雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
201708<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201710
岩石海岸の自然観察 (その3)
岬の先端付近の海岸は強風地帯!

一般に海岸は風が強いところであります。陸上ならば風が吹きわたるときに、建物や樹木や丘や小さな山など障害物があり風力が減衰されます。しかし、だだっぴろい海上には障害物がありません。で、海上から吹く風は強いです。陸上の風よりも風速は2割とか3割増しです。陸上では暴風警報はなかなか出ませんが、海上風警報は頻繁に出ます。こういう理由で海岸は風が強いのですけれども、とりわけ風が強くなるのは岬の先端とか、海峡部分であるとかですが、気象観測データを調べたらハッキリと裏付けられます。日本本土で最大瞬間風速の記録を持つのは室戸岬 (旧 室戸測候所) の84.5m/sであります。(富士山の91mは山岳観測データなので特殊な例) 全国の観測所で特異的に風が強いのは、愛媛県の佐多岬半島とか、北海道の襟裳岬とか、岬にある観測所はちょっと低気圧が通っただけでじきに30mぐらいの風が吹いています。ということで、淡路島最南端は潮崎という岬でもあり、鳴門海峡に面していますから紛れもなく強風地帯です。風があるときには危険なので行かないように。

気象庁サイト から風向・風速分布図を1枚借用。昨日7月4日に西日本を横断した豆台風3号 (T1703) が襲来したときの風速分布ですが、台風はまだ九州にあるときのものです。台風は豆台風であって、まだ台風による強風は出ていなくて、通常の夏の南東季節風場における風速分布と思われます。図中に示した室戸岬・瀬戸・友ヶ島の3地点はとにかく風が強いところです。立地は岬や海峡です。内陸部では風が弱く、沿岸部で風が強いことがわかります。豆台風3号は四国南部を横断しましたが、台風本体による風では、室戸岬で最大瞬間風速45.0m/sを観測、豆台風でもあなどれないことを示しました。
岬や海峡では風が強い


海岸風衝地の植生は、相観的には疑似的亜高山帯?

↓ 付近一帯の海食崖の上の樹木は、強風のためにまっすぐ伸びることができません。扁形度3~4の強い扁形樹となっております。風当たりが弱いところであっても土壌が未発達なため、シイなどの高木が育たず、せいぜい亜高木や低木ばかりです。
海食崖の上の樹木は強く扁形する

↓ 強風地帯の中にあっても微地形の影響が非常に大きいです。低い山並みがパラボラアンテナみたいな御椀状になっていて、さらに、その御椀の奥の山が低くなっているようなところでは、風が強烈です。天然の〝風レンズ効果″を発生させるような地形では樹木は育ちません。
小さな谷
谷を強風が吹きあがる

潮崎の岬にある小さな谷です。太陽の光をレンズで集めると黒い紙を焦がすように、風を集める (一点に収束させる) 風レンズ地形となっています。この小さな谷を吹き上げる強烈な風は植生を見事に変えています。谷に沿うところでは樹木は上に伸びられません! せいぜい50センチ程度です。トベラもハマヒサカキもシャリンバイもウバメガシもみな盆栽みたいに50センチ程度の高さしかありません。芝生みたいに見える部分はネザサという笹ですが、これは普通は2mほどになる笹ですが、わずか20センチほどしかありません。強い風で草丈が伸びられないのは、四国山地の亜高山帯に似ています。ミヤマクマザサの中にあるコメツツジの光景に酷似しますね。
谷筋では強風のため樹木は矮生化する

海食崖の上に生えるクロマツも、土壌がないことや乾燥など悪条件で生育が悪いことに輪をかけて、強風でまっすぐに伸びられません。岩上を枝が這うように広がります。中部山岳の高山帯のハイマツみたいな姿になってしまいます。老人の繰り言で同じことばかり申すのですが、海岸岩場の風衝地はまさに疑似的亜高山帯であると言えましょう。海岸の岩場を歩いていると、登山をしているような錯覚をしますね!
ハイマツみたいになったクロマツ


スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.