雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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「さや状褶曲」とは、流体としてふるまう岩石の流れの中に発生した 「渦巻き」なのではないか?
●あさって6月24日(日曜日)に淡路島の南部に浮かぶ沼島で「石のお花見」をいたします。梅雨の間隙の晴れ間で、天気は良さそうです。海象も台風があったけれども大丈夫そうです。

この「石のお花見」は、沼島に産する三波川結晶片岩類を観察するのと、できればさや状褶曲も観察(見物)するのが眼目でありますが、それだけに限るものではありません。沼島灯台から雄大な紀伊水道の眺望をながめたり、『古事記』神話にちなんだ名所の上立神岩を拝んだり、観察会解散後は沼島に残留して波止場での釣りもできるなど盛りだくさんであります。ただし、連絡船の最終便は18時30分です。万一、これに乗り遅れたならば、きゅうきょ沼島にただ一軒だけある木村屋旅館に泊ることになります。

6月22日夕方の時点で、参加者はわたくしを含めて17人であります。ほとんど50代と60代のオッサンとオバチャンばかりです。わたくし山のキノコも56歳のオッサンであります。まだ、連絡船が沈没する積載重量に余裕がありますから、参加されたい方はお気軽にどうぞ。詳細は2つ前のエントリーです。

●さて、あさって「さや状褶曲」が見られるかどうかは分かりませんが、とても有名な南あわじ市の “自然遺産” であります。残念ながらユネスコには未登録ですし、登録される可能性はないでしょうが、地学の教科書にはちゃんと載っておりますので、お目にかけましょう。
【地学ファン必読・必携の教科書】
地学の基礎を学ぶのに良い教科書
↑地学団体研究会編 「新版地学教育講座」 ④ 『岩石と地下資源』東海大学出版会 1995年、これは全16巻のシリーズで、地学の基礎を学ぶにはとても良い教科書ですから、ぜひ買っていただきたい。ただ、発行から17年がたって若干内容が古くなってきたという感じはします。そろそろ三代目の新新版が出るのではないかと予想しています。
【地学の教科書の巻頭を飾るさや状褶曲の写真】
沼島の鞘状褶曲の写真が載っている
↑第4巻の『岩石と地下資源』の巻頭に、なんと、沼島の「さや褶曲の断面」の写真が麗々しく載っています。「眼球状褶曲」という言葉が使われています。奥付によると本書の発行は1995年3月27日です。沼島でさや状褶曲が発見されたのは1994年でしたので、地質学に関するホットな話題ということで、巻頭を飾る写真に急遽とりいれられたのではないか?と想像しています。

●さて、沼島のさや状褶曲が発見された後に、話題が沸騰、数かぎりなく新聞記事等になったのですが、そのさいに「地球のしわ」だという説明がよくされます。 地球のしわに古代のロマン 沼島で鞘状褶曲見学会 という7年前の神戸新聞の記事でも「地球のしわ」だと喩えています。そういうふうに分かりやすく喩えているのでしょうけれども、喩えとしては不適切じゃあないのか?という気がします。

わたくし山のキノコは、「地球のしわ」などではないと思います。「しわ」というのは、内部組織を覆っている表面組織が、内部組織よりも弛緩した状態のものです。また、表面組織が、その広がる方向に対して水平に力が加わり圧縮された状態で出来るものです。鞘状褶曲は成因がかなり異なるように思います。

「地質年代的時間スケールのなかで、流体としてふるまう岩石の流れの中に発生した渦巻(うずまき)、渦列(うずれつ)」ではないかと勝手な想像をしています。
動かざること巌(いわお)の如し、などという表現があるぐらいですから、常識的には山とか巨石とかいうものは微動だにしません。しかし、それは人間の一生とかいう程度の時間スケールの話にすぎません。気の遠くなるような万年、億年という地質年代的時間スケールのなかでは、足元にある岩盤もそびえる山々も空気や水の流れと同じで、流体としての振る舞いをしています。

火にかけた鍋の水が温まってくると対流が起こるように、地球のマントルの中で大規模な対流が起こっていることを説明する プルームテクトニクス理論 は極めて高温ではあっても固体であるマントルが流体としてふるまっていると説明しています。固い岩石も地質年代的な時間のなかでは、さらさらと流れる水とおなじように、流動的であり、動き、流れていきます。
沼島を作っている三波川変成帯の結晶片岩類も、その原岩は遥か南方から来た付加体だという説が有力なようですが、一旦フィリピンプレートの沈み込みに引きづられて地殻の深く30キロの地底にあって、その後低温高圧の変成作用を受けて結晶片岩に変身し、年数ミリの速度で動き上昇してきたらしい、のであります。さすれば、かたい岩石も地質年代的時間の流れに依存して、流れ、動き、位置を変え、移動していく、つまり流体そのものであります。

●さて、固い岩石も長年月の中では流体そのものであるという前提において、では流体の中で渦巻きが発生する条件はいかなるものかを考えてみると、流体力学の教科書はいくつかのケースを挙げております。とくに次のようなケースでは渦巻きの列ができます。鳴門海峡の渦巻きを観察すると直感的に良く理解できます。

1、流れの中に障害物がある場合。
2、方向の異なる2つの流れが収束する場合。
3、静止している流体に流れが接している場合。

沼島のさや状褶曲は1つだけではなく、発見地付近に沢山みられるということですから、これはもう渦巻きが並んだもの(渦列・うずれつ)そのものでありますね。元の原岩はいろいろでしょうから、固さの違いとか、比重の違いとかがあり、岩石が大きな圧力を受けて流動体として流れていくときに、例えば特別に固い岩石が流れに竿する障害物の役割をはたしたり、あるいは、地底で方向の異なる岩石の流れがぶつかり合ったなどのことから、岩石中に渦列ができたのではないのか? 渦巻きにまでならなかったものが単なる普通の褶曲であり、渦巻きにまでなったものが鞘状褶曲でなかろうか? と、想像してみましたが、間違っていたらゴメンなさい。

【流体の中に発生する渦巻きの例】
済州島の下流に生じた「カルマン渦」
↑冬季、西高東低のよく冷える日には、韓国・済州島の下流に見事な カルマン渦(カルマンうず) が気象衛星画像でみられます。これはシベリア気団の吹き出しによる北西季節風の流れの中に済州島という “障害物” が存在するために発生する現象だとされています。

日本海寒帯気団収束帯に生じた「渦」
↑こちらは、流れる方向の異なる2つの気流が収束したところに発生する渦巻きです。日本海寒帯気団収束帯 と呼ばれているものですが、少し専門的な天気図でJCPZと記入されます。朝鮮半島の付け根部分に白頭山という大きな山塊があります。北西季節風はこの山塊で一旦2分されて、日本海に入って再合流します。写真をよく見ると北北東の気流と、西北西の気流が収束してシアーライン(収束帯)を形成しそのライン上に渦巻き(低気圧の卵)が発生しています。
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