雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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海岸の自然観察 (その1)
このあいだ淡路島最南端の海岸へ行って、磯の潮間帯の生き物たちや、海岸に生育する植物たち、それから海岸で見られる独特の地形を観察したのですが、観察日は6月13日、観察などという仰々しい言葉を使うのもおこがましい小学校理科レベルであります。


赤紫色の炭のような煙幕を張って身を守るアメフラシ!

持参の青いタライに海水を張って、潮間帯のタイドプール (潮だまり) で見られる生き物たちを入れて観察します。こうすると体のつくりや動きがよく分かるからですが、動きに関しては自然ではなく、その生き物たちにとってはパニックになっている動きを観察しているのかもしれません。こうしてアメフラシをみると、草の上で寝そべっているウシ (牛) にそっくりです。けっこう沢山おって石の下や、海藻の間をごそごそと動き回っています。そろっと抱きかかえるようにしてタライに移すのであれば炭は吐きませんが、強く押さえつけたら赤紫色の炭みたいなものを出しますよね! イカやタコが炭を吐くのと似ています。アメフラシの南淡路地方名は 「おちゃわかし」 でありますが、緑茶の色とは違うので、紅茶を沸かしているように見えなくもないです。だから、「お茶沸かし」 と言うのでしょうかね? 地方名といってもその生物の特徴とか生態をちゃんと観察してそう呼んでおるわけで、おおいに参考になります。ところで、日本は狭いようで広く、ごく一部にはこれを喰う地方があるようですけど、こんなもん喰えるんやろか? 観察するには意外に面白い生き物です。
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↓ ウニであります。ウニは沢山の種 (しゅと読む、たねではない) があって、外来種のウニも侵入しているし、素人には見分けるのが難しいのですが、ま、南淡路地方の磯で見られるのはほとんどが次の2種であります。磯の平べったい石を裏返したら、たくさんいますね! たくさんどころか、うじゃうじゃにいるという感じです。これは第一種漁業権の対象魚種ですから、採捕することはできませんが、観察するだけならば問題ありません。こんなものを漁獲の対象とし市場で売られ、食べる人がいて、それもかなりの高級食材とされるのは驚きであります。ハッキリ言って。究極のゲテモノ喰いでありましょう。むかし、料理屋で食事をしたときウニの料理が出てきましたが、磯の石の下でごそごそと動き回るウニの姿を思い出して、吾輩は気持ち悪くてよう食べませんでしたわ!
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先月に新種命名された珍しい海産巻貝が登場!

なんと、いままで有効な学名がなかったことが判明したそうです。で、つい先月に日本産新種の巻貝として学名が付与されました。 驚愕の新種! その名は「サザエ」 〜 250 年にわたる壮大な伝言ゲーム 〜  もうすまでもなく、学名は 「属名+種小名+命名者」 のセットで表すのですが、なんと種小名に日本語の通称 sazae が用いられていますね! 標準和名がそのまま学名となっていますね! これは覚えやすいです。べつに専門家でなく一般の者でも、自然観察をするには学名を避けることはマズイわけで、必然的にラテン語の勉強もせざるをえません。でも、学名なんちゅうのはそもそも欧米人にはそれほど苦ではないようです。それもそのはずで、ラテン語すなわち古代ローマ帝国時代の言語は死語といえ英語をはじめヨーロッパ言語のルーツであり、われわれ日本人にとっての万葉集や土佐日記などで書かれている古語みたいなものです。この日本人には非常にとっつきにくい学名も、種小名に和名をそのまま取り入れてくれたらありがたいわけです。なお、これも第一種漁業権の対象魚種であります。漁業権を持たない者は採捕できません。観察したら速やかにリリースすること。

新しく付与された学名 Turbo sazae ですが、適当に英語読みでターボ・サザエと読んでいいのかな? どういう意味なのか? 『研究社 羅和辞典』 を引いてみました。turbo とは動詞としては混乱している、騒がす、かき乱すなどの意味。名詞としては渦巻・転回、旋風・暴風、コマ、混乱・騒動などの意味。なるほど、ようするに旋風のようにグルグルと回転している形状の貝の一種であって、Japonia (ヤポニア、日本のこと) じゃサザエと言っておる貝のことじゃ、という意味ですね。サザエの学名の覚え方は簡単です。サザエは壺焼きにして賞味するものだから、「つぼさざえ」 と語呂合わせで覚えます。

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古代には食用海藻であったらしい。
ミル


大江戸の町じゃ、高級天婦羅のネタとして値段が高い!
ギンポ


この崖の上に棲む鳥は何か?

鳥類のフンで崖が白くなっています。海岸でよく見かける光景です。内陸部でも樹上生の鳥類が木々の葉や枝を白くしているのも見かけます。崖が白いのですが双眼鏡で観察しても鳥はいません。冬場に渡ってくるウミウでしょうか? 淡路島南部の海岸では留鳥としてのウミウは見かけません。淡路島南部では冬場にはヒメウも見られますが、個体数は少ないです。あるいは、田んぼに居るアオサギは海岸にもおって海の小魚を餌としています。この崖の上に小さな棚状の所におる住人は誰でしょうかね?
断崖絶壁の上で営巣する鳥は何?
断崖絶壁の上で営巣する鳥は何?


海岸地形の観察

この間、海食洞や蜂巣状風化を観察しましたから今日は海食崖の観察です。見事な海食崖であります。崖の高さは20m~30mありそうです。崖の基部に台風など荒天時に大波が打ち寄せ、どんどんと崩されています。この海食崖の場所の地層を地質図で見ましたところ、後期中新世~鮮新世 (約700万年前~170万年前) に堆積してできた地層で、つまり新しいものです。時間的に年季が入っていないので続成作用が十分でなく、まだ岩石になっていません。礫まじりの土や砂をギューっと固めたような感じで、ちょっと棒でつつくとボロボロと崩れてしまいます。岩石と土砂の中間という感じの地層であります。で、大波で簡単に崩れてしまいます。どんどんと海進して淡路島が狭くなっているように錯覚しそうですが、浸食された土砂はこの海食崖の前の海底に、または水流で流されて別のところに堆積しているハズです。そこは将来に陸地になる可能性があるし、淡路島南部はそもそも隆起してできた山地であります。べつに淡路島がどんどんと狭くなっているわけじゃありません。
海食崖
海食崖

海食崖に続く斜面に、小規模ではありますが ガリ浸食 が見られます。崖面に狭く深く流水で刻下した溝もあちこちに見られます。乾燥地帯で多く見られるとされますが、これは乾燥が原因ではなく、乾燥地は植生がなく地肌がむき出しのところが多いからであります。ガリが見られるというのは地質が固い岩石じゃない証拠で、この地形が発展したら阿波の土柱ですわね。淡路の土柱が出来るのはいつでしょうか? 数百年、数千年というオーダーで意外に早いのかも?? というのは、1万数千年まえの氷期の最盛期には紀伊水道 (鳴門海峡) は陸地で、今の鳴門海峡のところには大きな川があったと思われます。つまり、ここの海食崖もガリもどう考えても後氷期の短期間に形成されたハズなので。

余談ですが、アホウな温暖化利権者どもにかかったら、ガリも温暖化のせいだなんて、とんでもないことを言うヤカラがおります。困ったものです。ガリなんて地層が柔らかくて、植生がない所では普通にできるものであって、温暖化など関係ありません。ちなみにトランプ大統領は、選挙の折には 「二酸化炭素地球温暖化は嘘っぱちだ! アメリカはパリ協定から脱退する!」 と立派な公約を口にしていました。なんと、まともな政治家が出てきたものだと思いましたが、主張が後退してしまい残念です。最近は、温暖化の国際的な取り組みのパリ協定ではアメリカは経済的に損だから脱退する、という主張の変質です。まことに残念です。物事の本質論から目先の損得勘定に変わっているわけです。エコ、エコ、エコの鳥のさえずり大合唱のなかでも異論を唱える人々はおるわけで、たとえば、この海食崖の上にある風力発電関連の反対運動の弱さも、まさにトランプ大統領に似ています。風力発電は本当にエネルギー利益率 (energy profit ratio) で評価して本当に存在意義があるのか? という本質論で反対する人はほとんどなく、低周波音だのバードストライクだの本質から外れた反対運動であることが運動の弱さになっています。低周波音やバードストライクが問題ではないと言っているのではありません。物事は本質に鋭く切り込まないとダメだという意味であります。

ガリ浸食
ガリ浸食

崖に狭く深く溝状の洗堀あとがあります。地層が軟弱なので大雨のたびに水の流れで刻下されているのでありましょう。溝の幅は1mあるかなしかです。入っていけません。奥は洞窟みたいに深いです。いわゆる リル浸食 であります。
狭く深く浸食刻下する


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