雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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徳川家康が愛飲した幻の薬酒 「忍冬酒」 を作ろう。(その1)     スイカズラは日本薬局方に収録されている薬草。
徳川家康が愛飲していたという忍冬酒を造って、水割りで飲むのはいかが? ただし、忍冬酒を飲んだからと言っても、天下は取れませんが…。

●スイカズラ科スイカズラ属の スイカズラ であります。ありふれた蔓草で、野でも山でもどこにでも自生しております。わが南あわじ市では意外に多いのは海岸で、写真は南あわじ市灘の沼島汽船乗船場の近くの防波堤で撮りました。防波堤のコンクリートの隙間に根を伸ばしているみたいです。土壌が無い、乾燥、強日射、コンクリートの照り返しによる高温、潮風などの悪条件(本当にそうかどうかは不明ですが)にもびくともせずに、元気よく頑強に育っております。本来は非常に丈夫で環境の変化にも適応力の高い蔓草のような印象がいたします。アメリカやヨーロッパに持ち込まれてスイカズラがはびこり、害草化しているらしいのですけれども、むべなるかなという感じであります。

●これは、素人なりに長年自然観察をしている私の直観ですが、海岸は強風や乾燥や潮風など多くの植物には条件が良いとはいえない環境です。そういうところでスイカズラが意外にはびこり元気よく生育しているのは、他に競争相手の植物が少ないからではないか? 内陸部の多くの植物が生育しやすい環境のいいところでは、競争相手が多くて、必ずしも競争に勝てない。しかし、海岸では実は環境が悪いのではあるが、競争相手が少ないからスイカズラが我が世の春を謳歌できる…、のではないか? つまり、ヨーロッパやアメリカにスイカズラが帰化してはびこり害草化していることと本質的には同じ…。

スイカズラの全草
↑ 南あわじ市灘土生の防潮堤で元気よく生育するスイカズラ。コンクリートの壁に登っております。

スイカズラは有名な薬草
身近にあって忘れ去られた薬草に、スイカズラがあります。薬の品質規格基準書であるところの厚生労働省の 『日本薬局方・にほんやっきょくほう』 にニンドウという名で収録されています。国家のお墨付きの薬草であります。“忍冬・ニンドウ” と言えば中国の有名な漢方薬でありますが、中国のニンドウにごく近縁の蔓植物のスイカズラも成分は変わるものではなく、古くから人々の間で薬草として利用されてきました。とりわけ、400年余り前に、戦国武将たちが群雄割拠して内戦・分裂状態の日本国を統一して最高権力者の座に就いた徳川家康が、スイカズラから作る “忍冬酒・にんどうしゅ” を愛飲していたことは良く知られてています。しかしながら、西洋医学の薬が普及するにつれてスイカズラが薬草であったことは次第に忘れ去られ、家康が愛飲したという忍冬酒も全く幻の薬酒となってしまいました…。


酒税法違反に当たるかも?
淡路島南部の南あわじ市の山野では、6月の今頃がスイカズラの花期であります。もう花期は終盤かもしれませんが、身近なところで沢山咲いております。ありふれた普通種でありますが、本種は歴史上有名な薬草です。焼酎にスイカズラの花とコウジとモチ米を投入して糖化発酵させて造るのですが、ひょっとしたら酒税法違反に抵触する可能性が無きにしも非ずです。コウジで糖化発酵させても甘酒になるだけでアルコールはできません。アルコール分は最初にある焼酎の分だけです。さらにアルコールを醸造させるわけではないのですが、禁じられているみたいです。で、その作り方を研究してみましょうということであります。(実際に作るのではなく、文献調査等により作り方の研究です。逃げ口上ではありません。)実際につくるのは焼酎と氷砂糖で作ります。これならば酒税法違反に抵触しないみたいです。ま、逮捕されるのも厭わない方は、コウジを入れるといいでしょう…。

薬事法違反に当たるのかどうか??
なお、スイカズラは忍冬という名の生薬の原料であり、この忍冬(ニンドウ)は厚生労働省の 『第十六改正日本薬局方』 に収録されています。で、スイカズラで忍冬酒を造ることは薬事法に抵触しないか? という危惧が少しありそうですので、造るまえに、造っても良いものかどうか厚生労働省に問い合わせしたほうがいいかもしれません。


スイカズラで徳川家康が愛飲した忍冬酒をつくるのは、いろいろとヤバい面がありそうですから、実際に家庭で作るのはこっそりと造る必要がありそうです。“忍冬酒が出来たよ!” などと、おおっぴらに吹聴するのはマズイです。逆に申せばヤバイからこそ造ってみたいのが人間の心理でもありますが…。

スイカズラの花は金銀花
↑ スイカズラの花です。南あわじ市では花期は5月下旬~6月中旬ぐらいですが、山の方にいくと結構遅くまで咲いております。1個1個の花の寿命は2~3日なんですが、次々に咲いていくので花期は1カ月ぐらいの幅があります。葉は個体によって変異が大きく、丸っこい物から長細いもの、時には葉の縁がギザギザになったものなど変化に富みます。花も最初は白で翌日に黄色に変化しますが、変化の程度もその個体により差がありそうです。時には紫がかった薄い赤い花のものが出てきます

スイカズラは日本薬局方に収録されている!
第十六改正『日本薬局方』1563頁から
↑ 平成23年3月24日、厚生労働省告示第65号の 『第十六改正日本薬局方』 1563頁を写真に撮りました。本品はスイカズラの葉及び茎であると書かれています。それにしても、居ながらにして厚生労働省のホームページで日本薬局方が閲覧できるようになったのは、便利な時代になりましたね。昔は大きな図書館に行かないと見られませんでした…。

●話題が少しそれるのですけれども、スイカズラの学名は上掲の写真引用にある通り、Lonicera japonica Thunberg であります。しいてカタカナ読みすれば、 “ロニケラ ヤポニカ チュンベリー” でありましょうか? 学名は申すまでもなく “属名+種小名” の二名法で斜体字で書き、できれば命名者を付記するものでありましょうが、スイカズラの学名の命名者は有名な チュンベリー のようです。ケンペル、シーボルトと並んで江戸時代の日本に西洋医学をもたらした出島の3学者です。みな医者であると共に博物学者・植物学者であり、日本の近代化に果たした貢献は偉大でありましょう。たしか、日本史の教科書にも名前が載っていたと思います。

(拙稿は続く)

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コメント
maximus1 さま
イギリスから、はるばるとコメント有難うございます。

>>貴方のブログを私のブログで紹介しても宜しいでしょうか
ご紹介していただくほどのブログではありませんが、宜しいです。ご自由にどうぞ。拙ブログの、私が書いた文章と私の撮った写真は無断転載OKです。ご連絡くださったならば写真の原版を差し上げますよ。

おおっぴらに造るのはヤバイ、というのは日本国内の話で、イギリスじゃ大丈夫なのではないですか? 日本は家庭での自家どぶろく造りさえ、酒税法という悪法で厳格に禁止されているガラパゴス化した奇妙な国です。むしろ、家庭での酒造を解禁したほうがビジネスチャンスが発生するという見方さえあります。酒造メーカーによる “酒造り指南ビジネス” が考えられるし、“家庭用酒造りキット” が飛ぶように売れる筈です。でも、ドブロクにしても何にしても酒の造り方は想像以上に難しく、失敗の方が多く、ろくな酒はできないでしょう…。密造酒を造っていたスナックの経営者から以前に聞いたのですが、密造酒は失敗作が多かったとか…。結局、酒造メーカーの売上は落ちないし、酒の税収も減らない…。

http://sitakisou.blog.fc2.com/blog-entry-573.html
こちらのチラシに書いた 「こくもんじ」 という野生の果実で、こくもんじ酒を造ろうとしましたが、また失敗です。以前は上手く行ったこともあるのですが、そのときの気温や、微妙な配合の仕方で、成否が分かれるようです。家庭で酒を造るのは本当に難しいです。

日本に外来植物が侵入したり導入されるのと逆に、日本の植物が海外に持ち出されて、はびこるようで、例えばアメリカに導入されたクズ(葛)が害草化して困っているとか。スイカズラもヨーロッパで害草化しているとか色々な資料で読むのですが、イギリスにもスイカズラが侵入しているのですか? もしスイカズラがあるのでしたら、花だけでなく、葉を乾燥させて使うという手もあります。大いに忍冬酒を造りましょう!

ちなみに、6月下旬に仕込んだ私の忍冬酒は、「焼酎 + スイカズラの花 + 蒸し米 + 麹」 で仕込んだ本式のもので、隠し味(隠し材料)にノイバラの花を添加しました。現在、仕込み40日あまりで、コハク色のいい色になり、芳醇な甘い香りを漂わせています。5日ごとに攪拌させて発酵を促していますが、まもなく出来上がりです。

厳格な規定の日本の酒造法ですが、いまのところ、家庭で酒を造って摘発された事例は、たしか1例もなかったと思います。ので、たとえば、酒の完成を祝って盛大に “利き酒会” を開催、警察署長と税務署長を招待するなど、大っぴらなことをしない限り大丈夫だと思います。
2013/08/11(日) 10:31:15 | URL | 山のキノコ #js83eNAU [ 編集 ]
こんにちは

イギリスから初めまして。
スイカズラでお酒を造ろうと思い検索してたら・・・
面白いブログを発見!早速コメント致しました
貴方のブログを私のブログで紹介しても宜しいでしょうか

スイカズラで徳川家康が愛飲した忍冬酒をつくるのは、いろいろとヤバい面がありそうですから、実際に家庭で作るのはこっそりと造る必要がありそうです。“忍冬酒が出来たよ!” などと、おおっぴらに吹聴するのはマズイです。逆に申せばヤバイからこそ造ってみたいのが人間の心理でもありますが…。
                ↑
これが・・また良いですよ、惹かれます(笑)

それでは・・お返事お待ち致しております
2013/08/11(日) 07:01:31 | URL | maximus1 #XH7b7Abc [ 編集 ]
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