雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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諭鶴羽山系のツツジ属(その1)「コバノミツバツツジ」
コバノミツバツツジであります。春の里山を桃源郷のように彩る美しいツツジです。

●植物名を書き表すさい、難しい漢字をやめて、カタカナ(場合によっては、ひらがな)で書くようにしたのは明治時代の植物学者であります。学名に関しては 国際植物命名規約 という厳密な規約があり学名の付け方にはルールがあるわけですが、和名についてはべつに厳格な命名規約があるわけではありません。(もしあるのでしたらご教示ください)けれども、植物名をカタカナで表記するのが、明治時代以来の既成の慣習になっているので、拙ブログでは植物名だけでなく生物名はすべてカタカナ表記でございます。間違っても漢字で表記したり、漢字仮名交じりで表記することなどありえません。ただし例えば、シマサルナシ(島猿梨)という風に、まずカタカナで植物名を示しそのあとに括弧つきで漢字名で説明することはございます。やはり、いかなる場合であっても、カタカナで植物名を表記することを崩すことはできないのです。

(理由は、植物名をどのように表記するかを見れば、その人が動植物とか自然についてどの程度の知識とか認識を持っているのか、ほぼ分かってしまうからです。したがいまして、自然や植物について講釈を垂れる人が目の前におったら、その人がどの程度の認識を持っているか品定めするには、動植物名をどのように書くかを観察すればいいのです。)

●そうは申しても、やはり、植物名を漢字で書くほうがその植物について分かりやすいことは多々あります。ということで、コバノミツバツツジは明らかに「小葉の三つ葉躑躅」であります。小さな葉のツツジだというのです。また、その葉は枝先に3枚つくことを表しています。本種はサクラのソメイヨシノと同じように、葉が出てくるよりも先に花が咲きます。葉が出て展開するのはたいてい花が散って後です。春に枯れ木にいきなり開花するような感じで、殺風景な雑木林が一気に華やかになります。本種は葉が小さいだけでなく、他のミツバツツジ類よりも花も若干小ぶりであります。

コバノミツバツツジ

 ●さて、いつも思うことでありますが、園芸店の店頭であるとか公園などでツツジの園芸品種がたくさん見ることができますが、ミツバツツジ類が原種であろう園芸種が全く見当たりません。広い世の中にはミツバツツジ類の園芸種があることはあるようですがが、世の中にほとんど普及していないといえましょう。サツキであるとか、ヤマツツジであるとか多くの野生種がツツジ園芸種の原種になっていて、江戸時代から膨大な数のツツジ園芸種が開発されているのに、何故ミツバツツジの類の園芸種がほとんど見当たらないのか?

思うに、ミツバツツジ類がありふれているためではないか? 個体数が多く、身近な里山に沢山ある(あった)ので、別に採ってきて庭に植えるまでもありません。タネを採取して育苗し開花させるのには長年月がかかります。わざわざそんな手間のかかることはしないし、まして、交配してもっといい品種を作出してやろうという意欲も湧かないです。またミツバツツジ類の交配種ができても、それによく似た原種が目の前にたくさん野生しているから、わざわざお金を出して購入するのは馬鹿馬鹿しいです。ミツバツツジ類は野生状態でも非常に観賞価値が高いものでありますが、しかし家の前の里山にいくらでもあるから、それを見ればいいんだよ。なんでお金を出して買わなきゃいけないんだよ、ということが品種改良の原種にあまり成らなかった理由ではないのか? 身近に沢山あるものには価値が少なく、山奥とか特殊環境に自生する入手困難なものにこそ価値があるということなのでしょう…。(と、考えてみたのですが、違うかもしれません。

●コバノミツバツツジは身近な里山にごく普通のありふれた植物だったのですが、近年、急速に減少しております。諭鶴羽山系でも沢山あったのですが、最近では捜さないと目にしなくなりました。写真のものは、諭鶴羽山系ではなく阿万の大見山で撮りました。コバノミツバツツジが減少してきた理由はハッキリしています。 “遷移の進行” です。森林が鬱蒼と茂ってきたからです。

コバノミツバツツジは耐陰性があまりなく、ある程度は陽光があたらないと育ちません。しかも低木です。樹高は1mかせいぜい2~3m程度です。したがいまして、明るい雑木林、二次林でも初期のまだ背が低い段階の林、比較的に林床が明るいマツ林、などで以前は見られました。ところがマツが枯れ、二次林が成長して樹高が高くなり、遷移が進んで常緑広葉樹(照葉樹)が鬱蒼と茂ってきました。こうなるとコバノミツバツツジは居なくなります。しかしながらこれは自然の摂理であり法則であります。やがてはコバノミツバツツジは樹木の育ちにくいところ、例えば土壌の少ない急斜面の岩角地とか、やせ土の尾根だとか、かなり特殊なところにしか残らないでしょう…。役場の人たちとか、自然保護NPOの人たちの感覚では、じゃあコバノミツバツツジを消滅から救うために、森林を間伐して太陽があたるように環境整備しよう、などと言う方向にじきに動くでしょう。しかし、それは間違っています。自然には法則とか秩序があるのですから、やがて落ち着くところにたどり着きます。自然の摂理には逆らってはいけません。
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