雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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諭鶴羽山系の山菜(その12) 「食用タンポポ」     目の敵にするよりも、採って食べましょう!
●我が淡路島では、3種のタンポポを野外で見ることが出来ます。カンサイタンポポシロバナタンポポ食用タンポポの3つであります。このうちシロバナタンポポ(白花タンポポ)は淡路島では希産の珍品で、めったに見られませんが在ることはあります。私も2回見たことがあります。もともと淡路島にあったタンポポはカンサイタンポポ(関西蒲公英)で、昔は田んぼの畦にたくさんありました。本日、用事で隣の集落のある家を訪ねたのですが、庭一面にカンサイタンポポがあるのにビックリしました。(カメラを持っていなかったので写真は撮れなかった)さて みんなでつくる自然史博物館・香川 という素敵なHPを拝見していましたら、カンサイタンポポの分布図がありました。ので、かってながら引用させていただきます。

カンサイタンポポの分布
カンサイタンポポの分布
出典は、香川大学教育学部生物学教室 末広喜代一 「タンポポ調査2010」の中間報告 でありますが、素晴らしい分布図ですね。大勢の人々が調査に参加して集めた 「有効標本数5459点!」 もの膨大なデータを、西日本の白地図上にプロットして作成したもののようで、途方もない労作で感銘いたしました。

★何が素晴らしいかと申すと、我が淡路島が分布の中心ではないか! この分布図を見ると、東西250キロ、南北180キロぐらいの楕円形のなかに分布がありますが、淡路島はその楕円形のほぼ中心付近にあります。カンサイタンポポは瀬戸内海東部沿岸地方に分布の大部分が集中しているようなのですが、僅かに九州まで見られ、四国西部や九州では県ごとのレッドデータ種になっているところもあります。
カンサイタンポポの絶滅危惧情報
出典は、日本のレッドデータ検索システムより「カンサイタンポポ」 です。

絶滅危惧Ⅰ類(Aランク) 高知県・大分県・熊本県
絶滅危惧Ⅱ類(Bランク) 愛媛県・山口県・佐賀県
準絶滅危惧種(Cランク) 鳥取県

なお、沖縄県が「情報不足」となっていますが、もし沖縄県にカンサイタンポポが本当にあるのであれば隔離分布になりそうです。で、その隔離分布形成の地史的要因に興味のあるところです。しかし、何らかの要因で関西圏起源のものが逸出したのではないか?(勝手な想像)

●さて、日本在来種であるところのカンサイタンポポが、野菜として導入された「食用タンポポ」と激しい攻防を繰り広げています。いわゆる「タンポポ戦争」です。淡路島に食用タンポポが侵入してきたのは、比較的に新しく、小林先生の『淡路島の植物誌』168頁より引用します。

【引用開始】対岸の明石には普通にあるので岩屋辺りにはあるだろうと捜してきた結果、1992年春にやっとみつけた。淡路島ではまだ珍品であるが、本四架橋の開通にともなって生育地がどのように広がるのか、今後の推移が注目される。【引用終了】

ということでありますが、私も意識して観察しておりましたところ、1995年に立川スイセン郷で食用タンポポの生育を確認しました。そして、1998年には私の実家のある南あわじ市灘城方で確認、2003年には現住所の神代でも確認しました。いまや南あわじ市じゅうどこでも見られます。広がりましたねえ。この20年で爆発的に拡散しました…。掲げた3枚の写真は私の実母が最近住むことになった所の家庭菜園畑(南あわじ市神代)で撮りました。家庭菜園で野菜をつくっているのか、食用タンポポを栽培しているのか分からないほど、はびこっています。

●さて、日本在来タンポポと、外来の食用タンポポとの戦争ですが、食用タンポポのほうが優勢であります。環境省は食用タンポポをまだ「特定外来生物」に入れていませんが、「要注意外来生物」に選定しています。お花畑の環境保護団体は「特定外来生物」に指定しろ! と叫んでおりますが、ネライは補助金です。生物多様性利権や特定外来生物利権ができつつあります…。善意の背後に隠れた権益を見抜かないといけません。

在来種を押しのけて、食用タンポポがはびこる理由は、従来は、単為生殖であるので受粉しなくても種子ができ、しかも大量に種子散布する。しかも春だけでなく秋でも、ときには冬でも花を咲かせ種子が出来る、しかも種子は休眠期間がなくすぐに発芽する…、という資源をめぐる競争に在来種よりも優位であることから説明されてきました。が、近年は 「繁殖干渉」 の観点から説明されるようになってきました。繁殖干渉というのは何か?を学ぶのには、次の論文をよく読めばいいです。植物における繁殖干渉とその生態・生物地理に与える影響

★もし、食用タンポポが在来種タンポポを駆逐してしまう悪い物であるというのであれば、駆除するのにとてもいい方法があります。食用タンポポと言うぐらいですから、採って食べてしまえばいいのです。そもそも、食用の野菜ないしは薬用植物として明治の初めに北海道に導入されたものが起源です。お花畑の環境保護団体は補助金ネライをする暇があったら、野外に繰り出して食用タンポポを採集して食べなさい。葉をサラダにしてもいいし、ゴボウのような根を「きんぴらごぼう」にすると宜しい。戦時中は、この食用タンポポの根を乾燥し、煎じて「代用コーヒー」にした話は有名です。80歳以上の人は「代用コーヒー」をよく知っています。(今でもタンポポコーヒーは一部の業者から売り出されています)

食用タンポポは普通、セイヨウタンポポと呼ばれています。高嶋四郎『原色日本野菜図鑑』保育社に、セイヨウタンポポがちゃんと収録されております。権威のある保育社の原色図鑑に野菜として載っているのですから、セイヨウタンポポは野菜であることに間違いありません。また、同時に薬草でもあります。セイヨウタンポポの学名は、Taraxacum officinale Weber(タラクサクム オフフィキナーレ)であります。豊国秀夫編『植物学ラテン語辞典』等によれば、属名の Taraxacum は「苦い草」の意味、種小名の officinale は「薬用の、薬効の」意味のようであります。Weber は命名者の略称。
 
食用タンポポの大株
見事な大株です。
頭花は立派で大きいい
頭花は大きくて立派です。
頭花の下の顎のように見える総苞の外片が反りかえる
頭花の付け根のところの、緑色をしたガクのようなもの、そのガクのようなものの外側の部分、「総苞の外片」が強く反りかえるのが大きな特徴であります。

食用タンポポの「きんぴらたんぽぽ お花畑の自然保護NPO法人の人らがセイヨウタンポポを目の敵にしているので、「きんぴらごぼう」にして食することを推奨したいと思います。なぜならばセイヨウタンポポの根を集めることが、本種の退治に大いに貢献するからです。葉をむしってサラダにするのでは全く退治にはならないのです。1点だけ注意することは、丁寧に根を残さずに掘り取ることです。太い根を途中でちぎって地中に根が残ったならば、その根から再生してくるのです。
食用タンポポで作る「きんぴらたんぽぽ」
↑ 「きんぴらごぼう」ではなく、「きんぴらたんぽぽ」であります。 わたくし山のキノコの作品です。

【作り方のコツ】太い根ばかりはないので、細い根も使います。セイヨウタンポポの根をよく洗います。タワシでこすってもいいです。皮は剥く必要がありません。いわゆる “ささがき” で根を削いで切るのですが、細い根は「ささがき」は難しいので包丁の柄でたたいて軽く潰します。潰すのは水にさらして苦味成分が溶出しやすくするためです。そして、水でよくさらして、とにかく苦味を抜きます。水でさらさないとかなり苦いのです。 セイヨウタンポポの根はゴボウのような「アク」は少ないのですが、その代わりに苦味があるのです。あとは、きんぴらゴボウと同じ要領で調理します。

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それは貴方の個人的な嗜好であり、個人的なご意見でありましょう。

私は、たんに個人的な見解を述べるのではなく、記事内容にできるだけ客観性を付与するために、出典を明示しております。高嶋四郎著『原色日本野菜図鑑』保育社に、セイヨウタンポポが野菜として記載されていることを紹介しております。そもそもセイヨウタンポポはヨーロッパで薬用や食用にされていたものを、明治期に北海道に食用目的で導入したものです。単為結実することと春以外の季節でも気温がそこそこあれば開花するので、繁殖力が非常に強く、在来種タンポポを凌駕して今では日本中に帰化してしまいました。記事中にも書きましたが繁殖干渉というふうなこともあるかもわかりません。そもそも食用目的で日本に導入されたものでありまして、これは客観的な事実であり、食用になる野生植物について関心が有る人々のあいだでは認知されている話です。食用目的で Taraxacum officinale というヨーロッパに原産するタンポポ属植物を導入した経緯と、「セイヨウタンポポ」とか「食用タンポポ」とかいう名称は導入した Taraxacum officinale に付与した日本での和名や名称ですから、食用タンポポ = セイヨウタンポポなのであって、食用タンポポ = 在来種タンポポと解するのは明白に誤謬です。これはどちらが食用に最適なのかということには全く関係がありません。和名が付与された経緯からそうなります。

そもそも、セイヨウタンポポと在来種タンポポのどちらが食用にふさわしいか? などを論じている記事じゃあありません。自然保護を声高に叫ぶNPO法人の中に、セイヨウタンポポの爆発的蔓延によって在来種タンポポが絶滅させられるなどとアホウな主張をして、セイヨウタンポポを駆除する活動を事業化して補助金をかすめ盗ろうと狙うお花畑団体があるのを、(名指しはしませんが)茶化して批判している記事です。それで、タイトルが「目の敵にするより、採って食べましょう!」なんですよ。言外に言おうとしたのは「補助金のかすめ盗りをするな」です。冗談半分で、皮肉交じりに茶化して言っているわけです。本気でセイヨウタンポポを食べなさいと一般の人々に奨励している記事ではありません。アホウな主張をするエセ環境保護団体に、セイヨウタンポポを目の敵にしているお前らが、採って食べなさいと皮肉的に言おうとした記事なんです。ちゃんと、お花畑の環境保護団体は補助金ネライをする暇があったら、野外に繰り出して食用タンポポを採集して食べなさい。と書いています。一般の人々にセイヨウタンポポであろうと在来種タンポポであろうと、山菜として、野菜としてとても奨励できるしろものではありません。諭鶴羽山の山菜シリーズの番外編という位置づけの記事なんです。そもそも、外来種であるセイヨウタンポポを山菜と称するのにはかなり無理があります。明記はしていませんが、で、番外編なのですよ。

それで、とても食べられるしろものではないから、潰すのは水にさらして苦味成分が溶出しやすくするためです。そして、水でよくさらして、とにかく苦味を抜きます。水でさらさないとかなり苦いのです。と注意書きを付けております。貴方はセイヨウタンポポを生で食べたんですか? そりゃあ苦いですわな。在来種タンポポを生で食べているんですか? 在来種だって相当苦いですよ。あんなもの食べてるんですか? 戦中・終戦直後の食糧難のようなサツマイモの蔓まで食べた食糧危機の時代には、タンポポまで食べましたが、(とくに根を煎じてコーヒーの代用品にしましたよ)今の飽食時代には柔らかくて美味しい野菜が沢山あるのですから、なにも苦い苦いタンポポなど食べる必要はないでしょう…。あんなもの食べてることのほうが驚きです。ということで、タンポポなど食べるものではありません。半分冗談で、新興宗教なみの狂信的な環境保護団体を茶化して批判した記事であることをご理解たまわりますれば幸いです。

【付記1】 ビールだって相当に苦いです。私は酒を呑みませんからビールも飲みません。というよりもビールは大嫌いです。しかしビールが好きな方に聞いたら、苦味のないビールなどビールではない。苦いのがビールの命だといいます。ゴーヤだって相当苦いですよ。別名がニガウリです。私はゴーヤは大嫌いです。しかし沖縄の人々はあんな苦い野菜なのに料理に必須の食材として珍重しています。個人の嗜好やその土地の食文化によっては、顔をゆがめるような苦味が至福の旨みになることもあり得ます。したがいまして、セイヨウタンポポが在来種タンポポよりも苦くて食用に向かないというのは、貴方の個人的嗜好でありまして、それを一般化することには私は同意しません。

【付記2】 苦いことでは、アケビの新芽のほうがセイヨウタンポポ以上です。物凄い苦いですよ。食べたことありますか? けれども北国・雪国の人々は珍重しています。西日本では木の芽といえばサンショウのことですが、雪国・北国では木の芽といえばアケビの新芽を指しています。苦い苦いアケビの蔓の新芽を食べる食文化が根付いています。また、納豆なるものは関西人からみたら、腐っているとしか言えない臭い臭いものです。食べ物などではありません。早く捨てるべき汚物です。しかしながら、関東人はあんな腐ったものを平気で食べるどころか、これほど美味いものはないんだよと好きな人は、毎日食べていますよね。これらは、個人的な嗜好や経験、特定地方の食文化など、広く一般化できない見事な例証です。ご理解たまわりますれば嬉しいです。
2013/04/16(火) 05:01:17 | URL | 山のキノコ #js83eNAU [ 編集 ]
「食用タンポポは普通、セイヨウタンポポと呼ばれています」につきまして、過去の経験を述べさせて頂きます。
私は今まで、西洋タンポポと日本タンポポとを逆に考えておりました。
過去に生で食した経験から、片が反っておらず、ぴったりとくっついたタンポポ(日本タンポポ)のほうが苦味が少なく生でも食することができ、片が反ったほう(西洋タンポポ)は苦味が強く生では食することができませんでした。これから食用向きは日本タンポポではないかと思いますが。
2013/04/16(火) 01:00:57 | URL | seikuro #4B3NfbaA [ 編集 ]
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