雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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「猛暑考」 猛暑というのは本当に「コメ作り」に大敵なのだろうか?? (その2)
本日は2012年8月4日であります。
本エントリーはややマニアックな記事ですので、読まないほうが宜しい。(うんざりすると思うので)

●3回にわたって書く、<「猛暑考」猛暑というのは本当に「コメ作り」に大敵なのだろうか??> というエントリーではどうしても次に掲げる気象庁の図版が必要なのですが、しかしこれは国民を洗脳するタチの悪い図版でもあります。で、すこし寄り道をしてこの図版を批評してみます。

日本の夏(6月~8月)の平均気温の平年値からの偏差

●上に掲げた図版は、気象庁ホームページ で、ホーム > 気象統計情報 > 地球環境・気候 > 地球温暖化 > 気温・降水量の長期変化傾向 > 日本の季節平均気温、の順に閲覧したものです。その平均気温の偏差の計算方法ですが、“都市化による影響が少ない” 観測所17地点を選んで計算していると、気象庁は強弁していますが大いに疑問のあるところです。

【日本の平均気温算出に使われる17観測所】
観測所名、その観測所の所在市町の人口、市町役場からの距離を調べました。人口について、10万人超を赤で彩色しました。

① 網走地方気象台  38984人  市役所から576m
② 根室旧測候所   29141人  市役所から242m
③ 寿都旧測候所   3358人   町役場から691m
④ 山形地方気象台  254268人  市役所から553m
⑤ 石巻旧測候所   149247人  市役所から793m
⑥ 伏木旧測候所   15722人  高岡市市役所から5140m
   (ただし、伏木旧測候所は、射水市市役所から2430m)
⑦ 長野地方気象台  380581人  市役所から1570m
⑧ 水戸地方気象台  269244人  市役所から1780m
⑨ 飯田旧測候所   104575人  市役所から982m
⑩ 銚子地方気象台  67963人  市役所から2920m
⑪ 境旧旧測候所   35027人  市役所から648m
⑫ 浜田旧測候所   60849人  市役所から881m
⑬ 彦根地方気象台  112668人  市役所から1510m
⑭ 宮崎地方気象台  402143人  市役所から3620m
⑮ 多度津旧測候所  23263人  町役場から421m
⑯ 名瀬旧測候所   41063人  市役所から348m
⑰ 石垣島地方気象台 46395人  市役所から1000m

★観測所所在地の市や町の人口は、Wikipediaの記載に依ります。
★市役所は大抵の場合、市の中心部あるいは繁華街にありますから、市役所からの距離でその観測所の立地条件を推定できます。各観測所の住所からGoogle地図上の位置を特定し、地図上で市役所との概算距離を求めました。
★旧測候所は特別地域気象観測所という名称に変わっています。

これら17気象観測所が、気候変動監視所としての立地条件がふさわしいものだろうか?? と驚きであります。
良好な観測所じゃないだろうかと勝手に想像していた名瀬旧測候所でさえ、市街地のど真ん中にあります

Google地図より、奄美大島奄美市 市街地にある名瀬旧測候所
↑ちょっと分かりにくいのですが、赤い吹き出しのマークの所に、名瀬旧測候所(現名瀬特別地域気象観測所)があります。なんと市街地の真っただ中にあるではないか!! 驚きです。17観測所の全ての所在地をGoogle地図や国土地理院地形図で確認したところ、全て市街地にあります。たとえ人口が3万人の田舎町であったとしても、田舎町なりの市街地・中心部に観測所があります。これを以って100年間という長期間の気候変動のデータに使うというのは正気の沙汰ではありません…。

気象庁は「都市化による影響が少なく、特定の地域に偏らないように選定された以下の17地点」などと言っています。“都市化による影響が少ない” といってもそれは東京や大阪や福岡など巨大都市の都市膨張の影響よりも少ないというだけのハナシであります。都市化による気温上昇は大都市・中都市だけでなく人口1万人にも満たない田舎の村でも起こっているのです。気象庁内に事務局がある日本気象学会の機関誌『天気』には、田舎の町にまで起こっているヒートアイランドに関する論文やレポートが沢山載っているではありませんか。たとえば次の論文など…。オープンアクセスをクリックすると閲覧できます。
長野県白馬村におけるヒートアイランドの日変化・季節変化

では、その17観測所の観測データがが都市化の影響を含んでいて、長期の気候変動を監視するデータとしてふさわしくないと主張するのであれば、対案の17観測所を示せという批判の声が聞こえてきますが、これが悩ましいところです。室戸測候所なんかは都市化と無縁の良い観測所ですが、1920年からの観測データしかありません。100年に満たないので採用できません。岬の先端だとか、山の中、島嶼とか都市化と余り関係ない観測所は開設して100年に満たない物が多いのでどうしようもありません…。明治時代から観測しているような古い観測所は都市ばかり…、じゃあその都市化による昇温分を補正すればいいんじゃないかといっても、その補正が適切なものかどうか?? おおいに疑問のあるところです。

●さて、気象庁は所詮政府の下位組織であり政治的に自由ではなく、国土交通省・経済産業省・環境省と連携して政府の方針に沿って、地球温暖化の進行を印象づける図版の広報・流布に手を染めざるを得ないというのは、彼ら専門家集団としての矜持が傷つき内心忸怩たるものがあろうかと想像しております。クライメートゲート事件もあったことだし、地球温暖化を仕掛けた原発業界も風あたりが強くなっているので、そろそろ気象研究者たちも、政治の下に隷属するのではなく、あくまでも真実の求道者としての矜持を示したらいかがであろうか??

(拙稿は続く)

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