雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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日本一寒い町で、温暖化の洗脳か?
●日本一寒い町と言えば、北海道の十勝振興局の陸別町です。最近とみに有名になってきました。わたくし山のキノコでも陸別の名を知っているので知名度はかなり高いと思います。ただし、私がその名を知っているのは毎日気象庁のアメダス分布図を見ているからで、1300か所の全国のアメダス地名はほぼ記憶していますが、それ以外の地名は全然知らないです。 陸別町公式ホームページ を拝見しますと、日本一寒い町ということを観光資源として、バルーンマンションと名付けた鎌倉のような氷の館で暖房なしで-20度の極寒の一夜を耐え抜く しばれフェスティバル というとんでもないことをやっているようです。凍死寸前の過酷な耐寒テストであり、とんでもないとは思いますが、なんだかとても面白そうです。今年のしばれフェスティバルは2月1日~2月2日に開催されたようですが、2月2日の朝にはアメダス陸別で-25.4度を観測、耐寒テストのチャレンジャーには過酷な低温であったと思われます。

●氷の館「バルーンマンション」ではストーブなどなく、一切の火気は禁止ということでありますから、もし参加するならば防寒衣装を何重にも、それこそ十二単のように着込んで着達磨でチャレンジということになりましょうが、北アルプスの冬山登山のような装備で行けばいいのではないかな? 雪というのは最高の断熱材であり、雪山で遭難しかけたら雪洞を掘って入りこめば外は氷点下15度でも中は0度で暖かいです。むかし四国の山でやってみたことがありますが、四国と言えども1500メートルから上は年によっては吹き溜まりじゃ2~3メートルの結構な積雪になります。バルーンマンションは氷で出来ているようなので雪洞のような暖かさはないのではないか? 火気が許可されるならば、入口を塞いで中で七輪で炭火でもおこして餅でも焼けば風流で、しかも熱がこもって結構暖かいと想像するのですが、火気なしではかなり厳しそう…。

陸別町公式動画


気象官署及びアメダスの最低気温記録は旭川の-41.0度
であるから日本一寒い町は旭川じゃねえかと思うんですが、なぜ陸別なのか? と陸別町ホームページを隅の隅までみましたところ、月最低気温の平年値が日本一低いということのようです。なるほど。それも一理あります。瞬間的な最低気温の順位では10位にも入らないが、月最低気温の平年値、すなわち瞬間的な寒さではなく継続する寒さでは日本一であります。本当にそうなのかチェックして下の表を作成してみましたが、確かに間違いないです。 (ただし、富士山は特殊な場所であり山頂に町がないので除きます)

月最低気温平年値の低い方からの番付け

ある意味では陸別町は賢者だといえます。
なぜならば、平年値を持ちだしているからです。つまり、10年の保証期間付きなのです。10年間は追手に脅かされる心配がありません。世界気象機関は西暦年の一位の数が1である年から始まる30年間の気温などの気象要素の平均値を平年値と定めています。具体的に申せば、現在使われている平年値は、1981年~2010年の平均値です。この平均値が2020年終わりまで使われます。2021年になると1991~2020年の平均値が新しい平年値として使用されます。つまり、平年値で日本一寒い町だという主張は、10年間有効で、2020年の終わりまで絶対に脅かされないのです。ま、追手の糠内に1.1度の大差をつけているので2021年以降も恐らく安泰でしょう。平均気温で1度の差というのは簡単には埋められない大きな差です。十年ごとに見直される新しい平年値は旧平年値との差は、たいてい0.1度とか0.2度程度が圧倒的で、1度も変わるなどまずあり得ないです。

その点では、熊谷(40.9度)と多治見(40.9度)の両者は失礼ながらアホウでした。日本一暑い町を売り物にして観光資源にしていましたが、高知県の江川崎(41.0度)にあっさりと日本一の座を奪われました。江川崎のある四万十市は大喜びで祝賀ムードですが、かつての区内観測所時代の徳島県撫養(現、鳴門)の42.5度をみても分かる通り、日本列島南部、関東以西では40度台がひしめいているのです。それも0.1度刻みで並んでいます。そんなに大きな差がないのです。いずれ江川崎だってあっさりと日本一の座を奪われるでしょうね。日本海に強い低気圧が入って北陸地方で強烈なフェーンが発生、あっさりと41度超なども考えられます。瞬間的な暑さの日本一など安泰でいられないハズです。そんなことで浮かれて祝杯を挙げるのはアホウです。


↓ 最高気温の高いほうからのランキング
こんなのは、いつひっくり返されるか分かりません。1位とて危ういものです。

最高気温の高い方からの順位
0.1度刻みで並んでいます。1位の座を狙ってしのぎを削っています。上位群の差はごくわずかで、高温発生の条件が上手く重なったならば1位の座など一発逆転でひっくり返されます。したがいまして、江川崎(四万十市)が日本一暑い町だと観光資源化するのは愚かな話なのです。

その点、平年値という場合は事情が全くことなります。陸別の月平均気温平年値が-20.2度というのは、約900個ものデータセットの平均です。月30日とすると、その年のある月の日々30日の最低気温30個の平均を計算して月平均気温を算出します。さらに、その30年分の30個の月平均気温の平均値を算出して平年値とするから、30×30の900個の平均であります。

さて、ここで陸別の平年値が-20.2度で後を追う糠内が-19.1度であります。1.1度の差です。糠内が陸別に追い付くには、旧平年値から新平年値にシフトする際に10年分の300個のデータセットでその1.1度を稼がなければなりません。それは新旧の平年値で20年分は重複しているからです。ゆえに糠内が-19.1度から陸別の-20.2度に追い付くには直近の10年分300個の最低気温が平均で3.3度も下がる必要があるのです。 (ただし陸別の新平年値が-20.2度で変わらないと仮定するのと、正確には旧平年値から除外する10年分と、新平年値に加える10年分を差し引きしてプラマイゼロとした位置から3.3度だから、もし除外した10年分に低い数字が多ければ3.3度から更に上乗せが必要です) まあ、そんなことはまず有り得ないでしょう。1個の観測値で1発逆転がありうるのとは全く訳がちがいます。陸別町の賢者たちは日本一寒い町の座は決して揺るがないことを見越しているハズです。


酷寒の町で温暖化洗脳出前授業? 場所を間違えています。
●さて、-20度とか-30度の酷寒というのは厳しいものですしネガティブなものです。本来はあまり歓迎するべきものではないのですが、そのネガティブな材料を逆手にとって見事に観光資源としている陸別町のしたたかさというか知恵には感心しますが、愚かなのは政府系の温暖化研究機関です。なんと、日本一寒い陸別町で温暖化の洗脳出前授業です。ある意味ではアホウだと言わざるを得ないです。独立行政法人 国立環境研究所 「日本一寒い町の陸別小学校・陸別中学校の出前授業」 場所を間違えています。陸別町に国立環境研究所の施設があり陸別町側からの要請で出前授業をしたらしいですが、それでも場所を間違えていますね。地球温暖化の洗脳出前授業をやるのだったら、温暖化の危機におびえる場所、たとえば多治見や熊谷や江川崎でやるべきでありましょう。

●日本一暑い町の学校でやれば、みなさんの町は日本一暑い町ですね。これから地球温暖化が進むと、みなさんの町は灼熱地獄になりますよ。暑くて暑くて大変なことになりますよね。ですから、二酸化炭素を減らすために、二酸化炭素についてしっかりとお勉強しましょうね。とやればいいのです。日本一寒い町でやったりしたならば、子供は洗脳しやすいからいいものの、もしこれが大人相手の公開講座だったら大変なことになります。ヤジが飛んでくるでしょうね。
「当地は寒くて寒くて困っているんだ。温暖化だって? 結構なことじゃあねえか。もっともっと温暖化させるために、ジャンジャン二酸化炭素を出そうぜ」


なお、蛇足ながら温暖化しても陸別の観光資源はなくなりません。なぜならば、仮に温暖化で5度気温が上昇したら陸別は-15.2度になりますが、追手の糠内も5度上がるから-14.1度です。陸別の比較優位は崩れないです。

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