雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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ニワウルシは本当に問題なのか?
そろそろニワウルシの果実が赤っぽく色づいてきました。つい1か月か、もうすこし前に大きな花序を出して花を咲かせていましたが、もう果実が色づくとは季節が進むのは早いものです。さて中国東北部原産の外来樹木とされるニワウルシがはびこっています。耕作放棄した果樹園や畑の跡とか、斜面の崩壊地とか、谷川の土手とか、諭鶴羽山系のいたるところで野生化しています。もとは街路樹等で導入されたものが起源で、広がっていったのではないかと言われています。ニワウルシは別名シンジュとも呼ばれる外来種です。

青空を背景に赤く色づく
↑梅雨明けの水蒸気が多い白っぽい青空に、ニワウルシの大きな複葉と赤っぽい花序(果実になっているから果序と表現すべきか?)が映えています。意外に美しいものです。街路樹にしたというのもうなづけます。

ニワウルシの果実の集団
↑果実がたくさん大集団になっています。この写真の果序を採取して持ち帰り、果実の個数をかぞえてみました。843個でした。この果序はこの木では特に大きくもなくまた小さくもありません。平均的なものです。ざあっと木全体に何個の果序があるか? 40個ほどです。樹高は目測で10mです。843×40で33720個です。という大雑把な計算してみました。

1本の平均的な大きさの成木のニワウルシの木に何個の果実がつくか? 答えは、オーダーとして数万というところです。10の4乗~10の5乗個あたりであることはほぼ間違いなさそうです。

果実は写真でも分かるように、長さ5ミリの種子の周囲に翼がついています。長細い形で、任意に20個の長さを計測すると45~52㎜の範囲にあります。843個の果実の重さを測ると134グラムです。(生の状態です)1果実の重さは0.159グラムです。果実6個で1円玉の重さということになります。秋になって樹上で乾燥すると重さは5分の一ぐらいになるのでは? 果実の翼は平面ではなく、ややねじれた形態です。試しに、すこし高いところからこの種子をまき散らしてみると激しく回転しながら落ちていきます。このニワウルシは種子が風散布の植物でしょうが、秋の木枯らし1号の強風に乗ってかなり飛びそうな予感はします。

さてあちこちでニワウルシがはびこっています。
耕作放棄のミカン園跡で生長したニワウルシ

灰色っぽい幹のニワウルシ

上の2葉の写真は放棄されたミカン園の跡です。白っぽい幹が見えている樹木がニワウルシです。テッポウムシなどによりミカン樹が枯らされ裸地状態になった後、二次遷移がどんどんと進行しています。1年生草本がほとんど消え去り、多年草のススキや蔓植物のクズやハスノハカズラがはびこり、先駆種といわれる樹木が侵入して林状になっています。

環境省はニワウルシを特定外来生物に指定して問題だと主張しています。はたして本当だろうか? おおいに疑問があります。この場所は耕作放棄された場所です。そもそも果樹栽培という農業を止めたからニワウルシが侵入しました。だからニワウルシが農業の障害になるということは有りえません。また、かつてはこの場所は耕作地ですから在来植物も貴重植物もありませんでした。もしそれらが有れば、雑草として抜かれたハズです。どんな貴重植物といえども田畑に生えるものはすべて雑草です。抜かれるか除草剤をかけられます。そういう経緯を考えると、ニワウルシが在来植物を脅かすという見方は全く的外れです。川原に生えるのを問題視する向きもありますが、川原は折々に洪水でやられる場所です。ダムが整備され治水が進んで洪水が減ったので、川原にニワウルシがはびこったともいえます。また洪水が起こればニワウルシは流れていくでしょう。ニワウルシが毒のある植物でヒトが大勢かぶれるとか、中毒をするならば駆除する必要もありましょうが、毒植物ではなさそうです。良く考えると、別に問題だと騒ぐ必要は全くないのです。

ま、申せば、かつて「環境庁冬の時代」と言われる時期がありました。かつて公害問題が大きな問題でしたが、対策を講じた結果、大気汚染とか水質汚濁とかが大分改善され、環境庁の仕事が減りました。それでは環境庁としては困るのです。環境庁は新しい問題を必要としました。そこに登場したのが、フロン問題や地球温暖化問題、ダイオキシン問題などです。それらが一段落ついたり、地球温暖化問題ではクライメート・ゲート事件が起こってヤバイことになりました。いまや温暖化なんてほとんど言わなくなったし、言っているのはほとんど日本だけです。崩壊寸前ですよ。地球温暖化にちょっと遅れて生物多様性問題や、特定外来生物問題が登場しましたが、これらは地球温暖化ほどには利権にできず、その取り組みは低調です。それでも一部の人たちは騒いでいます。環境庁は組織が膨張して環境省になっていますが、多くの問題が、問題があるから問題になるのではなく、利権・省益・組織拡大・外郭団体膨張のネライで、問題が必要だから関連の法律を作り問題化している面があることを、見落としてはならないと思います……。








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その空き地の地権者の管理問題です。
とても良いコメントを頂戴しました!
ありがとうございます。

ニワウルシが「自宅周辺の空き地などにたくさん生えてきて」ということですから、これはまさに、在来植物植生を破壊したところにニワウルシがはびこっているということを示唆しています! その空き地のできた経緯がいかなるものであっても、その起源は在来植物群落があったところを開発したものと考えられます。つまり、貴兄のコメントの事例は、ニワウルシが在来植物を駆逐したり、生態系に何ら脅威を与えるものではなく、私の主張する通り「在来植物の生育地をヒトが破壊したところにニワウルシが侵入する」という事例そのものであります。

2015年に、環境省は名称を変えましたが、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種」に目出たくニワウルシを指定しました。しかし、環境省の指定理由はピントが外れています。野外で観察されるのは、在来植物群落を破壊したところばかりにニワウルシがはびこっているわけです。なお、ヒトが乱開発等で在来植物を破壊したところでは、ニワウルシは抜群の繁殖力をもち、分布拡散は強烈です。ところが、しょせん陽生樹木なので日陰じゃ育ちません! ニワウルシには鬱蒼と茂る二次林とか極相林に侵入する力は全くないわけです。ニワウルシの寿命も短いようで、あんがい在来樹木との競争には弱い面が見られます。で、環境省の言うような危惧は何もないわけです。申せば、環境省は関連の法律をドンドン創作して利権・天下り・省益拡大でやっている面が大いにあります。

環境省は、ニワウルシが各地の河川敷に蔓延していることも問題にしていますが、そもそも問題はそういうことではなく、旧建設省が日本中の川をダムだらけにしたのが根本問題なんです。河川敷は本来は折々に大雨の洪水に見舞われるところです。で、本来は洪水の沈水に耐える植物の生育地だった筈です。ところが建設省・自民党・ゼネコンの三者の利権互助会が洪水を起こらないようにしたから、そこにニワウルシがはびこっているということなんです。河川敷というのは本来は時々洪水で沈水するところというのが本来の自然で、ヒトがその本来の自然を改変したからこそ、ニワウルシがはびこっているわけです。

>ただでさえ寒くてつらい我が家の日当たりを悪くするこのニワウルシは絶対に許せません。

さて、貴兄は根本的に勘違いされています。ニワウルシはもともと中国東北部あたりが原産の落葉樹でして、街路樹・公園樹等の目的で明治はじめに導入したものです。ヒトが、ヒトの都合で持ち込んでおいて、ちょっと邪魔になったからと言って敵対視するのは身勝手なことで、間違っています。ニワウルシには何の非も罪もありません。

貴兄のコメントは、じつは拙記事の趣旨とはあまり関係ないものでして、たんなる空き地の管理問題という話ですわ! とくに住宅地にある空き地は放置すれば、草が生え、木が茂ってきます。茂みとなったら害虫が湧いたり、夏には藪蚊の発生源となりましょう。空き地にまっさきに侵入してくるパイオニア樹木(当地ではニワウルシの他、オオバヤシャブシ・アキニレ・フサアカシア・モリシマアカシア・アカメガシワなど)は成長が非常に早いもので、じきに大木になります。秋には周辺に落ち葉をまき散らし迷惑をかけます。仰る通り日照を遮るし、通風を悪くし、眺望も損なわれます。ものによっては花粉症の原因にもなります。住宅地の中の空き地は、草木のない更地にしておかないと近隣は大迷惑! です。つまり、せっかくコメントを頂きましたが、これはニワウルシを目の仇にしようとする議論じゃなくて、その空き地の地権者の責任をただすべき問題です。「近所大迷惑だから、空き地は綺麗な更地にしておいてくれ」と要求する話ですわ! 貴兄は「断固として近隣から駆除根絶する決意」と仰ってますけど、御自分で駆除なさる? ということはご自分の所有地なんですか? もし、そうだとしたら、貴兄自身がご近所に迷惑をかけていることになるかと?

田舎者として、ひとつだけアドバイスできるとしたら、ニワウルシをできるがけ地際から伐採して、(やりたくない方法ですけど)除草剤の原液を切り口に塗布するのがそれなりに有効ですわ。ニワウルシはいくら伐採しても、切り口から「ひこばえ」が萌芽する生命力が強い樹種です。また、地表近くで伸びている地中の根のあちこちからシュート(茎と葉を併せて言う用語)をどんどん出します。で、じきに再生します。じつは根絶するのは大変なんですわ! 別にニワウルシじゃなくても他の木や草でも、空き地管理の初期対応を失したら、物凄い労力が要りますわ! ま、これは田舎の常識でして、空き地管理の要諦は、草や木が生えてきたら初期に叩くことですわ。そうしないと労力は5倍にも10倍にもなりますね。

2017/06/23(金) 17:24:44 | URL | 山のキノコ #js83eNAU [ 編集 ]
自宅周辺の空き地などにたくさん生えてきて駆除しても駆除しても超凄い速度で成長する木は
何だろうかと調べ続けて約半年。ようやくニワウルシという名前だと分かりました。
ただでさえ寒くてつらい我が家の日当たりを悪くするこのニワウルシは絶対に許せません。
断固として近隣から駆除根絶する決意です。

関係ありませんが私も経済成長不要、不況OK、人口減少問題なし、と考えている人間です。
日本は経済成長を追い求めるよりも格差縮小を目指すべき段階かと。底辺層が増えると治安が悪くなって暮らしにくくなりますし。
2017/06/22(木) 14:13:06 | URL | USB #FBS4NHfE [ 編集 ]
貴兄が何者かは分かりませんが、典型的な環境団体運動家の論理を踏まえているようです。おそらく何らかの自然保護活動をされているのでは?と想像しますが、失礼ながら、自然観察(植物観察)とか全くされたことがない馬脚をあらわしているようです。環境団体のプロパガンダやドグマに囚われずに、常識とか先入観を捨てて、フィールドに出て植物生態観察をしましょう! 予想外なことが色々と見えてきますよ! 環境省からの研究費欲しさで、御用研究者をしている研究者たちが多い(原子力学者と良く似てますね)ことも見えてきますよ! 

>本来、在来植物が生えうる場所を占拠してしまうのが問題

残念ながら見当違いです。逆です。つぶさに自然観察・植物生態観察をすれば、ニワウルシが侵入してはびこっている場所は、在来植物の生育場所を乱開発などで破壊した跡がほとんどですよ。ニワウルシは陽生植物です。明るい裸地でなければ発芽も生育も出来ないです。つまり、宅地造成するために丘陵を削ったところとか、新しく作った道路の法面であるとか、残土を捨てたところ(すなわち在来植物が埋められた所)そういうところを好んで侵入するのがニワウルシなんです。在来植物の自生地を破壊したからこそニワウルシが侵入できるんです。在来植物の自生地を破壊することが、ニワウルシの侵入を許しているのであって、在来植物が繁茂している場所には容易にニワウルシは侵入できないんです。

>もともと農耕地だった土地、と言うものも、この地球上に存在しません
>もう少し人間が自然に与えてしまった影響を考えてみるべきなのではないでしょうか

それを言うのであれば、過度の乱開発であるとか、森林や湿地の破壊であるとか、豊かな生物相をもっている干潟の埋め立てだとか、直接的な自然破壊・環境破壊を問題にしましょう。とめどもない経済成長政策が根本的な悪徳であって、経済的な膨張を目指すから自然を破壊することになります。ニワウルシを駆除せよとか、ナルトサワギクを引っこ抜けとかいうハナシは、方向が幹線道路から外れた脇道の議論になっています。堂々と、経済を縮小しましょう! と主張しましょう。それと人口の縮小ですね。日本列島に人口が300万人(ニュージーランドみたいに)だったら、環境破壊・自然破壊問題はほとんど解決します。ゴミも見違えるように減りますよ。わたくしは追い追いそれをテーマにして記事を書こうと今いろいろな文献をあさっているところです。環境問題に取り組んでおられる方も、わたくしも根っこの考え方は本質的には同じじゃないかと見ています。

合言葉は、経済縮小! 不況もまた良し。過度な消費を慎み質素に暮らそう。 人口も縮小! 日本列島の適正人口は3000万人程度。多くても5000万人まで。

でも、これを主張するには勇気がいりますよね。政治も行政も社会も、みんな拡大膨張志向で、金儲け一辺倒です。それに対するアンチテーゼが上記の合言葉です。主張したら多分やられますよ。だから、環境運動家もそこまで踏み込んだ主張がなかなか出来ないんですよね。しかし堂々とそこまで言わないヤカラは偽物です。
2013/10/27(日) 15:57:21 | URL | 山のキノコ #js83eNAU [ 編集 ]
農業に支障が出なければ良いと言うわけではないのです。
本来、在来植物が生えうる場所を占拠してしまうのが問題なのです。
田畑に生えるものはどんなに希少種でも皆雑草とは、その通りではありますが
随分人間勝手な発言だと思います。
もともと農耕地だった土地、と言うものも、この地球上に存在しません。

もう少し人間が自然に与えてしまった影響を考えてみるべきなのではないでしょうか。
2013/10/27(日) 06:43:44 | URL | gen #- [ 編集 ]
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