雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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なぜ記録的な大雨が頻発するように見えるのか?
近年の雨は大きいとか、昔はこれほどの物凄い雨はなかった、などと巷間で言われています。マスゴミどもに言わせたら、記録的な豪雨が増えたのは地球温暖化のせいだ、と言わんばかりです。たしかに降雨強度が強まり、総降水量が増加の傾向はないこともないのですが、一面では強調されすぎています。NASAの気象学者のジェームス・ハンセンが米国議会で証言して、言い換えれば、地球温暖化の政治的な恐怖キャンペーンを仕掛けて、自然科学としての検証もろくすっぽ行わないうちに、政治的な喫緊の大問題とされてしまいました。温暖化で大変なことになるハズだという政治的な前提があるので、研究も報道もその前提に沿うようなものばかりが幅を利かせます。本当に、記録的な大雨が増えたのかどうか考えてみます。そう見えてしまう理由はいくつかありそうです。

①、降水という気象現象は 「べき分布」 を示します
正規分布じゃありません。大雨なのか小雨なのかという降水強度と、その発生頻度は 「正規分布」 じゃなく 「べき分布」 しています。つまり、降水量ゼロというのが圧倒的に多いです。日降水量というものを考えてみます。例えば10年間というのは3650日あります。そのうち、雨が降らない日は3分の2ぐらいです。降水量数ミリというのは多いです。総降水日数の半分程度でしょう。次に、降水量が数十ミリというのは結構ありましょう。ところが降水量数百ミリの豪雨となればめったにありません。つまり、雨が大きくなるにつれて発生頻度が激減するわけで、これは 「べき分布」 と呼ばれる出現分布であります。べき分布において上限はどこなのか全くわかりません。べき分布では打ち止めがないも同然です。正規分布ではありえないような物凄い現象がある程度の発生頻度で起こってしまうのがべき分布の特徴ですが、まず、そういう要因が大きいでしょう。

②、気象観測統計期間が短すぎます、記録的などと言うためには数百年の観測統計期間が必要
各地の気象台や旧測候所など気象官署でも100年前後の観測統計しかありません。長くても130年ほどです。アメダスにいたっては1970年代後半から始まったもので、まだ、たった40年ほどの観測記録しか存在しません。これでは次々に記録破りの現象が起こるのは当たり前です! 自然界には500年に1度とか千年に1度などの現象が普通に起こるのであって、たった40年の歴史からはみ出した現象をもって記録的とか観測史上の記録更新などと言うのが、そもそも間違っています。実は、「記録的」 などという言葉は、今後人類が近代的な気象観測を千年とか2千年ぐらい続けてから言う言葉なんですわ。

③、マスゴミの過剰報道による印象操作もありましょう
ちょっと大雨が降って洪水となったならば、マスゴミどもが五月蠅いほど報道します。むかしも大変な大雨は各地で頻発していますが、いちいちマズゴミは報道しませんでした。ていうか、テレビなど昔はありませんでした! 庶民が遠い地方の洪水被害など知る由もなかったわけです。うるさいほどの過剰報道で実際以上に大雨があるかのように印象操作されています。

④、被害という面では、人口増大が災害の最大要因です。
むかしは 「○○川の後背湿地には家を建てるな、いずれ洪水で流されるぞ」 というふうな言い伝えが各地にありました。わが淡路島南部の南あわじ市にも言い伝えが存在しますよね! それはどこかと言うのは差し障りがあるので言わずもがな。人々は何世代にもわたってその土地に住んでいるのです。何百年に1回というような大災害も実は経験済みなんです。で、後世の人々に対する警告として、また子々孫々がヒドイ目に合わないようにとの暖かい親切から言い伝えがあるわけです。ところが、明治初期から現在までに日本の人口は3倍に膨張しています。旺盛な住宅需要を賄うために、洪水が起これば家屋が流される危険な川沿いとか、山崩れが起これば生き埋めになる危険な山裾や、将来いつの日にか必ず津波が襲来する危険なところに、宅地開発の手が伸びます。あえて、金儲けに目がくらんだデベロッパーが危険を承知の上で宅地開発していますね。 本来ならば住んではいけない危険地帯に多くの人々が住んでいます。これは誰も指摘しませんが、これがそもそもの根本問題です。一番の防災策は危険なところには住まないことです。マスゴミが総力をあげて過剰報道するから、たとえば先月の九州北部での洪水被害でも九州北部全域がメタメタにやられたような錯覚がしますが、じつは甚大な被害があったのは河川のそばの意外に狭い範囲なんです。危険なところには住まないというのが、最強の防災策であります。でもまあ、そうはいっても、狭いニッホン、土地の値段も高いし、言い伝えを無視して危険な場所に住まざるを得ない面があるのは否めません。これが被害を甚大にし、大雨が増えているようなイメージにつながります。

⑤、観測方法や、,観測統計のとりかたいかんで数字を大きく見せかけることが可能
つまり騙せます。数字を示すというのは、正確に定量的に物事をとらえるには不可欠ですが、数字の扱い方がよろしくないと両刀の刃となってしまいます。数字というのは実は油断もすきもないもので、少し警戒してかかるほうがいいのです。その数字がどこから出てきたのか、どういうふうに計算されたのか、疑ってかかるほうがいいわけです。鵜呑みにするのはマズいわけです。 今回のエントリー記事では、この ⑤ の問題について、数字を大きく見せかける手口を2つ紹介しましょう。



一つの手口として観測所の数を増やす
というのがあります。たとえば、学校であるクラスの男子生徒が20人いるとします。うち、もっとも背が高い生徒は179センチだとします。その学校はマンモス校で15クラスあるとします。では15クラスの男子生徒300人で一番背が高いのは? たいてい190センチとかになりますよね! サンプル数を増やせば増やすほどに平均値からより乖離した長身の生徒が見つかるハズです。サンプルを増やせばより大きな数字が出現します。雨量観測所でも同じことが言えます。気象庁の観測所 (気象官署とアメダス) は全国に約1400箇所あります。普通は報道では気象庁の観測データが持ち出されます。ところが、公的機関の国土交通省は河川防災の観点から全国に雨量観測種を設置していますが、気象庁観測所の数倍あるようです。7000箇所ぐらい?? ハッキリした数はわかりませんが、気象庁よりもはるかに高密度に沢山あるのは間違いないところです。わが淡路島に関して申せば、気象庁の観測所は3箇所に対して、国土交通省の川の防災雨量観測所は23箇所 (2017年8月9日現在) あるようです。しかも新しく設置されることがあり、増える傾向です。

今回の台風に関するマスゴミどもの報道では、奄美大島の大雨災害報道では国交省観測を異様に持ち出して、「記録的」 なる言葉を叫んで煽っていました。気象庁の観測データはデータベース化されて外部の者でもいろいろと検索できますが、国交省の雨量観測データはお役所内には存在するんでしょうけれども、外部の者には、そもそもその観測所がいつ設置されたのか、観測開始がいつなのか、など基本情報すら不明です。つまり、観測統計的には使い物にならないすね。で、気象庁観測データと対比させて国交省観測値が 「記録的」 だと叫んでいたようなニュアンスでしたが、そんなのおかしいわけです。国交省の雨量観測は、河川流域での現在の降水状況をみて、洪水等の災害につながるかどうかの判断に供するものでしかない、と思います。


淡路島の事例では、降水量は46%増!
今回の台風5号による降水量 (8月6日22時~7日21時の間) は、わが淡路島では気象庁観測では、アメダス南淡で173ミリ、洲本特別地域気象観測所で110ミリ、アメダス郡家で63ミリでした。23箇所ある国土交通省観測では最小38ミリ、最大253ミリでムラが大きいのですが、諭鶴羽山周辺の5か所で200ミリを越えました。分水堰253ミリ、牛内ダム251ミリ、北富士ダム239ミリ、諭鶴羽234ミリ、諭鶴羽ダム234ミリ。通常の報道では淡路島のアメダス南淡で173ミリの雨量だったと報じますが、より大雨だったように印象づける意図があれば、国土交通省の分水堰253ミリを引っ張りだします。46%も多い数字にすることができるわけです! しかも、たいてい、報道では気象庁観測なのか、国交省観測なのか、あいまいにしてボカしますね。



上勝町(徳島県)の事例、国交省観測を持ち出せば大雨は31%増!
台風5号 (T1705) による直接影響の降水量は、四国東部で一番多かったのは徳島県上勝町のアメダス福原旭でした。上勝町は「葉っぱビジネス村興し」で有名なところですが、スーパー林道をふらふらと通行したり、高丸山や雲早山などへの登山やブナ帯の植物観察にときどき来ます。上勝町の降水量分布を見てみます。


↓ 気象庁サイトから アメダス福原旭の観測統計 を抜粋して借用します。

アメダス福原旭では365ミリ


国土交通省 川の防災情報サイト から観測値を取得しました。
川の防災雨量観測では480ミリ


↓ 国土地理院地図の上に、観測所の位置をプロットし降水量も記入。ご覧のように、上勝町には気象庁観測所はアメダス雨量観測所は福原旭の1か所だけですが、国土交通省の雨量観測所は5箇所あります。で、より大雨だったように印象づけようとするならば、国交省の殿川内の480ミリを報じればいいのです。
上勝町に雨量観測所は6か所


上勝町写真ギャラリー

以下4葉の写真は2,017年7月25日に撮った。

↓ 上勝町役場

上勝町役場

国土交通省の落合雨量観測所の近くです。アユの魚影が濃い勝浦川です。上流から下流方向を見たものです。川のあちこちにアユ釣り師がおります。
アユの魚影が濃い勝浦川

剣山スーパー林道の起点であります。むかし上勝町の主催でオフロードバイクの競走大会みたいなことをやっていませんでしたか? 吾輩は興味がないので遠巻きに眺めるだけでしたが、スーパー林道は昔の賑わいはなくなりましたね。崖崩れ等で閉鎖箇所も頻発していますし、やがて全面閉鎖もあり得るのでは?
剣山スーパー林道起点

この日の午後3時半から5時半までの2時間に、アメダス福原旭で41.5ミリの夕立がありました。すると、勝浦川の支流の旭川 (写真では分岐している左側のほう) があっという間に濁って水量が増えました。渓流釣り師は上流域での夕立に気をつける必要があります。 急な増水で流されないように‥。
ちょっと夕立がくると増水し濁る

以下の6葉の写真は2017年7月29日に撮った。

「にほんの里100選」 に選ばれたという 八重地(やえじ) というところにやってまいりました。でもまあ、ケチをつけるわけじゃないのですが、こういう山村は日本中どこにでもありませんか? わざわざ遠くから見に行くほどのものじゃないと思いますけど。それに、せっかく立てた看板です。綺麗に拭いたほうがいいのでは?
にほんの里百選に選ばれたという八重地
にほんの里百選に選ばれたという八重地
八重地は高丸山の裾の傾斜の緩い所に開けた山村です。標高は600m。夏も朝晩は涼しくて熱帯夜の県都徳島市と比べたら別天地と思われます。ただし、冬は厳しいですね。旧木沢村に抜ける道路なんか除雪が間に合わないときには通れませんね。もちろん夏タイヤじゃ通行不能です。
のどかな田んぼ

実は、これを視察にまいりました。棚田とか重要文化財の古民家を見にきたのではありません。気象観測所は、その観測値は立地環境に大きく左右されます。尾根筋にあるのか谷底なのか山の南側か北側かなどで、雨量も気温も大きく違ってきます。どこどこで何度だ、といってもそこの立地環境・周辺環境を踏まえないとあーだ、こーだと言えないわけです。日本一の高温を観測したければ、アスファルトを周囲に張り詰めたところに観測所を立てればいいわけです。41度の公式の日本最高気温を記録した高知県アメダス江川崎はまさにそんな傾向。となりに大きな駐車場がありますね。
これを視察に来た
八重地雨量観測所

この辺りは、地理的には剣山地の南東斜面にあたります。日本有数の多雨地帯のひとつです。で、いたるところに土石流危険渓流の標識が立っています。写真のところはアメダス福原旭のごく近くです。
いたるところに土石流危険渓流



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