雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その11)
●行政が主導し民間も加担して税金も使って一生懸命に運動して、目出度く世界遺産に漕ぎつけた暁には、いったい何がおこるのか? 運動中は取らぬ狸の皮算用の金儲けの欲に目が曇っているので、バラ色の想像しかできないのですけれども、いざ世界遺産登録が満願成就したのち、なんか違うなということがかなりあるみたいです。登録後に世界遺産のマイナス面が見えてくるのであります。登録後に見込まれる直接的観光収入と経済波及効果がどれぐらいかと試算・予想して運動するのですけれども、それはまさに “取らぬタヌキの皮算用” そのものなのです。

お断り】 拙稿の世界遺産に関する連載記事は、その主旨は、私の住む南あわじ市のムダづかい体質の行政批判です。私は国際条約に基ずく世界遺産の目的の「遺産の保護や保存」には全く賛成です。世界遺産そのものを批判しているのではありません。世界遺産条約の崇高な趣旨を全く理解せずに、観光資源の箔付けのための “ミシュランの三つ星評価” かと曲解・勘違いして、アホな運動をしている自分の住む市の行政批判なのです。先に世界遺産に登録されている先進観光地(?)を事例としてとりあげていますが、あくまでも他山の石として教訓を学ぶための引用であります。私としては、他山の石が、観光が賑わおうが沈滞しようが、あまり関心がありません、

石見銀山の観光施設利用状況
石見銀山 観光施設利用者数
(注)熊谷家は平成18年4月一般公開。
島根県大田市のHPの 『大田市の統計』  平成19年版40頁 および 平成23年版(最新)42頁から抜粋した。

お客様が急増したのち、急減するのは最悪のパターン!
石見銀山観光施設 入込数

●世界遺産に登録されて観光客が増えた事例として、島根県大田市の 石見銀山 を取り出してみましたが、正式な世界遺産名は「石見銀山遺跡とその文化的景観」であります。観光客が増えることは増えたけれども、線香花火がパッと輝いて消えるみたいだなんて言ったら、関係者に叱られるでしょうが、多分に一過性の増加の傾向が見られます。観光業というよりも産業として見た場合、お客さんが急増して後に急減というのはまことに具合が悪いです。最悪です。当たり前のことですが、お客さんが急増したら、つい、その増加は続くものだと思いがちです。そうすると、設備投資とか従業員を増やしたりとなりましょうが、それが裏目に出てしまいます。せっかく雇ってもらった従業員はすぐにクビです。会社は過剰設備を抱えて経営悪化しましょう。わたくしは会社の経営などしたことはありませんが、数銘柄の株式を所有しているので、会社の栄枯盛衰は常に観察しています。で、このパターンは非常に厄介です。

●お客さんが急増するというのは、本来ならばまことに好ましい喜ぶべきことなんですが、一過性に終わり、続かなかった場合は最悪です。目もあてられません。一時は売上が急増し、営業利益・経常利益も急増するでしょうけれども、下手に設備投資などしてしまいますから、コストも上昇、損益分岐点も上昇、そこにお客さんの急減が来ると、運が悪いと大赤字転落です。経営という面では、お客さんの一過性の急増は要警戒です。経営者泣かせ、従業員泣かせ、株主泣かせ、なのです。大抵の場合、お客様の数が元の黙阿弥まで減らなくても、経営的には元の状況よりも悪くなるのが普通です。こんなことになるのだったら、お客様が横ばいだったほうが良かった、と恨み節を言うでしょう。


『大田市 新観光計画 ~滞在型観光をめざして~ 平成21年6月』
上の当事者の資料を読むと、『石見銀山資料館から龍源寺間歩までの往復6㎞余りを「歩く」ことを基本に置くことになった』(12ページ)とあります。押し寄せる観光客で増便した路線バスが、騒音や排気ガスの問題を引き起こし、廃止せざるを得なくなった、そのために、観光客が6キロも歩かされた! など観光客が減る要因はあったみたいです。けれども、なんとか 「90万人程度を目標値とし、最低ラインとして昨年並みの約70万人から本年の見込みである80万人の間を維持していきたい」(17ページ) といろいろ手を打っているみたいですけれども、結局50万人まで低迷しています。この資料には、世界遺産の登録が叶った自治体の 「苦悩」 や 「あせり」 が色濃くでています。結局のところ、世界遺産効果は一時的な効果しかないということでありましょう。

あまり語られない観光公害!
『世界遺産は楽じゃない 騒音やゴミで「観光公害」 朝日新聞(2011年6月21日)』
●この記事が何時まで閲覧できるかわかりませんが、観光の持つマイナス面にも目を向けた良い記事です。

世界遺産観光のマイナス面
★観光客のマナーが非常に悪い。旅の恥はかき捨ての不心得者が多い。ゴミを捨てるわ、民家をのぞきこむわ、庭
 の鉢が盗まれるわ。泥棒同然の観光客がおる。

★旅行会社の人や観光バスの運転手が、威張って偉そうな口を叩く。わしらがお客さんを連れてきてやっているん
 だ、という態度を露骨に出す。で、当然のことのように法外なリベートを要求する。

★また観光客がやたらと道を聞いてうるさい。観光ルート上にある民家では1日に何十回も道をきかれて、生活のペ
 ースが乱される。うるさい。ちゃんと地図を見なさい。

★今まで鍵も不必要だったような静かで平和な地域の生活が、一転して喧騒と治安悪化とで根本的に脅かされる。
 危なくて、うかうかと道も歩けなくなる。

★観光客の乗り入れるクルマで狭い道路は大渋滞する。迷惑な路上駐車がはびこる。また、地域住民の足の路線
 バスが観光客で占領される。住民の暮らしに支障が出る。大迷惑だ。

★世界遺産の目的はあくまでも保護と保存である。よって、住居の改築・改装に規制がかかることがある。自分の土
 地であっても自由にさわれなくなる。不便な暮らしを余儀なくされることがあり得る。

★地域の開発が規制されることが多い。保護と開発は水と油みたいなもので、まっこうから対立することが多い。そ
 の地域は開発発展が法的に制限され、そこだけ時間を止められてしまう。

★観光収入が特定の業界・特定の業者に傾斜配分されるだけで、地域全住民が恩恵に与るのではけっしてない。カ
 ヤの外に置いてけぼりの住民は多い。不公平だ! 言うほどの経済連関・経済波及効果はない。

★何ひとつ恩恵もなく、逆に被害だけという損な住民も出てくる。得する人と損する人との対立から、地域住民の古き
 良き連帯が破壊される。地域のコミュニティーが崩されてしまう。

★外部からの資本や大手業者(たとえば、有名大手観光ホテルなど)がすべからく観光収入を総取りする。地元の業
 者はごく一部の下請業者がおこぼれにありつくだけ…。

★地元住民に観光利益が還元されないから、地元経済は回らない。地元の零細業者がつぶされる。地元業者は大
 手との競争に敗れて廃業していく。予想と逆の現象が起こる。いわゆる 「合成の誤謬」 というやつだ。

★一部の地元政治家と地元役人が、大手業者と結託して利権にする。彼らが太る一方で、世界遺産推進で税金が
 流し込まれて、その税金を担税させられる地元住民はやせ細る。

★世界遺産登録で観光客増加効果は、一時的な効果である場合が多い。マスコミが取り上げて一時的には話題沸 騰するけれども、数年もしないうちに忘れ去られる。マスコミがいつまでもタダで宣伝してくれるわけではない。

★忘れ去られないようにするには、積極的な宣伝を続ける必要があるが、膨大なコストがかかる。そのコストに見合うだけの費用対効果があるかどうか、極めて疑問だ。


思いつくまま並べても、これだけのデメリットがあります。じっくりと考えたり、調べたりすると、もっと沢山のマイナス面があるハズです。鳴門の渦潮を世界遺産にと、阿呆な運動をしている人々は、世界遺産登録がけっしてバラ色ではないことを直視するべきであります。


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