雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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山頂から見渡せる距離 (その3) 実際に目視できる 「視地平距離」 は、三平方の定理で求めた数字の7~8%増し。 
光は、かならずしも真っ直ぐには進まない…
光は真空中では真っ直ぐに進むとされるのですけれども、強い重力場の影響を受けると光の進路は曲げられます。また、光が真空中ではなく、たとえば空気とか水とかの媒質の中を進むとき、光の進路上の、その媒質に密度変化があったら光の進路は曲げられます。この、必ずしも光は真っ直ぐに進まないということが、富士山から水平線(地平線)を遠望したとき、幾何学的な計算上の水平線を越えて、より遠いもの(より遠い水平線)が見えてしまう要因なのでありましょう。

光が真っ直ぐに進まない(屈折する)ことにより起こる現象
2011.10.03 拙記事 「浮島現象、今秋初めて現る!」 より写真を再掲いたします。掲げた2枚の写真は、写真を撮る十分な機材がないために、極めて不鮮明ではありますが、島が浮きあがったり遠くの建物群がゆらゆらと幽霊みたいに足がないのが分かります。これらは浮島現象と呼ばれる蜃気楼の一種です。これは下位蜃気楼で、海面上の空気が暖かく、その上に冷たい空気が乗っかっていると光が真っ直ぐに進まずに、曲がって進むために生じると説明されますが、拙記事にリンクしてある日本気象学会の解説記事に図解があります。

『光と色と』 様 「海上に現れる蛤の化け物 蜃気楼の仕組み」 が簡単明瞭に解説しています。上位蜃気楼と、下位蜃気楼の発生気象条件は全く正反対です。

上位蜃気楼(富山湾の蜃気楼が有名)……… 上暖下令 春から夏におこる。 冷たい水の上に暖気浸入。
下位蜃気楼(浮き島や、逃げ水など) ……… 下暖上冷 秋から冬に起こる。 暖かい水の上に寒波襲来。


以下2枚の写真は下位蜃気楼の浮島現象
2011年10月に、兵庫県南あわじ市灘海岸から、和歌山県を遠望したもの。わたくし山のキノコの作品です。

浮島現象

建物が空中に浮かぶように見える

だるま太陽など歪んだ落日も、空気の粗密の揺らぎで光の進路が乱れるためでありましょう
グーグル画像検索で 「sunset mirage」 をキーワードに検索してみた 写真の不足をグーグル画像検索に補っていただきます。グーグル画像検索は大変すぐれものです。どこのどなたが撮ったのか全くわかりませんが、英語検索をかけたので恐らく世界各国のカメラマンが撮った写真であろうかと思うのですが、色々な面白い形の太陽が見られます。これらいびつな太陽も光がいろいろと屈折して進むために起こった現象でありましょう…。

 
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大気差について
●星などの天体が水平線(地平線)近くにまで落ちてくると、天体からの光は大気の厚い層を通ってくるので、光の経路は直進ではなく下方(大気の密度が高い方に)に曲げられます。そのために天体の真の高度よりも、見かけの高度のほうが高くなってしまいます。その高度の差が大気差であります。水平線ギリギリのところでは0.5~0.6度もあります。しかし、それは必ずしも一定の数値ではなく、その時の湿度・気圧・気温など大気の物理状態によって変化するものであり、大変複雑な計算をしなければ大気差が求められないらしいですが、考えたら、光が自分の目に飛び込んでくるまでの経路上の空気の物理的性質など全て分かるハズがなく、したがって真に精緻には計算しようがないのでは? まあ、近似的に、経験的に、これぐらいか? ということでしょうかねえ?

ところで、水平線に今まさに沈む夕日はやや扁平になることが多いのですが、この大気差から説明が付きそうですね。太陽の視直径は0.53度とされますが、いままさに太陽の下の縁が水平線に達したとき、下に掲げた理科年表の表から、太陽の下限と上限では大気差が2割ほども異なっています。これが落日が少し扁平に見えることが多い理由でありそうな感じがします。 また、水平線近くでは大気差と太陽の視直径がほぼ同じ数値です。ということは、日没の際、太陽の下限が水平線にタッチしたときには、本当は、太陽はちょうど水平線の下に没し終わったところといえましょう。逆に申せば、本当は沈んでいる筈の太陽がまだ見えていることを意味していましょう。

なお、太陽の光が地球に届くのには8分ちょっとかかります。したがって、今見ている太陽は8分前の太陽です。1分に太陽が動く大きさは、360(度)÷1436(分)≒0.25(度)になり、0.25(度)×8(分)=2(度)となります。すなわち、太陽はすでに3個分の角度だけ没しているじゃねえか、とツッコミが入りそうですが、それはまた別の話であります。

「大気差」 「視地平距離」 はどこのどなたが作成したのかは不明ですが、とても参考になります。 見えている月がそこにはない 大気差の仕組み は説明が簡単すぎるきらいがありますが、分かりやすいです。
 

主な視高度について大気差の数値

大気中の光の経路は屈折する
↑ 作図はあまり上手くないけれども山のキノコが作成した。

さて、以上を踏まえて拙稿のその1で示したところの、山の上から水平線(地平線)を遠望して見ることが出来る最遠のところまでの距離の簡便計算法を、大気差を考慮に入れて書き直します。

●視地平距離を計算するのに、海上保安庁水路部では、天測計算表及び灯台表において経験的に次の式を使用しているということであります。われわれは山登りなのであって、航海士ではないのですけれども、この近似的な計算法は大いに参考にできるのではないでしょうか? 山でも海の男たちの知恵を大いに活用しませう。
Dh=2.072・(h)0.5 (天測計算表)
Dh=2.083・(h)0.5 (灯台表)

なおDhは視地平距離、2.072および2.083の数字は海里(1海里=1852m)、0.5乗とは平方根のことです。

3570 × 山の高さの正の平方根 (三平方の定理からの計算で、大気差が考慮されていない)

3837 × 山の高さの正の平方根 (海上保安庁・天測計算表からの視地平距離) 
3857 × 山の高さの正の平方根 (海上保安庁・灯台表からの視地平距離)

●海上保安庁の経験則に基づく簡便な計算式は2つあるので、中間をとればいいかも??
3847 × 山の高さ(m)の正の平方根
富士山の山頂から遠望して目視できる水平線までの距離は、3847 × √3776 = 236395mで、おおよそ236km先に目視している水平線があることになります。どうりで、妙法山が見えるわけだ。

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瀬戸内海に沈む落日です。朱色が目にまぶしい美しい写真です。この太陽が、実は、もうすでに水平線の下に没していると言っても、信じられるだろうか? 「大気差」などという用語は、光学・天体観測・航海・測量などの専門分野の人々以外の、一般の者では一部の天文ファンぐらいしか知られていないから、ほとんどの人は信じないに違いない……。おたけさんの作品
↑写真家になった「おたけさん」の作品です。綺麗な写真ですねえ。また、お借りして再掲させていただきます。おたけさんにはいつもお世話になり有難うございます。お借りした写真は手を変え視点・視座を変えて何回でも活用させていただきます。

●大気差を考慮に入れると、この太陽はすでに水平線の下に沈んでおります。写真に見えている太陽は、光が曲がって進んだために水面下に落ちた太陽が見えているだけです。つまり、本当はすでに見えなくなっているにもかかわらず光が屈折して進むために見えているもので、たとえるならば蜃気楼か幻影みたいなものなのです。


このように、自然界でも、今見ているものが本当の姿ではないということが実際にあるのです。まさか? と不思議に思えることが沢山あるのです。今、自分の目で見ているものが本当なのだろうか? と疑ってみることが必要といえましょう。自然は人の目を騙す意思はないのでしょうが(生物はありますが)、ウソがあるのです。まして、欲望に目がくらんだ人の世の中というのは、社会現象や人文現象は錯覚・幻視・虚構・欺瞞・詐欺だらけかもしれません…。そういう前提に於いて、原発は安いとか、TPPは日本の為になるとか、消費税10%はしかたがないとか、生長を目指すアジェンダは正しいとか、オスプレイが日本列島を飛び回るのは国防上必要だ、などの権力者からのプロパガンダは疑ったほうが宜しそうで…。1カ月後に参議院選挙ですが、有権者がプロパガンダに乗せられないか心配しております。が、清き1票を投票するべき候補者がおれへんわなあ…。どの候補者も権力者たちのしもべ、手先ばかりだよね…。

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