雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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消費税の問題点とされる “輸出戻し税” について考える(その2)豊田税務署は “TOYOTA税務署” なのか?
(前稿からの続き)

トヨタ自動車は、1円の消費税も納めていないのに、毎年、2000億円超の輸出戻し税(還付金)をもらっているのはケシカラン。トヨタとかキャノンなど輸出比率の高い大企業が牛耳っている日本経団連が、消費税の増率を強硬に主張しているのは、消費税の税率を上げれば上げるほど、輸出戻し税がたくさんもらえるからだ! ケシカラン。輸出戻し税はトヨタではなく下請けに払い戻すべきで、そうしないのは下請け・孫請けいじめであり不公平だ! トヨタが還付金をもらうのは事実上の輸出補助金であり、輸出補助金を禁止するGATT(関税貿易一般協定)違反だ!

という見方が一部で根強くあるわけですが、この命題は真なのか? 偽なのか? 妥当なものか? 的外れなものか? ごく簡単にではありますが考察してみたいと思います。

●まず、一体いくらの輸出戻し税(還付金)をトヨタ自動車がもらっているのか?は不明です。正確には分からないハズです。トヨタ自動車が「輸出還付金を○○億円もらいましたよ」などと公表しているわけではありません。公表などするハズがありません。しかし、トヨタ自身は税務署に還付申告しているわけですから、その申告が満額税務署に認められて戻ってくるのかどうか不明ですが、トヨタ自身は正確な還付金の金額を知っています。(ま、当たり前のことですが)
で、部外者がそれを知るには、推定する他はありませんトヨタ自動車・有価証券報告書等から推定するのです。トヨタは製造したクルマの国内販売・海外販売の数字を発表しています。また、その有価証券報告書のなかの 経理の状況 という章をみれば売上高や仕入れ額等の数字がわかります。セグメント別や地域別の情報が色々と明記してあるので、推定することは十分に可能でありましょう…。

●で税理士でもある湖東教授が次の表を作成されました。全商連(全国商工団体連合会)ホームページの記事『消費税収の23%が大企業へ トヨタ1社で2,291億円』から引用します。
湖東教授の作成した表

★2006年3月決算(2005年度のもの)の数字から試算されているようです。トヨタ自動車の総売上高101918億円や内輸出売上高65125億円という数字は、おそらく単独決算数字であろうかと思いますが、まもなく2012年3月期決算が発表される寸前になっていますから、大分古い数字であり、あちこち沢山の資料に当たりましたがわたくし山のキノコは表にある数字を再確認することができませんでした。この数字が間違いないものだとするならば、輸出売上は65125億円であるから、国内売上は36793億円となりましょう。
表からは仕入額が全く不明でありますが8割と仮定してみると、(36793億円)×(1-0.8)× 0.05 = 367億円、という計算になるので国内売り上げに納税すべき消費税の推定額の374億円はハッタリがなく妥当な数字であろうかと感じます。輸出戻し税額についてもその仕入れ額を8割と仮定するならば、65125億円 × 0.8 × 0.05 = 2605億円となるので、教授の算出した2665億円は妥当な試算でありましょう。
わたくし山のキノコは、湖東教授が作成されたこの試算表はまったくハッタリや誇張がなく、まあこんなものだろうと思います。

国税庁の発表する資料では平成17年度(2005年度)の輸出戻し税還付金は21814億円で、地方消費税分を合わせると2兆7000億円余りであろうかと思います。輸出比率の高い僅かの大企業が、輸出戻し税の多くをごっそりと持ち去っているのは、ほぼ間違いないと思われます…。また、教授の作成された試算表は何年も前のものですが、消費税還付に関する状況はなんら変っていないですから、年ごとの還付金額には増減があっても、トヨタが毎年2000億円超の輸出戻し税の還付を受けているのは間違いないでしょう…。正確なところはトヨタ自動車経理部に問い合わせるしかありませんが、たぶん聞いても言わないでしょう…。

●トヨタ自動車の本社があるところのトヨタ市を管轄するのは豊田税務署ですが、トヨタ自動車に毎月輸出戻し税の還付金を200億円ほど振り込まねばならないから、赤字税務署だとはよく言われるところです。
国税庁<名古屋国税局<統計情報(名古屋国税局) を閲覧して調べてみると、平成17年に豊田税務署で消費税の法人分に関しては、243億円余りの税収がありました。一方消費税の還付金は1295億円あまりです。その収支でいえばたしかに1051億円の赤字であります。
毎月200億円の還付をしていたら年間2400億円の還付で数字が全く合いません。豊田税務署はトヨタ自動車税務署じゃあない(他の法人事業者や個人事業者の申告もあるハズ)のですが、そのトヨタ以外の申告者があるということは、トヨタ自動車の還付金は1295億円よりも小さいということを意味してしまいます。消費税の申告は支店や事業所が独立して申告するのではなく、本社が全社分を一括して申告するのが原則だったと思うのですが(消費税法22条法人の納税地の規定により)、そうしますと豊田税務署の消費税に係る還付額が少なくないか? という疑問が生じてまいります。1295億円の還付というのは国税分でしょうが、地方消費税分を入れてもまだ少なすぎるので、巷間、流布しているトヨタは毎月200億円の輸出戻し還付金をもらっているというハナシと合致しません。(詳しい方がいらっしゃったならばご教示くだされば有難いです)

豊田税務署の消費税の税収と還付
↑国税庁のHPの統計データ数字を拾い出して山のキノコが作表した。豊田税務署は “トヨタ自動車税務署” なのか? 莫大な還付金はトヨタ自動車の係わるものであることは多分間違いないでしょう…。税務署は営利企業ではないので赤字などという表現は変ではありますが、常に還付金が大幅に上回っていて万年赤字であります…。

★消費税はもっとも難解な税金であるとされているようで、たしかに税理士でも国税庁職員でもない我々一般の者には複雑すぎます。調べれば調べるほど不明な点が次々に湧いてくるという感じで、身近だが分からない…、巧妙にとられていく…、くすぶり続ける益税問題…、などなど問題点が山積です。日本の消費税の税率はは5%であっても、税収額全体に占める消費税額の比重は20%超になり、この点は税率20%を越える欧州各国とそんなに変わらないのは、すでに広く知られています。しかし、何故その点にほうかむりして野田政権は消費税率を上げるのに前のめりになるのか? ということで野田政権にはわたくし個人的には、大いに反対の考えでございます。

(拙稿はまだまだ続きます)
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