雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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諭鶴羽山系のツツジ属(その2)「モチツツジ」
●本日は2012年5月6日であります。

今年のツツジ類は裏年だ。
★昨日の午後に山の方に、ふらりと、ツツジ類の観察に行ってまいりましたが、今年はツツジ類はみな「裏年」で花が少ないです。葉ばかりがやたらに多いです。隔年開花という傾向がきわめて強いのは何故なのか? モチツツジでも、オンツツジでも、トサノミツバツツジでも、ヤマツツジでも、種が違い若木・成木・老木の区別がなく全体的に花が少ないのです。

★中には、樹冠を埋め尽くさんばかりに豪勢に咲き誇る個体もあることはあったのですが、葉ばかりの個体のほうが圧倒的に多数です。山中のツツジ類が一斉に隔年開花する理由は何でしょうか? 個々の個体がバラバラに無秩序に隔年開花するならば理解できるのですが、指揮者の統率により楽団の成員が一糸乱れぬ演奏をするが如く、ツツジ類の1本1本が一斉に足並みを揃える要因は何だろうか?

★ハッキリした要因は分かりませんが、まず思いつくのは気象条件か? と思うのですが、年ごとの気象は暖冬の年もあれば厳冬の年もありという具合で変動がありますが、極端なことを申せば、暖冬であったとしても冬が夏のようになるわけではありません。気温に関しては、そう極端に変わるわけではありません。極端に変わるのは気温ではなく、降水量でありましょう。降水量は劇的な変化を示します。特別地域気象観測所「洲本」の93年間の観測データをグラフ化したものをお目にかけましょう。(気象庁観測データを元に山のキノコがグラフ作成)

年降水量の経年推移
↑「年間降水量」の93年間の推移です。下限1000ミリ、上限2000ミリの範囲に93個の標本のうち9割近いものが収まっています。なお、このグラフは昨年10月に作成したものです。2011年の年間降水量は、年末までにさらに150ミリほど上乗せがあり、2497.5ミリに達しました。

100㎜幅の度数分布
↑棒グラフで見ると、多雨の年は少雨の年の3倍近くあることがわかります。年間降水量が最小の年は1994年の805ミリ、最大の年は2011年の2497.5ミリです。3.10倍あります。

★極端に少雨の年と、極端に多雨の年の、それぞれの月毎の降水量を調べてみると、6月~9月の暖候期に雨が多いか干ばつになるかに因っていることが分かります。夏に日照りが続けば平年値よりも年降水量が極端に少なくなり、夏が冷夏だとか台風が次々に来るならば平年値よりも極端に年降水量が多くなります。春秋の降水量の年ごとの差はそれほどではありません。

★ツツジ類は夏か秋口ぐらいにすでに枝先に翌春に咲く小さな蕾ができています。花芽形成(かがけいせい)が進んで蕾が出来ていく大事な時季に、極端な少雨に遭うとうまく蕾ができなくなるのではないか?? と推論してみましたがどうだろうか? 地中深く入る直根がなく根が浅く横に広がるツツジ類はとくに干ばつの害を受けやすいのではないか? 干ばつの夏は枯れないで生存するので精一杯で、蕾を作るどころではない…、で、足並みを揃えて翌春は花がなく裏年。翌翌年は逆に表年で樹冠を埋め尽くす花、花、花。

その後は、花が沢山ついたら果実ができてしまうので、養分が全部果実に流れて新梢ができないか、出来たとしても新芽の伸長が弱くて花芽分化できるまで成長しない、因って次の春は裏年。以降、表、裏、表、の繰り返しになるが気象条件に因ってはその順に狂いが生じる……、ではないでしょうか?

社団法人 国際環境研究協会は地球温暖化を煽るタチの悪い団体であるが、その機関誌『地球環境』は温暖化を煽る部分を割り引いて読めば大変勉強になります。安田政俊『東南アジア熱帯雨林における一斉開花結実現象の至近要因と進化要因』地球環境 Vol.3 No.1&2 1998年 という論文では、マレーシアの熱帯雨林における数年ごとの一斉開花を議論しています。この議論で、気象変化の少ない熱帯域であっても、5年毎に出現する18℃の低温だとか、例年よりも厳しい乾期による水分ストレスとか、気象が一斉開花の要因になっているらしいです。

で、諭鶴羽山系でのツツジ類の一斉開花あるいは一斉不開花も、花芽形成期の、平年値から大きく偏差した雨量等の気象が要因になっているのではないか。具体的にそれが「夏の高温?」なのか「夏の極端な少雨」なのか「極端な日照不足?」なのかはよく調査しないと分かりませんが…。ま、冬の低温は関係ないと思います。冬から春の低温あるいは高温が影響するのは、花期が平年よりも1週間早いか遅いかが変わるだけだと思います。

モチツツジの観察
花柄・がく片などに腺毛が多く、べたべたと粘る。
↑モチツツジです。花柄・ガク片・子房・若枝に腺毛がびっしりとあって、なんだかベタベタとした粘液みたいなものを分泌しています。触ると手がネバネバしたものがくっついて気持ちわるいです。しかし、かぶれるなどの害はありません。石鹸水で指を濡らしておくとネバネバしたものがくっつかないと言われています。でも、山の中に石鹸水など持っていく人があるのでしょうかねえ?? 植物園ならば、展示用のモチツツジのそばに石鹸水を置いておき、さわる場合にはこれで手を濡らしてくださいと、説明書を掲げるのはあり得ます。

モチツツジ、花色がやや薄い
↑このモチツツジはやや色が薄いです。すごく着花数が多く、枝先に10花ほどもついています。見事な咲きっぷりで着花数の多い系統かもしれません。

雄しべは5本ある
↑ツツジ類は種を見分けるのに雄しべの個数は重要です。モチツツジは5本です。

花色がやや濃い
↑こちらは花の色がやや濃い個体です。着花数が少ないです。

花冠は5中裂して、上弁に濃い色の斑点がある
↑花冠は5つに中裂~深裂して、上弁にゴマ粒を振ったような斑点集団があります。
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