雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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真に日本一暑い街は、大阪なのであって、多治見でも熊谷でも江川崎でもない。 (その1)
● 「暑い」という言葉はとても感覚的なものであって、人により感じ方は異なります。で、気象観測データの数値でもって定量的に客観視するわけですが、考えたら観測データの数字を使ったとしても色々な物差しがあるハズです。この夏に高知県・アメダス江川崎で41.0度を記録したのは周知のことですが、「報道合戦」という商売に大喜びのマスゴミの狂想曲は、異常としか評しようがありませんでした。視点を変え、別の物差しで「暑さの度合い」を指標したならば、必ずしも江川崎が日本一暑い町では全くありません。私は、日本一暑い町は大阪であると考えています。で、少し拙論を展開致します。

まず、日最高気温の高い方からの歴代全国ランキングを示します。出典は、気象庁ホームページ 「歴代全国ランキング」 です。熊谷と多治見の40.9度を塗り替えて、江川崎が頂点の王冠を手にしました。アメダス江川崎を擁する四万十市は、「新しい観光資源が出来た」などと阿波踊りみたいに浮かれています。

●下表ではトップから1.0度下までを抽出しています。下表のランキングの大きな傾向は、中部日本から東日本の地点が大部分を占めているということであります。西日本勢としては和歌山県・かつらぎ、高知県・江川崎、愛媛県・宇和島の3地点しかランクインしていません。

最高気温の歴代全国ランキング
↑ なお、青の蛍光ペンで印をしてあるのはアメダスです。アメダスは気象台や旧測候所などの気象官署と比べると、露場(ろじょう)が狭すぎ、露場の地面は芝生ではなく防草シートを張ることが多く日光で熱を持ち、アメダス観測施設の横に車がビュンビュンと走向する道路であったりと、観測環境は劣悪です。で、本来ならば気象官署とアメダスを一緒くたにしてランキングするのは好ましくないハズです。しかも、データサンプリングの取り方が、1時間ごと → 10分ごと → 1分ごと → 10秒ごと、と高密度化の途上にあり、10秒ごとに気温データを取る気象官署とは異なります。(アメダスの10秒ごとのデータ取得システム変更はほぼ完成したみたいですが)4位の山形の40.8度は昔のアナログ式の最高ー最低温度計で観測されたものと思われ、現在の気温観測機器とは異なります。これらの観測機器が異なり、観測環境に大きな格差があり、データサンプリングの密度が全く異なる観測数字を、一緒くたにランキングするのは、おかしいと言えばおかしいハズです。多治見の2007年8月16日の40.9度は正10分のデータであり、江川崎の2013年8月12日の41.0度は正1分(実際はおそらく正10秒)のデータであります。多治見の2007年8月16日に正1分(正10秒)でデータ取得ができていたばらば、40.9度を超え、41.1度とか41.3度とかが示顕していた可能性があり得ます。要するに、最高気温ランキングには、観測環境がバラバラで、データサンプリングの密度もバラバラな数字が一緒くたに並んでいます。

●この問題を指摘されている方が、気象ファンのあいだで絶大な人気を誇る山形市在住のTwister氏で、江川崎で41.0度が出た裏事情を分かりやすい図解入りで、一連の記事を執筆されています。これは誠に瞠目すべき秀逸な記事で、これを読めばマスゴミ報道狂想曲の馬鹿らしさがよく理解できます。観測記録更新とアメダスの事情  41.0℃になった“本当の原因”を解説  尾花沢アメダス…アメダス巡礼:11 とくに、尾花沢アメダスの恐るべき観測環境に唖然とさせられます。わが南あわじ市のアメダス南淡は阿万塩屋にある国立淡路青年の家の入り口にあるのですけれども、横にアスファルトを張った大きな駐車場があります。南風のときはアスファルトの熱風にさらされる危険性があり得るでしょう…。どうやら全国のアメダスの周辺環境の総点検が必要なようです。このアメダスの劣悪な観測環境を知れば、まるでオリンピックで日本選手が日本新記録を塗り替えたかのようなマスゴミの報道の仕方は、間違っています。当たり前のことですが、陸上競技の記録はルールや評価方法を統一した記録同士でないと比較できません。


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さて、何を以って「暑い」というのか、その物差しを変えるとランキングの上位群はがらりと変わります。上掲の表では振るわなかった西日本勢が一挙に勢い付きます。

上掲の表「最高気温の全国ランキング」は瞬間的な暑さを比べたものです。普段は比較的に涼しい地方でも、暑くなる条件が何重にも重なって一瞬でも高温記録が出ることがあります。山形の40.8度などはそうでしょう。また江川崎などはこのたび日本記録を更新したとはいえ、山間部であり、夜間は意外に気温が下がります。日中はカーッと暑くなっても、夜間が涼しければ凌ぎやすいのです。そんな瞬間的な暑さよりも、毎日毎日続く継続した暑さのほうが遥かに身にこたえます。連日連夜うち続く寝苦しい暑さの方が体力を消耗させられます。そういう “身にこたえる実効的な暑さ” という観点から、最も暑い旬(10日間)である8月上旬の最高気温の平年値(1981年~2010年の30年平均)の全国ランキングが、下の表ですが、寝苦しさの指標として最低気温平年値もチェックします。


●下表もトップから1.0度下までを抽出しています。下の表の大きな特徴は、圧倒的に西日本の地点が占める(45地点中34地点)ということであります。中部日本勢としては10地点(岐阜県5地点・愛知県3地点・静岡県1地点・山梨県1地点)、東日本勢(関東地方)としては群馬県の伊勢崎がただ1地点のみランクインするだけです。

それと、上掲の表、最高気温歴代全国ランキング40.0度以上で、かつ下表にも入っているのは僅か6地点だけです。(岐阜県多治見・山梨県甲府・和歌山県かつらぎ・愛知県愛西・静岡県佐久間・岐阜県美濃) これは、明らかに、瞬間的な暑さと恒常的な暑さとが同一の地点として必ずしも一致しないことを意味しています。


8月上旬の最高気温平年値のランキング
↑ 岐阜県多治見と肩を並べる大阪府八尾は、統計期間が2003年~2010年と30年に満たないので、参考値とした。青色蛍光ペンでマークしたのはアメダス観測所です。(気象台・測候所・元測候所の気象官署ではないという意味) 黄色蛍光ペンでマークしてあるのは熱帯夜の基準の25.0度以上です。

8月上旬の最高気温平年値のランキング 関連参考値

●考察するに、埼玉県・熊谷など東日本勢は、暑いことは暑いのですが、涼しい日もあり、最高気温の平年値ではそれほどではないといえましょう。東日本は西日本よりも若干高緯度になるし、しばしば夏でもオホーツク海の海洋性冷涼気団の南下の恩恵があります。

明らかに大阪が日本一暑い町です。比較すると、多治見も江川崎も熊谷も、夜間には気温が下がります。
一方、西日本ではオホーツク海からの冷涼風は中部山岳でせき止められて恩恵が全く届きません。夏の間づうーっと暑く、涼しい日など望むべくも有りません。これが最高気温の平均値を押し上げています。たまに涼しい日があれば一息つけますが、夏じゅう暑いのはこたえます。特に、大阪は最低気温も高く、25.7度と熱帯夜のレベルです。最高気温平年値では多治見よりも0.3度低いのですが、僅かな差です。一方最低気温平年値は多治見よりも大阪のほうが2.9度も高いのです。これを理由として大阪が日本一暑い町であると私は考えます。そもそも大阪府はとても暑い府県で、参考値ながら八尾がトップの多治見と肩を並べていますし、上位群に大阪府のアメダスが軒並み並んでおります。

大阪は8月上旬の最低気温平年値が、本州の中では突出して高いです。東京でさえ24.8度と大阪よりも0.9度低いです。表から分かるように本州の大部分は最低気温平年値が25度未満です。やはり、熱帯夜の多さという観点を加味して大阪が日本一暑い町と言えましょう。

●あるいは、夜温が下がらないという意味では、沖縄県も非常に暑いといえるかもしれません。広大な海洋の中の島嶼という地理的条件から、沖縄県では極端な高温は出ませんが、30度に達する海水温の高さが災いして、最低気温が非常に下がりにくいです。石垣島の7月中旬の最低気温平年値が27.7度というのは、スーパー熱帯夜のレベルです。冬が暖かい沖縄県は、リタイアした退職者などの移住先として大人気でありますが、スーパー熱帯夜が常態化し、普通の熱帯夜でも6月から9月まで延々と4か月も続くことを考えたら、私は沖縄県への移住はイヤであります。(沖縄の人には悪いけど)


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