雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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カキ(柿)の実が熟して落ちる順番は、予測できるか? (その2)
(その1からの続き)

●カキ(柿)といえば極めて純日本風の果物であります。つい日本原産かと思ってしまいがちですが、栽培されているカキのルーツは、奈良時代に中国から伝来したという見方が有力です。非常に実が小さいリュウキュウマメガキとか常緑のトキワガキなど、カキの近縁種が諭鶴羽山系にも自生しています。しかし、栽培カキの起源と見られる原種が諭鶴羽山系はおろか日本列島の山野に自生していないし、縄文遺跡からもカキの種子が出土しないのが、中国渡来説の根拠です。そういえば、万葉集にもカキの実を読んだ歌は1首もありません。ということは、万葉集は、大勢の歌人たちが、花鳥風月を題材にして季節の移ろいを抒情的に詠んだものですが、秋になって柿を見て一首詠みそうに思われます。しかし、それがないというのは、万葉時代にはカキがあまり普及していなかったのではないか? 

万葉集の著名な歌人に、柿本人麻呂(かきのもと の ひとまろ) というのがおるんですが、彼が生存していた7世紀から8世紀にかけては、その名に柿の字が使用されているのをみてもわかる通り、カキが既に中国から伝来していた、けれども、カキの栽培はまだ普及していなかったから、身の周りでカキの木がほとんどなかった、で、万葉集に柿の実をたたえる歌もない、と推論できそうです。はたしてこの推論は当たっているか?どうか??

●さて、先のエントリーでは “熟したカキの実が落ちる順番は予測できるか?” という命題についてごく簡単に考察して、それは不可能だと結論付けました。たった13個の実しかないカキの木であっても、その13個の実をそれぞれ別々のものだと識別して、順番に落ちていく「場合の数」はなんと62億通り余りもあります。その62億通りの膨大な可能性の中から、現実に起こるのはたった1つだけです。それをを当てるなど絶対に不可能なことは、考察するまでもなく明明白白でありましょう。

この熟柿の落ちる順番の予測不可能性というのは、何かに似ているなと直感的に思うのですが、それは地震予知であります。熟柿がやがて木から必ず落ちるのと同様に、地震もいつかは必ず起こります。しかし、熟柿の落ちる順番を予測できないのと同様に、地震も予知は不可能です。日本列島に活断層は無数にありますが、次にどの活断層が動くのか?そしてどこで地震があるのか?全く分かりません。そういう意味では酷似しております…。

カキ(柿)の実と、地震との共通する性質 
両者の性質を、整理して列挙すると、酷似していることが分かります。

カキの実の性質
カキ ①熟したのちに、実とヘタ、あるいは実と果柄との接着癒合の緩
    みが進行し、その実の自重に耐えられなくなったら落ちる。

   ②たくさんある。大きなカキの木には何百個という実がなる。複
    数の木では何千何万と沢山の実がある。

   ③カキの実が落ちる順番は予測できないことはもちろんである
    が、ある特定の1個の実に着目しても、その特定の実が何月何
    日の何時頃落ちるか予測は困難。

   ④実が何時落ちるか、また、落ちる順番は予測できないが、実は
    必ず落ちる。いつまでも落ちないで木にひっついていることは
    ありえない。

地震の性質
地震 ①地殻内にひずみが溜まっていき、やがて臨界点に達してパチン
    とはじける。膨張していく風船がはじけるみたい…。ある限界
    に達してカキが落ちたり地震が起こったりという意味では、と
    てもよく似ている。

   ②海溝型地震は数が限られているかもしれないが、内陸で起こる
    地殻内地震はたくさんある。地震を起こす活断層は日本列島に
    無数にあり、未発見の活断層もあるハズ。したがって、カキと
    地震では発生の時間スケールが違うだけで、沢山あるというこ
    とでは同じ。

   ③地震が何時、どこで、どの程度の大きさで予測するのは不可
    能。気象庁がちゃんと認めています。

   ④しかしながら、予測不可能ではあるが、やがて必ず地震はおこ
    る。東海地震であろうと、南海地震であろうと、いつか必ず発
    生する。つまり熟柿必落・地震必発ということ。

気象庁は地震予知は不可能だと言っています。 
気象庁ホームページ「地震予知について」

【引用開始】
地震を予知するということは、地震の起こる時、場所、大きさの三つの要素を精度よく限定して予測することです。例えば「(時)一年以内に、(場所)日本の内陸部で、(大きさ)マグニチュード5の地震が起こる」というようなあいまいな予測や、毎日起きているマグニチュード4程度以下の小さな地震を予測するような場合はたいてい当たりますが、それは情報としての価値はあまりないと考えます。少なくとも「(時)一週間以内に、(場所)東京直下で、(大きさ)マグニチュード6~7の地震が発生する」というように限定されている必要があります。時を限定するためには、地震の予測される地域で科学的な観測が十分に行われ、常時監視体制が整っていることが欠かせません。そのような体制が整っていて予知のできる可能性があるのは、現在のところ(場所)駿河湾付近からその沖合いを震源とする、(大きさ)マグニチュード8クラスのいわゆる「東海地震」だけです。それ以外の地震については直前に予知できるほど現在の科学技術が進んでいません。
【引用終了】 強調青色着色は山のキノコ

●地震予知は、時・場所・大きさの3要素を細かく予測しないと予知したとは言えないし、それには科学的な観測・監視体制が敷いていなければダメで、予知の可能性があるのは唯一「東海地震」だけと、断言しています。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震が予測できなかったのは、当たり前であります。気象庁は東海地震以外は予知できないと言っておるのですが、ではその東海地震が予知できるのか?と聞かれたら、たちまちトーンダウンです。

気象庁ホームページ「東海地震の予知について」

【引用開始】
東海地震は必ず予知できるのでしょうか? 残念ながら、その答えは「いいえ」です。
前兆すべりが急激に進んでその始まりから地震発生までの時間が短い場合や、前兆すべりの規模が小さかったり、陸域から離れた場所で起こったりして、それによる岩盤のひずみが現在の技術では捉えられないほど小さかった場合などには、東海地震に関連する情報を発表できずに地震の発生に至ることがあります。
では、どのくらいの確率で前兆現象を捉えることができるのでしょうか? これも残念ながら「不明」です。
このように、東海地震を予知できない場合もあります。従って、他の地震と同様、自宅等の耐震性の確認、家具の耐震固定、食料・飲料水の備蓄の確認、避難場所や高台までの経路や移動手段の確認、家族との連絡方法の確認等、日頃からの十分な備えが大切です。
【引用終了】

●東海地震が予知できる可能性があるのは、①前兆現象があるだろうと考えられていること。②想定される震源域に高精度の観測網を敷いてあること。③判定するための「前兆すべりモデル」を明確にしてあること。3点を気象庁は挙げています。しかしながら、「前兆すべり」が小さすぎたり、沖合で生じたり、「前兆滑り」に即、地震本体が起これば予知できないのはもちろんのこと、「前兆すべりモデル」自体が一つの理論的な仮説であり、それ自体が間違っていることもあり得る、という意味を気象庁は正直に言っています。

●いやはや、地球温暖化では、異論・反論・懐疑論は山のようにあるのに、地球温暖化の原因を2酸化炭素のせいだと頑として譲らない気象庁ですが、地震予知はまあ無理だと正直にいう気象庁は、同じ気象庁であろうか? 驚きです。管轄する部署が異なるということがあるのかもしれませんが、これは利権の大きさの差ではなかろうか? と下衆の勘ぐりで勝手に想像しています。地球温暖化では総額毎年3兆円もの国家予算があちこちに流し込まれています…。
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