雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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淡路島からは絶滅したベニヤマシャクヤクを、剣山地へ見に行った!
本日は2017年6月11日 (日曜日) であります。

淡路島では絶滅したベニバナヤマシャクヤク

「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」 という言葉は、容姿端麗で美しい女性の立ち居振る舞いを、美しい花でたとえているわけです。シャクナゲファンとしてはつい 「立てばシャクナゲ」 と言い間違えそうで、シャクナゲがないのは不満でありますが、三大麗花の筆頭がシャクヤクということでありましょう。野生のシャクヤクとしては、やや標高の高いブナ帯に白花のヤマシャクヤクがあり、やや標高の低いところの明るい林に赤花のベニバナヤマシャクヤクがあるのですが、淡路島にも昔、柏原山 (569m) にベニバナヤマシャクヤクが自生していました。細かいことを申せば、淡路にあったのは葉の裏に毛が無いケナシベニバナヤマシャクヤクです。ところが、淡路島からは赤花のベニバナヤマシャクヤクはとっくの昔に絶滅しています。絶滅した理由は林道開設や植林もありますが観賞盗掘圧が強かったということであります。淡路の山から絶滅はしましたが、淡路島の植物調査に大きな足跡を残した南光さんが昔 種子を採取し鉢で栽培していました。栽培下では淡路島系統のベニバナヤマシャクヤクが今でも生き残っていると思います。で、厳密な表現をすると、淡路島にあったベニバナヤマシャクヤクは 「野生絶滅」 ということになりましょう。「完全絶滅」 とは少し意味が違います。吾輩が南光さんに最後に会ったのは3年前だったか、(有名な方なので)亡くなったというニュースを聞いていないので、ご存命ならば90歳を越えると思います。栽培していた淡路系統ベニバナヤマシャクヤクがその後どうなったのか? よく知りません。 ベニバナヤマシャクヤクは、兵庫県レッドデータではAランクで、淡路からは絶滅した。

なお、白花のヤマシャクヤクは標高の高いブナ帯 (冷温帯) の植物でありり、これは全島暖温帯の淡路島にはもともと分布していません。


山野草愛好家のマナーは劣悪で、自生地情報は秘匿とせざるをえない!

さて、そのベニバナヤマシャクヤクですが、わが淡路島の山をいくら徘徊しても、もはや見ることができません。で、昨日の6月10日に、徳島県の山に花見に行ってまいりました、ちょうど見ごろでありました。開花株がおそらく数百本のオーダーではないかという大きな群落です。地元の人 (林業など山仕事の方) はたぶん知っているでしょうけど、一般には全く知られていない自生地で、3時間ほど滞在していろいろと調べましたが、花見客が来た形跡がほとんどありませんでした。いちおう剣山地の一画 (徳島県美馬市) ですが、本種はタチの悪い山野草愛好家どもの盗掘圧が強烈な花であります。で、残念ながら、詳しい場所は非公開です。詳細な場所を明かしたら盗掘に拍車をかけてしまいます。とにかく、山野草愛好家のマナーの悪さはどうしようもありません。それと恐いのは山野草販売業者です。彼らはトラック一杯に盗掘しますね。山採り苗は原価がタダということなんでしょう。金儲けのためには殺人以外は何でもしますね。 余談を申せば、原子力村よりもマシでしょうかね? 原子力村は権力を背景にしているから事実上の殺人から、国家のお金の簒奪から、偽装・隠ぺい何でもありの本当に恐ろしい業界です!

その自生地では、開花株は数百ありそうな見事な大群落!

唖然とするような、息をのむような見事な大群落です。親株の足元には多数の実生が見られ、全体の個体数は開花株でも数百、未開花株まで含めると2000本とか3000本とか10の3乗のオーダーになりそうです。ベニバナヤマシャクヤクは環境省カテゴリーで絶滅危惧Ⅱ類(VU)、、徳島県レッドデータでは絶滅危惧Ⅰ類ですが、環境省の推定では日本列島に残っている個体数は22000本と推定しています。その推定が当たっているならば、そのうちの何パーセントかはここにあるということになりそうです。
ベニバナヤマシャクヤク
ベニバナヤマシャクヤク

ベニバナヤマシャクヤクの大きな集団の他にも、周辺のスギ植林や二次林の林床には10本とか20本程度の小集団がたくさん見られます。自生地全体では標高760m~920mの範囲にベニバナヤマシャクヤクが自生しています。若干耐陰性はあるようですが、スギ林内では間伐や枝打ちが出来ていなくて鬱蒼として光環境が悪いところでは見られなかった。スギ林以外の二次林では、ギャップなど明るいところで見られます。
ベニバナヤマシャクヤク
ベニバナヤマシャクヤク

蕾は濃色で、開花すると僅かに色が薄くなっているような気がするが? なかなか肉眼で見た通りの実際の色を写真で再現するのは難しいです。ここは、プロ・セミプロ級の写真家を連れてきて写真の撮り方の指導を仰ぎたいところ‥。しかしそれには案内の条件をつけて 「絶対に自生地情報を口外しません」 と念書を書いてもらう必要があるかも? 情報が洩れたら山野草愛好家どもの餌食になります。どうしても欲しいのならば、秋に種子を少しだけいただいて蒔けばいいのですが、山野草愛好家どもはせっかちです。種子をまいても発芽には2年程度かかり更に生育・開花には数年、そんなに気長に待てないよということで彼らはスコップで根こそぎ盗掘しますわね! なお、種子は大量に生産されますが自然状態では大部分はムダになります。生き残るのはごくごく僅かです。なので、秋に種子を少しいただくのは自生地の破壊には全くなりません。
ベニヤマシャクヤク

葉と花の観察をしましょう。 (ネット上の疑似観察です)

草丈は個体差が大きく、大きなものでは吾輩の胸近いものも (1mぐらい) ありました。おおむね60センチか70センチ程度でしょうか。大きさにあまりあーだ、こーだと言っても意味がないと思います。そんなの育つ環境でかなり変わります。で、例えば開花株100本を計測して統計をとって平均値はいくら最大・最小値はなんぼ、標準偏差はいかほどとか数字で示すと説得力がありますが、ここへ来たのが午後2時になっています。時間がおそいので詳しく調べる余裕はありません。なお、もしかしたらここの集団は葉の裏に毛がないケナシベニバナヤマシャクヤクかも? (毛無し紅花山芍薬) という気もするんですが、調べるためのルーペを忘れてきました。なお、標本は採っていません。吾輩は植物を覚えるための有力な手段として最初にその植物を見たときに1回標本を採るだけです。
葉の観察
花の観察


ベニバナヤマシャクヤクのお花見
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白花のヤマシャクヤクとの違い

ベニバナヤマシャクヤクの特徴は、やや草丈が高くひょろりとしている傾向があります。花が薄紅色で、開花期が遅いです。徳島県の山では6月上旬~6月中旬ぐらいです。めしべの先が外側にくるりと巻く、分布域の標高はやや低いところにある、などです。
ベニヤマシャクヤクはややひょろりとしている

そのベニバナヤマシャクヤクの上のほうに、標高950mぐらいに白花のヤマシャクヤクがありました。草姿はやや横に広がる傾向でがっちりしています。稀に赤っぽい個体もあるらしいですが、基本的に花は白です。開花期が1か月は早く、徳島県の山では4月下旬~5月上旬くらいです。めしべの先端は巻かないです。分布域の標高が高くたいていは標高1000m以上のところで見られます。ヤマシャクヤクのほうが多く見られる、などです。下の写真3枚は白花のヤマシャクヤクですが、開花期がとっくに過ぎて、果実 (蒴果) が出来ています。
ヤマシャクヤク
ヤマシャクヤク
ヤマシャクヤク

↓ こちらは2016年5月3日に赤帽子山 (標高1620m) の南斜面の標高1200mぐらいで撮った写真であります。
ヤマシャクヤクの花



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