雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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剣山を遠望する絶景ポイントの西三子山(標高1349m)に登るも、剣山は見えず! (その2)
淡路島まで帰らんならんので時間に余裕がありませんが、すこし自然観察をしましょう。

西三子山 (にしみねやま、標高1349m) は石灰岩の山

山全体が石灰岩というわけではなく、山頂から南西方向に延びる尾根やトロッコ道で石灰岩が見られます。炭酸カルシウムの含有率が高い真っ白いのもありますが、炭酸カルシウムの含有率が少なかったり不純物が混じってあまり白くないのもありますね。剣山地一帯では山地全体に石灰岩が広がっているのじゃなくて、あちこちに点々と散在しているという感じです。例えば剣山でも石灰岩が見られるのは行場とか刀掛け松付近とかで、山全体じゃないです。高城山では山頂付近のごく狭い範囲です。剣山地で小規模な石灰岩地帯が散在している様子は、地質図Naviの電子地質図 でよく分かります。なお注意が要るのは山によっては地質図と背景地図がズレています。例えば、高城山じゃ山頂付近が石灰岩ですが電子地質図の石灰岩表示が200mほど北へズレ込んでいます。


↓ 山頂から南西方向へ延びる尾根を標高差で120m降りました。登ってきたのと反対方向です。フクジュソウ自生地に行くためです。降りて行く尾根の様子です。写真ではあまり白くありませんが、肉眼ではもっと白いです。炭酸カルシウムの含有率が高いと思われます。岩の表面に、石灰岩独特の水が流れた跡みたいなものがあります。石灰岩が化学的風化に弱いことを示していますね!
西三子山の石灰岩
西三子山の石灰岩
西三子山の石灰岩


石灰岩の山と申せば、好石灰岩植物であります。石灰岩が風化した土壌は化学組成が特異で、そういうのを好む植物が生育し、典型例では全山石灰岩からなる滋賀県・伊吹山は特異な植物相ということで知られていますね。石灰岩の山に来ると他で見られない植物が色々と出てきますね。そういう目で植生を観察していると果たして出てきました。チョウセンナニワズです。絶滅危惧植物です。環境省カテゴリーでは絶滅危惧Ⅱ類、徳島県版レッドデータでは絶滅危惧Ⅰ類です。採らないように。ややマニアックですがチョウセンナニワズの分布図がある解説文 を参照。


↓ 西三子山の石灰岩の岩場で見られたチョウセンナニワズ。見ごろは葉が少し展葉した2週間後ぐらいか? 7月~8月の赤い実のほうが観賞価値が高いかも? 石灰岩の露頭周辺を捜したら10株ほどありました。本種は絶滅危惧性が高いので採らないように! (採るな言うのなら黙っておけ、と言われそう)
チョウセンナニワズ
チョウセンナニワズ


珍奇な植物よりも、一般的にお奨めできるのがこちら。観賞価値が高い ヤマシャクヤク です。園芸種のシャクヤクは八重咲でケバケバしすぎですが、野生種は上品で清楚な美しさがあります。徳島県版レッドデータでは準絶滅危惧種です。採らないように。トロッコ道沿いにけっこうあります。見ごろは4月の下旬ぐらいでしょうか? お花見にはここは急斜面でやや危険です。スーパー林道ぞいの砥石権現がいいでしょう。砥石権現に至る登山道に大きな群落がありますわ。
ヤマシャクヤク

↓ つぼみの先端が赤味がさしていますけど、白花のヤマシャクヤクです。今月下旬には咲くでしょう。赤花のベニヤマシャクヤクは花期が遅いです。
ヤマシャクヤク

↓ こちらは2016年5月3日、赤帽子山 (標高1620m) にて白花ヤマシャクヤク大群落
ヤマシャクヤクの大群落

参考】 ベニヤマシャクヤクは花期が1か月ほど遅れ、5月の終わりから6月の中ごろぐらいでして、分布域もより低標高。
赤花のベニヤマシャクヤクは暖温帯上部あたり、白花のヤマシャクヤクは明らかにブナ帯 (冷温帯下部あたり) です。

ベニヤマシャクヤク
ベニヤマシャクヤク


西三子山のフクジュソウは絶滅寸前?

かつては、ここはフクジュソウの有名な自生地でありました。自然探索の書物にも取り上げられ、たとえば 『日本列島花maps 花の旅フクジュソウ』 1993年、北隆館 などに大きく掲載されました。我輩はこの本でここの自生地を知りました。しかしながら近年はここのフクジュソウ群落は衰退し、一時絶滅か? などと言われましたけど、地元の人々の手で防御ネットが張られ保護されています。何から保護しているのか? シカの食害じゃなくて、ヒトの盗掘圧から護っているのかも? 少なくともシカの食害じゃないと見ます。フクジュソウは花は美しいのですが有名な毒草です。美しい花にはトゲや毒があるのが普通です。たとえばシャクナゲも有毒植物。 

今年に開花したであろうと思われるものは1株しか見当たりません。入念に地面を観察すると、実生の小さな未開花株ならば、オーダーで数十株程度ありそうな感じです。小さな幼株が育って群落が復活するのかどうか? ネットを張っているぐらいだから、地元の人々が群落消長の経年モニタリングしているかもしれませんね。フクジュソウは誤食による死亡例もある有毒植物であります。東京都福祉保健局「食品衛生の窓」 参照。たぶん、おそらく、シカに対しても毒性があるのではないか? 近年、どこの山でもシカの不嗜好植物ばかりがはびこっています。 (しかしながら、シカの不嗜好植物ばかりがはびこるのも自然の変化なのであって、それはそれでよろしい。大陸に棲むハイイロオオカミを移入・放獣などアホウななことをしてはいけない) 本日も、登山道周辺を観察すると、アセビ、シコクブシ、ニリンソウ(イチリンソウかも?)、タケニグサの芽生え、などなどシカが喰わん植物が目立ちます。それはそれでいいわけです。山は変化し、植生も変化し、数十年か数百年が経過して別の安定状態(平衡状態)に遷移するだけであります。シカが増えたなどとガタガタ騒ぐのは、伏魔殿の環境省の利権を支援することになりますわ。環境省は自然を護るお役所であって確かにその通りなんですけど、自然が破壊されてこそ存在意義があり矛盾を抱えているわけです。北関東じゃ放射性物質のバラマキを環境省がやっていますけど、言よったら怒られるので余談はさておき、張られているネットの外にもフクジュソウの未開花株がけっこうあります。シカが喰っているような形跡は確認できませんでした。 ということで、シカよりもヒトが一番タチが悪い動物だと思います。周辺環境を観察するとフクジュソウ自生地が常緑針葉樹の植林に囲まれています。植林の生長にともなう早春の光環境の劣化とか? 何らかの病気? 個体数激減による遺伝子多様性の喪失? 群落衰退の要因はいろいろ考えられそうでシカによると短絡的に決めつけないほうがよろしそうで‥。何でしょうかね??


西三子山のフクジュソウ群落は絶滅寸前?
西三子山のフクジュソウ群落は絶滅寸前?
西三子山のフクジュソウ群落は絶滅寸前?
西三子山のフクジュソウ群落は絶滅寸前?
西三子山のフクジュソウ群落は絶滅寸前?


以下3葉の写真は、2017年3月29日徳島県西部の三好市東祖谷山の寒峰(標高1605m)にて

西三子山のフクジュソウ群落には花がなかったから、寒峰のフクジュソウの花の写真を陳列します。東祖谷山じゃ寒峰以外にもフクジュソウは結構みられますが、剣山地の東部じゃ全然見ないですね。フクジュソウの花の観察には黒い傘が必携(?)です。太陽を遮ると花がしぼみ、太陽を当てると花が開きます。数分で反応しますわ。

2017年3月29日徳島県西部の三好市東祖谷山の寒峰(標高1605m)にて
2017年3月29日徳島県西部の三好市東祖谷山の寒峰(標高1605m)にて
2017年3月29日徳島県西部の三好市東祖谷山の寒峰(標高1605m)にて



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