雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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サクラの開花が記録的に早いが、特別に暖冬であったわけではない。
●万象を凍てつかせた冬が去り、桜花の蕾が膨らみました。九州地方では開花が観測されましたが、わが淡路島でもサクラの開花が秒読み段階となってきました。けれども、旧洲本測候所は2003年に完全に無人になって早や10年になります。それ以前も早くから夜間無人で、忘れもしない兵庫県南部地震では発生が午前5時47分でしたか?職員が登庁してくるまで無人です。で、震度6を記録した地震計に事故があり、洲本測候所の震度データが報告・配信されるのが遅れてしまいました。気象庁は、リストラを進めて測候所を次々に廃止してしまいましたが、無人化による弊害はハッキリと顕在化しています。表向きは「観測の機械化が進み、無人で観測が可能となった」としていますが、おそらく、多分、気象庁の技術官僚は観測が嫌なのではないか? というふうな気がいたします。

山岳小説家とされる新田次郎の『芙蓉の人』という小説は、気象観測に関する異色の小説です。明治時代に冬の富士山に登って、高山病や凍傷と戦いながら命がけで高層気象観測をする野中至夫妻の話で、やがてそれは富士山測候所につながるのですが、そのような気象観測に命を賭けた先人たちの熱い情熱や使命感は、もはや現在の気象庁の本庁内勤の技官役人には継承されていないのではないか? たぶん「現場」というのがイヤなんでしょうけれども、表向きは観測機器が良くなったので無人で観測できるんだ、ということでありましょう…。そりゃあ、確かに、気温・風速・気圧・日照などもろもろの観測要素は無人で自動観測ができるでしょうけれども、生物季節の観測などは機械化観測は全く不可能で、せっかく80年続けられた生物季節の観測も途切れてしまいました。

近藤純正氏の富士山頂の冬の気圧 ―小説「芙蓉の人」― を参照。

●そういう理由で、淡路島のサクラの開花が正式に観測されることは、もはやありません。サクラの観測は観測所の中か、あるいは近隣に「標本木」を定めて、時期が来ると毎日その木を観察してサクラの開花が観測されます。旧洲本測候所の標本木はまだ存在するみたいですけれども、観測する気象庁の職員がおりません。したがって正式に淡路島でサクラの開花が観測されることはないのです。洲本市の市民グループがその標本木を観察してはいるみたいですが、それは正式なる観測ではないでしょ。気象庁の生物季節観測統計データに載ることはありえません。


旧洲本測候所の2013年冬の気温推移
↑気象庁の観測データを拾って、勝手にグラフ化してみました。 面白いのは、日最高気温の平年値の移動線と、日最低気温の平年値の移動線との、幅です。幅というのは、つまり気温の日較差を現わしています。ようするに平均日較差でありますが、12月ころよりも3月のほうが明白に広がっています。3月は寒暖の差が激しいというのは良く知られています。それは、寒い日と暖かい日の差が極端だというだけではなく、1日の中においても寒暖の振幅が大きい ということがグラフから読みとれます。

●さて、淡路島では正式なるサクラ(ソメイヨシノ)の開花の観測は行われないとは言え、しかしながら、島内のソメイヨシノはまもなく咲いてきましょう。秒読み段階になってきました。どうやら、昨年よりもかなり早そうですが、何故だろうと思い旧洲本測候所の今冬の気温推移のグラフから少し考えてみました。おそらくこういうことだと思います。

12月~1月は寒かったです。最高気温も最低気温も、平年値の移動線よりも下側にあることが多かったです。2月上旬に一時的に暖かくなったのですが、2月もおおむね寒かったです。で、しっかりと寒かったから、落葉樹であるサクラの休眠打破が順調良く進んだ。のでありましょう。その休眠が破れたところに一挙に暖かくなったので、サクラの花芽が急速に生長してきた。つまり、厳しい寒さの後に、急速に暖かくなった のがサクラの開花が早まりそうな理由でありましょう。暖冬で暖かかったからサクラの開花が早いのでは決してなくて、むしろ、厳冬(寒冬)であったからこそ早いのだといえましょう…。


2013年春の各地のサクラの開花状況
開花日】  【開花観測気象官署】 赤字は観測史上過去最速記録、桃色は観測史上最速タイ記録です。
3月13日  福岡管区気象台宮崎地方気象台
3月14日  大分地方気象台
3月15日  鹿児島地方気象台 ・ 高知地方気象台
3月16日  熊本地方気象台 ・ 長崎地方気象台 ・ 東京気象庁
3月17日  静岡地方気象台 ・ 松山地方気象台
3月18日  佐賀地方気象台 ・ 横浜地方気象台

●民間の怪しげなサイトが沢山ありますから、正確な情報は 気象庁ホームページ 「2013年のさくらの開花状況 」 を見たほうがよろしいです。そもそも、生物季節の観測をしているのは気象庁であります。民間が独自に観察してああだこうだと言っているのは、あくまでも参考にはなっても正式統計ではありません。
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