雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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実りの秋、食べられる野生果実(その8)       ――野生モモ――
●秋になりました。稔りの秋であります。本日(2012年9月11日)にある植物の観察をするために、諭鶴羽山系の北斜面の谷の奥に行ってきましたところ、野生モモがぼちぼちと食べごろを迎えていましたから、写真を撮りました。モモは中国北部原産とされ、縄文晩期の遺跡からモモの種子(核=種子の入れ物=内果皮)が出土するというから、恐らくモモは史前帰化植物であろうかと思われます。諭鶴羽山系にも谷ごとに点々と野生モモが自生しています。おそらく諭鶴羽山系に自生する野生モモも古い時代に中国から伝来したものが、野生化しているのでしょうけれども、しかしながら、栽培種と比べると果実が小さく、熟期も遅く、樹勢がきわめて旺盛で大木になるなど、形質にかなりの違いが認められます。それで、日本列島の各地に野生モモが分布しているのは、これは帰化植物などではなく、日本自生種だとする説もあるようです。

中国渡来説と、日本自生説とがある野生モモ】 諭鶴羽山北斜面にて
野生モモの木
↑大きなものでは樹高10mにも達し、けっこう大木になります。写真の木は老木なので、果実の着果状況は疎らで少ないのですが、樹勢の旺盛な個体ではウメの木のように沢山成ります。

野生モモの果実が色づく
↑熟期は栽培種よりも大分遅く9月11日でもまだ青くて硬いものが多いです。しかし、なかにはぼちぼちと色づきはじめた実もあります。今月末には食べごろとなるでしょう。お味は栽培種ほど甘みがありません。けっこう酸味があるのですがスモモほど酸っぱくもありません。ちょうどモモとスモモの中間の味です。実は栽培種よりも小さく、スモモかアンズ程度の大きさです。栽培種ほどではありませんが、野生モモも虫害が多いです。で、果実を採集して食べる場合には、虫を食べないように気をつける必要があります。

野生モモの面白い食べ方は、核のなかの種子を取りだして、炒って木の実として食べるのもいいでしょう。10月ごろ地面に落ちた果実を拾い集めて、果肉を腐熟させて中身の「核、かく」を取りだします。そしてよく乾燥させます。乾燥させたら3時間水につけて核をふやかします。核の内側は乾燥状態、核の外側は湿った状態にするのです。うまくこの状態にしてフライパンで炒ると核がパリンと割れます。で、中身の種子を取りだすのですが、その種子を塩をまぶして炒ります。上等な木の実(ナッツ)になります。分かりやすく言えば、野生モモのアーモンドです。お酒のつまみには、宜しいかと……。でも、作るには手間がかかりますよ。

野生モモの用途
果樹栽培の方面では、野生モモの実生苗に、よく栽培品種のモモが接ぎ木されています。とくに有名なものが「富士野生モモ」です。富士山麓の本栖湖の周辺に自生していたものから選抜されたもので、これを台木にして接ぎ木をすると樹勢が強く、寒害や虫害にも強く連作障害も出にくいといわれています。とりわけモモの樹勢を弱らせる樹脂病に抵抗性があり生育がいいとされています。富士野生モモのほかに、長野県の野生モモも有名で、農業試験場などで試験栽培がよく行われています。ですが、諭鶴羽山系の野生モモが、栽培品種のモモの台木に使われたというハナシはまだ聞いたことがありません。
国華園の富士野生モモの台木
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