に変わろうと していますね。魚種別の変化を見ると、貝類の漁獲が壊滅です。 どおりで磯ファンがアサリ掘りにいっても、アサリがいなくなったわけだ。昔は、わしが青年のころは、アサリを掘りに行ったらバケツ一杯獲れたけどなあ、沢山とれて近所に配ってたわ、今じゃ、アサリの味噌汁1回分とれれば上出来ですわね。(懐古談を語るのは老人の仲間入りか?)


漁獲高の多い70年代~80年代は赤潮発生が多かった
赤潮発生が減った
『瀬戸内海の環境情報>赤潮の発生海域』 の頁から借用。図は1970年以降しかないが、昔は、赤潮発生件数が多いだけではなく、発生規模が巨大でありました。大規模な赤潮が発生すると、海水中の溶存酸素が欠乏して養殖のハマチなどが死ぬ被害がしばしばありました。わが南あわじ市でも福良湾の養殖場で被害がありましたわね。図では赤潮発生確認数すなわち数をカウントするグラフですが片手落ちです。1件1件の発生規模もみなくっちゃね。瀬戸内海沿岸住民は中高年以上の年齢の者ならば、子供のころや青年の頃には海が大規模に夕焼けのように赤く染まるのを見た記憶があるハズですよね。近年はたとえ赤潮が発生してもちっちゃな可愛らしいものです。つまり、瀬戸内海に陸地からの垂れ流したものが流れ込んで、海が汚れ、窒素やリンが過剰な豊栄養化して、大規模な赤潮が発生するほうが漁獲高が遥かに多かったのです。たとえ赤潮による被害があったとしても、それを帳消しにして余りあるほど、漁獲高が多かったのです。

水清ければ、魚棲まず!  もう1枚、グラフを借用させていただきます。
海水中の窒素も減った
↑ このグラフは全窒素 (海水中の種々の窒素化合物の全体の濃度) の経年変化のようですけれども、82年以前のデータがないのが残念です。縦軸の尺度を大きく目盛りし過ぎているので平板なグラフになっていますが、よく見ると明らかに近年では数値が減っています。半分近くに減っているように見えますよね。海水中の窒素の濃度は、富栄養化の指標 (ものさし) であり、植物プランクトンが生育するための不可欠な肥料であります。そして植物プランクトンは海域での生物による物質生産の基礎です。グラフは瀬戸内海の海水が肥料不足の貧栄養化に向かっていることを強く推認させますわね。それから瀬戸内海での水質調査の各種のデータも、透明度がしだいに上がるなど水が綺麗になったことを示しています。直感的にも昔の (1970年ころの) 大阪湾などはドブみたいに汚れていましたが、近年では見違えるように綺麗になっていますね。

●結局、瀬戸内海は環境規制が不十分で汚く水質が悪かったころの方が魚が沢山いて、環境規制を厳しくして水を綺麗にした結果、魚が少なくなってしまいましたわね。(一種の合成の誤謬か?) だれが何と言おうとも、瀬戸内海の漁獲量の減少と、水質の改善は (すなわち赤潮の減少も) 見事に同期して推移しています。瀬戸内海の海水中の栄養塩類の減少と、漁獲高の減少とは相関しています。相関関係はただちに因果関係であるとは言えませんが、水質改善 → 栄養塩類減少 → 植物プランクトン減少 → 動物プランクトン減少 → 小型魚減少 → 中型魚減 → 大型魚減少という食物連鎖から考えて、その因果関係が強く推認できます。研究者たちの論文とか報文を捜して読めばけっこうまともで、このことを指摘している人々はかなりいますわね。(地球温暖化にしがみついている研究者もまだいますが) 問題はタチの悪いマスゴミどもです。先入観と予断でこりかたまった低質な報道が多いです。もちろん、瀬戸内海の漁獲高減少の理由には、干潟の埋め立てや破壊(これは貝類が壊滅した主たる理由)だとか、漁法が変わって海底をひっかきまわして撹乱するとか、種々の要因が複合したものでしょうが、最大要因は水を綺麗にしたためということはほぼ間違いないところです。昔の人は “水清ければ魚棲まず” と喝破しています。海中施肥 (海に肥料を撒く) などというアホウな試みがされていますが、そんな馬鹿げたことよりも…、


生活排水など下水を垂れ流して、適度に瀬戸内海を汚そう!

ただし、野放図に際限もなく瀬戸内海を汚せと言っているのではありません。適度にということです。なお、プランクトンが増殖できるよう栄養塩類増加効果のある汚しかたを言っているのであって、有害な化学物質等の垂れ流しは徹底的に規制し監視すべきは論をまちません。

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おたけさんのコメント
>瀬戸内海の漁獲高減少
困りますね、イカナゴでも僕はフルセイカナゴの釘煮が大好きなのですがこれを上手に仕上げる方が居たのですが、少し前に亡くなられてしまったので、今年は食べられません。素人があの太いイカナゴを煮るとお腹が破裂してまずい釘煮になってしまいます。その方がちょっと教えてくれたコツの中に、船から上がってどれだけ早く煮るかで仕上がりが決まるらしいです、仕上りに山椒の実も入ってました。
イカナゴが最盛期になるとメバルがおもしろくなるんですよね。その頃にはタケノコも出てくるので、タケノコと一緒に煮付けていただきます。>おいしいですよ。


山のキノコの返信
>船から上がってどれだけ早く煮るかで仕上がりが決まるらしいです。
そうらしいですね。イカナゴは鮮度が命だとか。車に携帯コンロと鍋を積んで、漁港の水揚げ場に直接買いにいって、そこで早速煮る必要がありますわね。家に帰ってくる間にも古くなりそうです。漁港で野外料理で煮るさいにはネコに注意です。どこの漁港にも逞しいネコが住み着いています。

>仕上りに山椒の実も入ってました。
いい香りが漂ってきますね。サンショウの実の採集適期は5月下旬くらいか? あるいは6月上旬かな? そういえば、成相ダムの周遊道路の法面の上の方に、天然のサンショウが沢山自生していますわ。粘れば、小さな籠一杯とれそうです。夏の粉山椒は作るのが難しいので、サンショウの若い実で佃煮です。保存しておいて春に釘煮に混ぜればいいかも??

>メバル …(中略)… タケノコと一緒に煮付けて
これぞまさに瀬戸内の春たけなわの料理です。釣竿を持ってメバルを釣りに行きましょう。自給自足で自衛です。魚屋で売っている品は危ないらしいですよ。風評を言うなとお上に叱られそうですが、福島の漁師さんが千葉県あたりから漁船を出して、福島沖で漁をし、静岡まで行って水揚げして全国に流通させるとか、静岡の漁師さんが福島の同業者がかわいそうだと協力しているとか…。店頭に並ぶ静岡産の魚のなかにフクシマ沖の魚が混じっているらしい…。真偽のほどは確認しようがありませんが、火のない所に煙がたつハズがない…、とも考えられます。身を守るためにも釣りをしましょう。(あるいは漁港に行って漁師さんから直接買ってもいいです、ちょっと要領がいりますが安く買えますわ)



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水産庁の県別かつ魚種別の漁獲統計の経年変化を見ると、確かに兵庫県など瀬戸内海の海域でのマダイの漁獲高は増えているようですね。全体縮小のなかの部分拡張で、例外の部分ですね。ただ、水産庁の統計は天然ものも養殖物も一緒くたにしてカウントしている資料ばかりで、天然タイの漁獲高推移の資料が見つかりません。いまや天然タイは貴重品で市場で出回るタイは8割が養殖物で、たんにマタイの養殖が盛んになっただけかも? ということかもしれません。天然タイにしても外洋の大陸棚の深場にいたマダイが春に瀬戸内海に回遊してくる群が多く、瀬戸内海の水質変化の影響があまりないのかもしれません。明石海峡には根付きのマダイ個体群がいるみたいで、では明石漁港での天然マダイの水揚げ動向はどうなのか? 関係機関のホームページであれこれ資料を捜しましたがみつかりません。何か裏付ける資料をご存じでしたら、ご教示ください。

農林水産省 海面漁業生産統計調査
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001024930&cycode=0
瀬戸内海漁業調査事務所
http://www.jfa.maff.go.jp/setouti/tokei/index.html
2016/01/23(土) 13:57:28 | URL | 山のキノコ #.tSXGebY [ 編集 ]
カキやノリの養殖も水質が良くなって品質が落ちて来たというのを聞いたことがあります
逆に真鯛は漁獲高が増えているとか
2016/01/23(土) 08:21:22 | URL |   #- [ 編集 ]
>瀬戸内海の漁獲高減少
困りますね、イカナゴでも僕はフルセイカナゴの釘煮が大好きなのですがこれを上手に仕上げる方が居たのですが、少し前に亡くなられてしまったので、今年は食べられません。
素人があの太いイカナゴを煮るとお腹が破裂してまずい釘煮になってしまいます。
その方がちょっと教えてくれたコツの中に、船から上がってどれだけ早く煮るかで仕上がりが決まるらしいです、仕上りに山椒の実も入ってました。
イカナゴが最盛期になるとメバルがおもしろくなるんですよね。その頃にはタケノコも出てくるので、タケノコと一緒に煮付けていただきます。>おいしいですよ。
2014/03/21(金) 22:37:49 | URL | おたけ #- [ 編集 ]
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