雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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消費税の問題点とされる “輸出戻し税” について考える(5)消費税の増税は、逆に税収を減らす…。
【前稿からの続き】

 日本経団連 が消費税の増税を強硬に執拗に主張する理由は、輸出戻し税の還付を受ける大企業が、消費税の税率を上げると還付金が沢山戻ってくるから得をするからだ、とまことしやかに言われます。果たしてそうなのだろうか?

日本経団連HPトップ>政策提言/調査報告>税、会計、経済法制、金融(制度)>『平成24年度税制改正に関する提言』
日本経団連は明確に消費税の増税を提言しています。日本経団連は政治的に強い影響力があるので、国家の政策にこの提言が反映していることは想像に難くありません。
【引用開始】改革の第一段階として、税率を2015年度までに10%まで、段階的に引き上げるべきである。必要額や税率変更に伴う事業者のコスト等を勘案すれば、1回の引き上げ幅は1%ずつでなく、少なくとも2〜3%とすべきである。その際、社会保障制度を国とともに担う地方に対し、安定的な財源を手当てする必要がある。その後も、社会保障の持続可能性を高めるためには、改革の第2段階として、2020年代半ばまでに10%台後半に引き上げることは避けられない。【引用終了】

日本経団連の主な提言
★膨張する社会保障給付金を賄うのは消費税しかない。個人消費がGDPの6割を占めるから、消費こそが担税力をもっている。消費税を社会保障給付費に充てる方針を明確にして、消費税率を早く上げよ! → 政府・財務省と同じことを言っている。財務省が日本経団連に言わせているのか? 日本経団連が財務省に言わせているのか? 多分、双方の思惑が一致している。官界と財界との癒着。

★法人税については、日本企業は、様々な要因により海外に移転せざるを得ない状況である。このままでは日本経済は衰退するのは必至だ。企業の税引後利益の増大をはかれば、海外移転は避けられ日本経済はデフレから脱却もできる。速やかに法人税を5%下げよ!国税の法人税率だけでなく地方法人所得課税も下げよ! → 海外へ出るぞ出るぞと露骨な脅迫。

★個人所得課税については、個人所得課税の最高税率を引き上げるのは止めよ! 経済活力に悪影響を及ぼす可能性がある。金融所得課税についても、金持ちが金融資産運用したり、企業が金融市場から資金調達がしやすいように、いろいろと工夫をせよ。 → 高所得者・資産家の露骨な擁護。

★相続税についても、過重な負担は経済の活力を失ってしまう。 → 上場企業のオーナー擁護。

★自動車やガソリンの税金は二重取りがあるが、それは止めた方がいい。 → 一見すると消費者擁護に見えるが違う。自動車市場が冷え込まないようにとの自動車業界擁護だ。

★社会保障・税共通の番号制度を早期に導入すべきである。 → 国民の所得や資産をシッカリと把握して徴税システムを盤石なものとする。経済界が財務省の手先をするのは、経済界を優遇してもらうため。

日本経団連が消費税の増税を強硬に提言するのは輸出戻し税を増やしてもらいたいなどという、チマチマとした理由ではありません。そもそも輸出戻し税で還付してもらってもプラスマイナス中立であるし、かりに得をするのだと仮定しても、その額が少なすぎます。高々数千億円か、1、2兆円だ。それよりももっと大きな10兆円、20兆円を狙おう、と財界のトップたちは考えるハズです。

日本の輸出依存度は低い…
それに、日本経団連に所属する大企業は輸出業界ばかりではありません。そもそも日本経済は輸出依存国ではありません。対GDPに占める輸出の比率は小さいのです。 日本貿易会月報 2007年 7・8月合併号 の72ページに掲載されている 『日本の輸出依存度は低すぎる』 という論文のなかの図表を引用させていただきます。
輸出依存度の国際比較
これを見ても分かるように、日本は国民が思っているほど輸出依存ではありません。いざとなれば鎖国をして自給自足でやっていける米国ほどではありませんが、世界の中では輸出依存度は低いほうです。日本は基本的には内需国であるので、日本経団連所属の大企業といっても内需会社や輸入会社が多く、そうそう輸出会社が牛耳きれるものではない、と考えるべきであります。

輸出会社ばかりではない
●日本経団連には会長1名、17人の副会長がいますが、それぞれの所属会社を列挙します。
住友化学・全日本空輸・三井不動産・トヨタ自動車・東芝・新日本製鐵・日立製作所・小松製作所・日本電信電話・三菱商事・三菱東京UFJ銀行・丸紅・東日本旅客鉄道・第一生命保険・三井住友フィナンシャルグループ・日本郵船・三菱重工業・(日本経団連事務総長)
これをみると、輸出など全く関係ない会社がたくさんあります。それぞれの会社に横断的に共通する利益は何なのか? を考えてみると、それは輸出戻し税還付などではありません。ズバリ言って法人税の減税です。それから所得税の減税です。大企業の経営陣や社員は給与水準が高く、所得税を減らして欲しいという立場です。

種類別の税収の推移
↑ 財務省のHP から引用しました。このグラフが雄弁に物語っております。消費税は法人税と所得税の減税の穴埋めであります。
赤線は所得税です。税収は平成3年に26.7兆円のピークを記録しました。その後、昭和61年に所得税最高税率70%から現行の40%に引き下げていった(金持ち減税)のと長引く不況で、平成22年には13兆円と半減しました。
黄色線は法人税です。平成元年には19兆円の税収を記録しましたが、平成21年には一時6.4兆円に落ち込み3分の1になりました。法人税率を40%から30%に引き下げられたのと、不況による赤字企業の増大で税収は低迷しています。よく見ると法人税・所得税ともに、景気変動の波にもろに依存しています。
青線の消費税は景気変動の波にあまり影響を受けずに、安定的に推移していますが、法人税・所得税の落ち込みを補填している関係でありますが、補填しきれていません。

日本経団連はその主張をよく読めば、法人税と所得税をさらに減税してほしい意向であって、そのために税収が減少するので、その分をカバーするために消費税を上げよ!と叫んでいるのです。輸出戻し税還付金のために消費税増税を叫んでいるのではありません。財務省は大企業の税負担率が、欧米各国よりも特別に高いものではないことを認めています。また、消費税は税率こそ5%と低いのですが、生活必需品にまで容赦なくかかるので税収全体に占める比率は20%を越え、欧米主要国と同等であることも知られています。さらに申せば、大企業は海外に移転せざるをえないなど見苦しい言いわけをする反面、しっかりと 内部留保 をため込んでいます。
内部留保をため込む
内部留保は必ずしも現金でため込んでいるのとはちがいますが、日本経団連に所属する大企業は稼いだお金が企業の外に流れ出さないようにするために、法人税のさらなる減税、裏を返せば消費税の増税を叫んでいるものと思われます。

●恐らく、財務省と日本経団連と野田政権、それからそれらの広報係のマスゴミがキャンペーンを張って、消費税増税を押し切る可能性が濃厚です。国民大衆は正社員をおろされ非正規雇用者に転落、自営業者も不況で苦しんでいるときに、逆進性の高い消費税増税を押し切ると、庶民はますます疲弊し、財布の紐が固くなります。税収を増やそうとして消費税を上げれば、それは逆に消費を冷却させる方向に作用し、結局は税収を更に減らしてしまうでしょう…。わたくし山のキノコは、消費税増税は 合成の誤謬(ごうせいのごびゅう) になる公算が大なり、と予想します…。

【拙稿終了】
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