雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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サクラ (桜) について考える。(その1) 野生のヤマザクラ(山桜)は森林破壊の証拠。
議論を展開する前に、まず、2つの場所の森林を観察します。どのような種類の樹木が生えているか? その樹木の樹齢や古木なのか幼木なのか? などに着目して観察いたします。

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【観察ポイント その1】 
兵庫県南あわじ市北阿万大日ダムです。ダムの池の対岸の山を眺めました。観察日は2013年4月4日。
ヤマザクラが高密度で自生しています。ヤマザクラだらけであります。スギ(杉)の植林も見えていますが、植林のないところはヤマザクラばかりです。
●下の写真で、白っぽいもの、淡い桃色のもの、淡い赤褐色のものはヤマザクラです。橙色ないし赤褐色のものは花が少なく葉ばかりの葉桜であり、萌え出たばかりの若葉でありましょう。白っぽいものは花が多いものです。サクラは栽培されるサトザクラ(里桜)でも、野生のヤマザクラ(山桜)でも、若木のうちは花付きが悪く、成木・老木になると花付きがすこぶる良くなる傾向があります。良く見るとサクラの間にスギの植林が見えます。しかし、逆で、スギの植林の間にサクラがあるのかも分かりません。

遠目にも、比較的に若い木が多いように見えます。あまり大木とか巨木とか老木はないようです。このヤマザクラの優占する森は、森自体の樹齢は20~30年か? 30~40年か? というふうな感じであります。どう見たって老成した古い森林には見えません。もしかしたら、30年か40年ぐらい前にこの山の森林が伐採されて、そのあとにスギの植林をしようとしたけれども、何らかの理由で山の一部にしか植林をしなかった…、のではないか? という想像もできます。スギは山の谷筋など水分の多いところを好みます。乾燥する尾根はヒノキならば適地ですが、スギは植林にあまり適しません。尾根のスギはたいてい生長が悪いです。スギを植えるには、急斜面過ぎたとか、乾燥しやすい山だったとかで、山の一部の条件のいい所にだけスギを植えたのでは? と想像しています。

おそらく、このヤマザクラだらけの森林は、かつて伐採された跡に成立した “二次林” であり、まだまだ若い森林であろうかと思います。

2013年4月4日 南あわじ市北阿万大日ダムにて

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観察ポイント その2
兵庫県南あわじ市賀集にある淳仁天皇陵です。鬱蒼と茂る極相林です。観察日は2013年4月9日。
極相林に達した暖帯照葉樹林であります。林冠がモコモコとして積乱雲みたいな樹木のシルエットであります。
●これは、第47代の淳仁天皇(じゅんにんてんのう、733年~765年)の陵(みささぎ)です。「陵」とは天皇・皇后・皇太后を葬る丘のような大きな墓のことを言うのででありますが、犯すべからざる神聖な場所であります。昔も今も、基本的には何人も立ち入り禁止です。元は、人工的な築山であるハズですが、なんせ1200年にわたり立ち入りが禁じられましたから、樹木が生い茂っても、それは禁伐林であります。文字通りの、千古斧鉞(せんこふえつ)の入らぬと表現すべき太古のままの鬱蒼とした森になっています。草木が生い茂るままに1000年間放置すればどうなるのか? の壮大な生態学的実験場であります。

大木や巨木が多くて、鬱蒼と茂っています。常緑の葉が林冠を覆っていますから、林床を覗きこむと薄暗いです。ここは立ち入ることはできませんが、掘りの外から間近に観察できます。樹木の種類は、高木層にシイ、クスノキ、ホルトノキ、ミミズバイ、イスノキなど暖帯照葉樹林では常連の樹木がみられますが、何故かカシ類(アラカシ、シラカシ、ウラジロガシ)が欠落しています。亜高木層にはヤブツバキとカクレミノが多いです。階層構造が顕著に観察できる古い森林であります。重要なポイントは、ヤマザクラが全く見られないことです。

2013年4月9日 南あわじ市賀集にて
2013年4月9日 南あわじ市賀集にて
2013年4月9日 南あわじ市賀集にて

(拙稿は続く)
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