雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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冬来たりなば春遠からじ…
●いよいよ冬の到来であります。わが兵庫県の最高峰の氷ノ山(1510メートル)で初冠雪という便りが届きました。隣県徳島の盟主の剣山(1955メートル)でも、三好市の観光ライブカメラで確認すると、初冠雪とも霧氷ともつかぬもので真っ白になっておりました。(ライブカメラを覆う保護ガラスにびっしりと霧氷がついていたので、不鮮明映像からは正確に確認できなかった…)とにかく西日本でも高い山から続々と冬の便りが届き始めました。

本日11月2日の朝、九州内陸部で冷え、今秋西日本初の氷点下です
11月2日朝の気温分布
↑気象庁サイトから。2012年11月2日午前6時のアメダス気温分布です。九州の中北部の内陸で氷点下を記録しています。熊本県阿蘇乙姫で、6時52分に-1.5度であります。九州の沿岸部では10度を越えているところがあるので、沿岸と内陸との気温差が目だっております。高層天気図を見ると、850hPa高度(おおよそ1500メートル上空)で0度の等温線が、瀬戸内海から九州中部辺りまで南下していました。850hPa面で0度線は、西日本の山で雪が積もる目安で、やはり氷ノ山で初冠雪がありました。

日本気象協会サイト 養父市在住「よとう晴」様が氷ノ山初冠雪を確認

【産経新聞】近畿で今季一番の冷え込み 寒気のマジック、小豆島で浮島現象

【産経記事引用開始】
 西日本は2日、上空に冷たい寒気が流れ込んだ影響で、今季一番の冷え込みとなった。香川県・小豆島では沖合の島が海面から浮き上がってみえる「浮島現象」が観察され、兵庫県の最高峰、氷ノ山(ひょうのせん)でも昨年より19日早く初冠雪を観測した。市街地でも今シーズン初めて厚手のコートをはおったり、マフラーやニット帽を着用して防寒する人の姿がみられた。
 浮島現象は海面近くの空気が日の出とともに暖められ、寒気との温度差で光が屈折して起きる蜃気楼(しんきろう)の一種。瀬戸内地方に冬の訪れを告げる風物詩で、小豆島町の福田港から北東約15キロの家島諸島(兵庫県)が海面から浮き上がってみえた。
【引用終了】(下線は山のキノコ、変なのはこの2点です)

●氷ノ山での平年よりも19日早い初冠雪を伝えています。

記事で、浮島現象の説明にちょっと変なところがあります。“浮島現象は海面近くの空気が日の出とともに暖められ” という説明では、海面直上の空気が暖められるのは、日の出の後の太陽で暖められるとカン違いしているようです。そうではありません。秋から冬は気温よりも海水温が高いので、毎面上の空気が暖かいのです。暖かい海面直上の暖気の上に、非常に冷たい空気が侵入してきて起こる 下位蜃気楼 が浮島現象なのです。

暖かい空気の上に、冷たい空気が接する場合に下位蜃気楼が起こるのですが、その暖かい空気の原因は、あくまでも海水の暖かさです。秋から冬にかけては比熱の大きい海水は冷えるのに時間がかかるので、相対的に気温よりも海水温の方が高いのです。

●おそらく、この記事を書いた新聞記者は、ネットなどで調べて「逃げ水」の説明にまどわされたのでしょう。逃げ水は道路のアスファルトが太陽で熱せられて起こります。浮島現象も逃げ水現象も、下部空気が熱く上部空気が冷たいということでは全く同じなんですが、上下2層の空気の温度差が生じる原因が異なるのです。

逃げ水 …… 下部の空気が熱せられる。太陽輻射で道路のアスファル
       トが焼ける。上部の空気は冷たいまま。

浮き島 …… 上部に冷たい空気が移流してくる。寒波の吹き出しや放
       射冷却で冷えた陸上の冷たい空気が、海上に流れ込んで
       くる。下部の暖かい空気はそのまま。

●私の観察では、浮き島現象は淡路島では9月中旬~下旬ごろから起こっています。なので、冬の風物詩などではなくて、本格的な秋を知らせる秋の風物詩なのです。おそらく、初冬のころの浮き島現象が大規模というか、派手なのでよく目立つからなのでしょう。新聞記者が気づいたり、一般からの情報が新聞社に寄せられるのは、誰でもがその現象に気づく初冬になってからなんでしょうけれども、よく観察すれば、もっともっと早い時期から起こっているのです…。

本日2012年11月2日の日最低気温の全国ランキングです
ただし、これは朝のランキングです。晩遅くになって長野県あたりが冷え込み、九州の2地点がベスト10の外に落ちてしまいました。
11月2日の日最低気温の全国ランキング
↑気象庁サイトから抜粋借用。夜になってから順位が若干変わってしまいましたが、驚くことには暖かいハズの南国九州のアメダス観測所が4地点もベスト10に食い込んでいます。普通はこのランキングは北海道が占めています。若干、岩手県や長野県の観測所が食い込む程度で、南国九州のアメダス観測所が最低気温のベスト10に顔を出すことなどまずありません。

●とても面白いのは、通常、北海道の観測所が独占するハズのこのランキングに、北海道の観測所が1つもないことです。今秋はこの現象が頻繁しています。偏西風の大蛇行が関係しているのでは? と直感するのですが、どうでしょうか。偏西風が大きく蛇行し、上空の低気圧(寒冷渦)の前面では低緯度からの暖気が大きく北上し、後面では北極圏からの寒気が低緯度まで吹き下ろす、ちょうど前者が北海道に当たり後者が九州に当たったと考えると説明がつきそうです…。
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