雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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爆弾低気圧の立役者に、「強烈な寒波」あり。
本日は2012年4月4日です。

昨日から今日にかけて日本列島に春の嵐をもたらした「爆弾低気圧」は強烈でありました。凄かったですね。この低気圧は4月2日21時に黄海にあった時点では1006hPaでしたが、1日後の4月3日21時にはなんと964hPaまで中心示度が低下しました。24時間で42hPaも中心気圧がさがりました。まるで竜巻みたいな低気圧でした。

爆弾低気圧の定義は、「低気圧の緯度をφ(ファイと読む)とし、24時間で 24×(sin φ/sin 60°)hPa 以上の中心気圧の低下が見られたもの」であります。このたびの強烈な低気圧は発生から閉塞のしばらく後までほぼ北緯40度を東進しました。で、sin40度/sin60度は0.74になるので、24時間で17.8hPa以上中心気圧が低下したならば、爆弾低気圧の定義する条件をみたすことになります。したがって昨日の日本海の強烈な低気圧は、正真正銘の「爆弾低気圧」であったといえそうです。なお、24時間で24hPa以上中心気圧が下がったものを爆弾低気圧とよく説明されます。しかし、それは定義上北緯60度でのハナシであって、それより緯度が低いほど基準の気圧低下量は低くなります。(ただし、日本の気象庁は爆弾低気圧などという言葉を、正式の気象用語として採用していないです)

2012年4月3日21時の地上天気図
↑2012年4月3日21時の地上天気図です。気象庁HPから抜粋引用しました。それにしても日本海で964hPa!とは凄いですね。北海道東方海上とかカムチャツカ半島近海ならば(つまり低気圧の墓場ならば)アリだけど、日本海でここまで中心気圧が下がるとは……、絶句です。日々の天気図をはじめ、日本気象協会発行の月刊『気象』に掲載の天気図(『気象』が廃刊後は日本気象学会の『天気』)を資料的に見続けていますが、日本海でのこんな凄い天気図はちょっと記憶にありません…。後世に語り継がれる「超低気圧」でありましょう。

2012年4月3日21時の高層天気図(500hPa)
↑2012年4月3日21時の500hPa面の高層天気図です。気象庁のHPから抜粋引用しました。おおよそ5100m~5700m上空の天気図です。これを見たら今回の低気圧の強烈に発達した最大の要因がなんであったのか、私のような素人でも分かります。日本海の真ん中に上空の低気圧があって、その全面に暖気が亜熱帯から吹き上がっています。そして後面にこの時期としては強烈な寒気が南下しています。しかし、この時点で地上の低気圧と上空の低気圧の位置が同じになっているので、低気圧が急成長し終わってすでに閉塞過程に入っており、この後は気圧低下はしれているというのも窺える図です。

上空500hPa面の気温と、および、気象庁の高層気象観測データを見てみます。

      4日21時の気温  平年値   平年値からの偏差
北海道の釧路  -18.1℃   -27.9℃    +9.8℃
島根県の松江  -31.5℃   -18.8℃   -12.7℃


なお、気象庁は観測所の場所をころころと変えるとても悪い癖があります。高層気象観測所の「釧路」の平年値として「根室」を、「松江」の平均値として米子の観測データを用いましたが、それぞれ至近距離にあるのでそれほど問題はないと思います。低気圧の全面で平年値よりも10度高い暖気が吹きき上がり、低気圧の後面で平年値より10度以上低い強烈な寒気が吹き下ろしたことが分かります。とくに、松江の-31.5℃という寒気は、米子の観測データと連続性があると考えたならば、1957年の観測以来4月としては歴代7位になる低温記録であります。

高層気象観測データを見ると、ここ数年来、高層の低温記録更新が目立ってきております。地表は熱汚染によるヒートアイランド現象に覆い隠されていて分かりにくいのですが、高層気象のデータは隠しようがないという感じです。上空の変化に応答して地上では近年低気圧の猛烈な発達という現象が鮮明になってきました……。気象庁はぼちぼち政府や経産省に隷属する立場をやめて、専門技術集団としての矜持を示したらいかがであろうか?
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