雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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消費税の問題点とされる “輸出戻し税” について考える(その1)消費税額の2割強が還付されている。
●何年も前から、巷間で次のようなことがよく言われています。かつて週刊誌に扇情的に書きたてられました。共産党の赤旗でも問題視していました。最近では新党日本の田中康夫がいっています。また、ネット言論空間でもこの主張は根強く繰り返して流布されています。
「トヨタ自動車は1円の消費税も払っていない。にもかかわらず、毎年2000億円以上もの輸出戻し税が還付されている。これは明らかにおかしい、不公平ではないか? トヨタをはじめキャノンであるとか輸出比率の大きい大企業の幹部が牛耳る日本経団連が、消費税の増率を強硬に主張している理由は、消費税の税率を上げれば輸出戻し税がたくさん貰えてトクするからだ。」

(注)なお、「輸出戻し税」などという税があるわけではないが、還付金を通称として便宜的にそう呼んでいるようであります。

消費税収の23%が大企業へ トヨタ1社で2,291億円 関東学院大学教授 湖東 京至さんが試算(全国商工新聞) 税理士であり、税法学を専攻する 湖東 京至(コトウ キョウジ) 教授が言いふらしている説のようです。ネット言論空間で流布している “トヨタは輸出戻し税還付を沢山もらってケシカラン” という議論は大部分が湖東教授の受け売りであるか、教授の説を下敷きにした言説のようであります。湖東教授はどのような媒体や場所で自説を主張しているのか、ちょっと調べてみましたところ、全国商工団体連合会 の新聞(部数30万部)・講演会・学習会が多いです。また、しばしば共産党の講演会等にも顔を出すようであります。全国商工団体連合会とは、その連合会傘下の会員には従業員9人以下の個人事業者が中心となっています。中小企業経営者の連合会のようであります。ということは、湖東教授の立場は大企業擁護の立場ではなく、あきらかに中小・零細企業擁護の立場に立脚して言論活動をしているようです。 

●湖東教授の主張はリンク先を閲覧していただくとしても、その骨子を箇条書きに要約しておきます。

【湖東教授の主張の要約】
1、輸出比率の高い大企業には、莫大な輸出戻し税がある。上位10社で
  1兆円にも達する。ケシカラン。

2、とくにトヨタ自動車には2291億円も税金が還付されている。トヨタ
  は1円の消費税も払っていないのに、これだけの還付金を貰うのは、
  実にケシカラン。

3、輸出販売には消費税が非課税という規定があり、消費税申告のさい
  に「仕入税額控除方式」という仕組みがあるためだが、それを悪用
  している。ケシカラン。

4、トヨタは納め過ぎた消費税を、返してもらっているのではない。ト
  ヨタは1円の消費税も納めたことがない。納めているのは下請けであ
  る。下請けが納めた消費税を トヨタが総取りして還付してもらって
  いる。実にケシカラン。

5、消費税とは、(納税義務者にとって)預かり金であるとされるが
  とんでもない。第二事業税だ!「輸出戻し税」は事実上の「輸出補
  助金」だ! 輸出補助金を禁止しているGATT(関税貿易一般協定)
  違反だ! ケシカラン。

6、政府はつねづね消費税は社会保障の財源だというけれども、トヨタ
  は社会保障の財源負担をするのではない。輸出戻し税という補助金
  で、戻ってくる社会保障費などということがあっていいのだろうか?
  信じられないトリックだ! ケシカラン。

【わたくし山のキノコの見方】
●湖東教授は、まあ、たいがい、切歯扼腕(せっしやくわん)・悲憤慷慨(ひふんこうがい)してトヨタはケシカラン! と息巻いております。わたくし山のキノコの見方は、この人本当に税理士なのか?大学教授なのか?、と思うのでありますが、ま、多分、おそらくリップサービスをしているのでしょう。地球温暖化でも原発問題でも何でもそうですが大学教授というものは、誰かの代弁をする、あるいは代弁をさせられる、お墨付きを与える役回りを演じさせられる、という場合には頓珍漢なことを口走るものです…。中小零細事業者の代弁をして、中小零細事業者が随喜の涙をながして拍手喝さい喜んでもらうために、あえて言っているのではないか? と、私は見ます…。
その背景には、大企業中心の日本経団連と、中小零細企業の全商連との、立場の差というか2項対立みたいなものが、その主張に色濃く反映されているということではないのか?

(気象学者となんとなく似ています。気象学者たちは、二酸化炭素が温暖化の原因じゃないとハラの中では思っているのに、政治的な圧力で心にもないことを口走るのに、とてもよく似ています)


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【以下、簡単なる考察】

さて、教授のこの主張は果たして正しいものだろうか? それとも、誤解もしくは作為による的外れな主張でありましょうか? ごく簡単に考察いたします。

●まず、国税庁HP>活動報告・発表・統計>統計情報>各年ごとの『統計年報』 を閲覧しました。そして、重要なる数字のみ抜粋して作表しました。

消費税導入後の還付金などの推移
↑国税庁が発表公開している統計数字を用いて、わたくし山のキノコが作表した。この表の数字を見ると、大まかに言って、消費税は 約10兆円弱が申告(納税)される一方で、約2兆円強が還付されている ことが分かります。直近の5年間分について、消費税の納税申告額に対する還付税額の比率を計算してみると、平成18年度は24.8%、平成19年度は27.5%、平成20年度は25.4%、平成21年度は18.9%、平成22年度は21.0%となっています。2割あるいは2割5分ほどが還付されています。

(注)なお、上の表は国税庁の統計データなので、平成9年度以降は、国税分の消費税(4%)であって、地方消費税(1%)が含まれていません。平成22年度分に関して言えば、約9.5兆円の申告(実際の税収と若干の乖離が生じる)があり、約2兆円の還付がなされると約7.5兆円の消費税収となりますが、しかし、地方消費税の税収を加味すると、一般的に言われている約10.0兆円の消費税収となります。(色々な数字が出回っていて極めて混乱的なように思います。その数字が地方消費税の分を含むのかどうか、還付金額を相殺した数字か否か、などを確認する必要があるように思います…)

なお、消費税導入後の重要な変更点は、次の通りであります。
平成元年4月1日 消費税法が施行された。税率は3%
平成9年4月1日  税率5%(消費税4%+地方消費税1%)になる。
平成16年4月1日 消費税課税業者の免税点が、売上3000万円から
         1000万円に引き下げられた。
平成16年4月1日 価格表示が外税方式から、内税方式(総額表示)に
         変更された。

(本稿は続きます)
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