雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
201708<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201710
冬に生育・夏に休眠するライフサイクルの「イワタイゲキ」  ど根性イワタイゲキ いわちゃん
岩の間に生えるイワタイゲキ
イワタイゲキ という岩石海岸に生育するとても美しい植物があります。十分な写真が撮れなかったので、岡山理科大学の植物生態研究室(波田先生)のホームページの解説をご覧ください。波田先生のホームページの説明では、「画像は香川県小豆島の海岸で撮影した。風化の激しい花崗岩の露岩地で、岩の割れ目に食い込むように生育していた」ということでありますが、淡路島でもイワタイゲキの生育する場所は、たいてい海岸の岩角地の岩の割れ目です。門岬の付け根の崖、灘仁頃、立川スイセン郷の海岸、成が島、沼島にも…、淡路島南部に何か所か自生地があるようですけれども、個体数はわずかしかありません。礫が多い砂浜にも生育することがありますが、大部分は岩の割れ目に根をのばして生えております。

●イワタイゲキは、コンクリートの護岸で固められたり、醜悪な姿の消波ブロックが並べられた人工海岸にはありません。開発の魔の手から免れた自然のままの海岸に自生する植物です。海岸の自然度の高さを窺える指標植物であるとされています。けれども、その海岸が開発が加わらず自然度が高いかどうかはちょっと見れば分かることであって、いちいち指標植物の生育を確認しなければ分からないというものではないハズです。で、へそ曲がりを申せば、イワタイゲキを海岸の自然度を測る物差しにする必要が本当にあるのだろうか? という疑問もあります。

●イワタイゲキは晩秋から冬に栄養生長して青々と茂ります。そして、4月に花が咲き5月に果実ができます。夏には美しく紅葉したのち、地上部は枯れて地下茎の状態で休眠しています。花壇に植えるスイセンやチューリップと同じように、冬に生育して夏に休眠するライフサイクルの植物であります。下のわたくしの撮った写真ではまだ紅葉していません。5月の終わりごろでしたが、もしかしたら紅葉が始まっていないかと思ったのですが、まだまだ早すぎました…。7月にもう一度仕切り直しでありますが、そう簡単に行けるところではありません…。

岩の割れ目に根を下ろすイワタイゲキ
↑これは5月の終わりごろの写真であります。南あわじ市灘仁頃の岩石海岸であります。大波が来るとバサアと波しぶきをかぶるような所にあります。土壌はなし、したがって保水性もなし、強乾燥、強日照、強潮風、塩害…、とよくまあこんな劣悪な環境で生育するものだと感心させられます。しかしながら、イワタイゲキにとっては、このような劣悪環境が安住の地なのでしょう…。このような環境で生きられるように進化してきたのにちがいありません。

他の植物はなし
↑ご覧のように他の直物が全く生えておりません。イワタイゲキは他の植物ではとても生存できないような過酷な所に生育するのであります。

【時には砂地に生える場合もある】
淡路島と和歌山県の間の紀淡海峡にある友ヶ島は、イワタイゲキの良い自生地であります。いなさの情報ブログ様のサイトで、その友ヶ島のイワタイゲキの自生地風景の写真が見られます。なんと、友ヶ島のイワタイゲキは砂浜に生育しているではありませんか! これではイワ(岩)タイゲキではなく、スナ(砂)タイゲキと言うべきでありましょう。イワタイゲキはたいてい岩の割れ目に生えるといっても、必ず例外というものは有るのです…。

ど根性イワタイゲキ いわちゃん
●むかし、ど根性大根だいちゃん などという馬鹿な騒ぎがありました。ここにもあった、あそこにもあった、と低俗趣味のマスゴミが煽りに煽りました。そのような話題から申せば、イワタイゲキのほうが遥かに根性があります。超ど根性イワタイゲキいわちゃんであります。いわちゃんの方が、だいちゃんよりも根性があります。なぜならば、この岩石の割れ目では大根は育たないからです。じっさいに、海岸にはハマダイコンは普通にたくさん分布していますが、こんな岩石累々の所には全くありません。ハマダイコンはこんな岩の割れ目まで分布を広げられません。(ハマダイコンは、栽培種のダイコンが逸出野生化したものという説があります。逆にハマダイコンを改良した物が栽培種のダイコンだという見方もあります。つまり植物の種としては、栽培種のダイコンと野生のハマダイコンとを同等とみなしてもいい)


   ************************

【さて、自生地を明かすことの罪について、少し考えてみます】
●淡路島南部のイワタイゲキの自生地を明かしてしまいましたが、いちおう兵庫県レッドデータブックではBランクの絶滅危惧植物の扱いになっております。採ってはいけません。個体数もすくないので、見るだけにとどめておきましょう。
日本のレッドデータ検索システムでは13県が絶滅危惧植物に指定
お前は、「採るな」というのであでば、自生地を明かすなという批判もあるでしょうけれども、採ることと、自生地を明かすこととは、どちらが悪質でありましょうか? つぎの例を考えるとハッキリしています。採る(盗る)ほうがはるかに悪いのは明らかです。

A氏……道路に1万円を落とした。うっかり落としたのではなく、
    わざと落とした。
B氏……道路に落ちていた1万円をひろい、警察に届けずに自分の
    財布に入れた。ネコババした。

A氏がうっかり1万円を落とした場合は逮捕されることはありません。かりに、わざと落としたとしても逮捕されることはないでしょう。場合によっては、たとえばA氏があちこちにたくさん1万円札をばら撒いて落とした場合には、警察署から人騒がせな行為をするなと説教されるかもしれませんが、逮捕されることはないでしょう。

B氏は明らかに犯罪にあたります。刑法第254条の規定する遺失物横領罪に抵触する可能性が高く、逮捕されるかもしれません。その落ちていた1万円札が、うっかり落とされたものであろうと、わざと落とされたものであろうと、「占有を離れた他人の物」であることには違いがないでしょうから、遺失物横領罪が成立しそうです.

★本議論で考察していることは、レッドデータ種扱いされている植物の自生地をあかすことは、悪質かどうなのか?であります。自生地を明かすということは、上の1万円の例でいうならば、“○○に1万円が落ちていますよと人に知らしめること” にほぼ同等だと考えられます。1万円が落ちていると「言う」ことは別に問題でもなんでもなく、1万円を拾ってネコババするほうが、はるかに悪質なのは明白であります。

★1万円などという極めて価値の高い通貨と、レッドデータ種といってもただの雑草とを同一視して議論するのはおかしいのでは?という考え方も出てきましょうが、山野草マニアの間ではただの雑草が1鉢、数千円とか、数万円とかで取引されることも多いようです。レッドデータ種に指定することがただの雑草を “金のなる草” に変えている例がたくさんあります。レッドデータ錬金術です。

★ひょっとすると、一番悪質なのは環境省なのかも?? その可能性は大いにあります。ここで、環境省の政策について、ごく簡単にですがその功罪を少し考えてみます。環境省が絶滅危惧生物にかんする行政をしなければ、国版および県版のレッドデータブックが作成されることもなく、そうすると山野草愛好マニアがレッドデータ種の乱獲をすることも少なかったのでは? という可能性があります。いかに希少植物であったとしても、綺麗な花が咲くもの以外はただの雑草であって、山野草マニアの食指が動きません。ところがレッドデータ種に指定することがただの雑草にお墨付きを与えて光らせています。で、山野草マニアが乱獲しています。(私の身近なところにもそういうことがあります)

●かつて環境省は「環境庁」でありました。環境庁は大阪万博の翌年の1971年に発足しました。戦後25年焼け野が原から日本が復興し、重化学工業がさかんになり、日本の国力も回復して、万国博覧会が開催できるほどになりました。けれどもその弊害として大気汚染や水質汚染などの公害がひどくなりまして、何とかしなければということで、公害国会(第64回国会) が開かれましたが、それを受けて設置されたのが環境庁であります。

●そもそも公害問題に取り組むために設置された行政組織が環境庁だったのであろうかと思いますが、その後、厳しい規制が敷かれた結果、公害問題はかなり解決しました。たとえば四日市ぜんそくという健康被害まででた大気汚染は改善し、光化学スモッグという言葉も久しく聞かなくなりました。ドブ川みたいだった大阪湾の水質もかなりましになりました。公害問題がかなり軽減されてくると、環境庁の仕事が減ってしまいました。これでは困ると出てきた新しい問題が、「地球温暖化」であります。もちろんこれらは国内から出てきた問題ではなく、国連の組織から出てきましたが、「生物多様性」問題もほぼ同じくしてクローズアップされました。環境庁は仕事が増えて予算も増え外郭団体もたくさん出来て大喜びです。2001年には「環境庁」から「環境省」へと位が上がりました。環境庁時代の1991年に環境省版のレッドデータブックが作成され、改訂版もでたし、各県毎のそれも編纂されていますが、山野草マニアの盗掘のための貴重な資料として活用されています。○○の植物はレッドデータブックに載っているから値打ちがあるんだ、ということなのであります。○○はレッドデータ種で値打があるのだが、たくさんあれば希少価値が薄まるから抜いてしまえ! 間引いて減らして希少価値を高めようということも聞いたことがあります。 

★ある意味、一番タチが悪いのは環境省であります。原発利権の伏魔殿の経済産業省や、財政破綻教という脅迫で首相でも手玉に取る財務省ほどではありませんが、環境省もけっこう天下りや渡りのための関連組織や外郭団体がたくさんあるようです。もちろん税金が流れて行っているハズです…。しなくてもいいような事業や、なんの付加価値も産み出さない “税金の穀つぶし事業” がいっぱいあるようです。

「国民の生活が一番」が大躍進して、「官僚の天下りが一番」や、「利権業者の利益が一番」というふうな、既得権益組織や構造を木っ端みじんに打ち壊してほしいものであります。
スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.