雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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残念ながら、剣山で6月の霜は見られず、伯耆大山も見えず! (その3)
6月5日に剣山下山ルートで観察した植物たち

シコクハタザオ
なんとなく外来種の野草みたいにみえますが、歴とした在来種です。花をみればアブラナ科だとじきにわかります。山頂付近で点々とあり、ちょうど開花期に当たりました。べつに絶滅危惧植物でもあありませんが、ちょうど花の見ごろだったので写真をとりました。
シコクハタザオ
シコクハタザオ
シコクハタザオ

ミヤマハタザオ
こちらも、同じくアブラナ科の近縁種、ミヤマハタザオですが草姿は華奢なというか、弱弱しい感じがします。
ミヤマハタザオ

コヨウラクツツジ
 コヨウラクツツジ というのは漢字で書くと 「小瓔珞躑躅」 ということでありますが、「瓔珞、ようらく」 ちゅうもんは何やろか? Wikipedia 瓔珞 を閲覧したら、よう分かりませんけど仏教における装飾具であるらしい。ようするに、仏具の飾りのヨウラクちゅうもんに、吊り鐘みたいな花が似ているということでありましょう。小がつくから小型の花のものであるということなんでしょう。接写すればなかなか美しいツツジ科の花です。
コヨウラクツツジ
コヨウラクツツジ

コメツツジ
コメツツジ はまだ咲いていません。徳島県版レッドデータでは準絶滅危惧種です。今年は色々な花が遅れているから、見ごろは7月初めぐらいでしょうか? コメツツジと言えば、「三嶺・天狗塚のミヤマクマザサ及びコメツツジ群落」 が国指定の天然記念物であります。三嶺のコメツツジは見事なもので、これを見ずしてコメツツジをあーだ、こーだと言ってはいけないわけです。大昔に吾輩もいちおう見てはいますが、加齢と体重のせいで永いこと三嶺なんて登ってないなあ。三嶺のコメツツジは簡単には見せてくれないわけです。標高差千mの尾根直登ができる達者な人しか見ることができません。で、ここのコメツツジを観察してお茶を濁すしかありません。刀掛け松コースの標高1900m地点の岩場です。
コメツツジ
コメツツジ

イシダテクサタチバナ
徳島・高知県境の石立山 (標高1707m) で発見されたからそう言う和名になったようです。石立山と剣山と矢筈山に知られています。環境省カテゴリーで絶滅危惧Ⅱ類、徳島県レッドデータでも絶滅危惧Ⅱ類ですが、ここには沢山ありますね。シカ (鹿) が喰わんテンニンソウの群落の中にイシダテクサタチバナが点々と混じっています。これもシカの不嗜好植物のようです。全国版絶滅危惧種といえ沢山あるから、秋に種子を少しいただくのはよろしい。いま開花が始まりました。花の見ごろは6月中頃ぐらいでしょうか?
イシダテクサタチバナ
イシダテクサタチバナ
イシダテクサタチバナ

ツルギミツバツツジ
これは刀掛け松 (標高1810m) のところにある ツルギミツバツツジ(徳島県立博物館 小川誠氏の解説) です。徳島県版レッドデータでは準絶滅危惧種。今年の花はなにか変です。花が咲いていて満開ではありますが、花冠が茶色く変色しています。蕾もまだありますが、蕾の先端も茶色く変色しています。どうしたんだろうか? と不思議に思っていたところ、80歳ぐらいとおぼしき物凄く達者な男性が登ってきて解説くださいました。吉野川の向こう (脇町あたりか?) に在住で、毎週剣山に登っているとのこと。カブできたが見ノ越まで1時間半かかったそうです。自衛隊が工事した剣山登山車道が無いころの昭和35年から登っていて、50年以上このツルギミツバツツジを観察しているそうです。で曰く、「ツツジちゅうもんはね、開花前にしばらく天気がつづいて土壌が乾燥したら花がこうなるんやわ。ツツジは根が浅いけん乾燥には弱いんやな。乾燥が原因やけん尾根筋で花の痛みが激しいんや。谷筋じゃ水分があるけん花は痛まんわ」 ということであります。
ツルギミツバツツジ
ツルギミツバツツジ
ツルギミツバツツジ

ほんまかいな? と思いましたが、尾根ではなく谷筋に近いところのツルギミツバツツジを観察したら、たしかに花が綺麗です。花がほとんど痛んでいません。やはり、50年を超える観察を積み重ねた目はたしかです。
ツルギミツバツツジ

カラマツの見事な扁形樹
カラマツ は落葉性の針葉樹で、自然分布は中部山岳から東北地方南部ではなかったか? 剣山にあるものは植栽であり、植栽起源の逸出です。相当な古木もあり植えられたのは50年とか100年前では? カラマツは強風の影響を受けやすい樹種とされ、卓越風の風上側に枝が伸びることができません。卓越風の風下側ばっかりに枝が伸びます。で、幹を中心にして左右非対称な樹形になってしまいます。その幹もまっすぐに伸びられなくて幹の先端近くは風下側に傾いています。この樹形の扁形程度で風の強さがわかります。扁形程度がその場所の卓越風の強さの指標となっています。

以前に、これをヒマラヤシーダー (ヒマラヤスギ) だと主張する他の登山者とここで出くわし、口論寸前になりました。自然を愛する登山者がカラマツとヒマラヤスギの識別ができないことにビックリしましたが、ヒマラヤスギは常緑針葉樹で秋に黄葉などしません。カラマツは秋に見事に黄葉して非常に美しいものです。文献で調べたら、剣山の北斜面は原生林のようであっても昔かなり伐採されているようです。鬱蒼と茂っていますが、生育する樹種が非常に多く、二次林的な要素が残存しています。二次林の最終段階じゃなかろうか? で、むかし森林伐採後にカラマツの植林が試みられた名残だと見ます。結局、あまりにも風が強くてカラマツの造林・育林は失敗したということでは?

カラマツの見事な扁形樹
カラマツの見事な扁形樹

マイヅルソウ
マイヅルソウ 葉が鶴が舞うみたいに見えるからそう言うらしいのですが、葉をじぃーっと見ていたらそう見えなくもないです。ブナ帯上部から亜高山帯の植物のようですが、登山道の笹薮の陰にけっこうあります。山頂付近のものはまだ葉が小さく開花は大分先のようですが、標高差で300m降りてきたら葉が大きく花が咲いています。標高差300mでの季節のずれは意外に大きいです。
マイヅルソウ
マイヅルソウ
マイヅルソウ

ミズナラ
ミズナラ は漢字で書けば水楢で、材に水分が多いからそう言うらしい。これは言わずとしれた第一級の食用キノコのマイタケの発生する樹木であります! キノコファンならば絶対に覚えなければいけない樹木です。しかしながら、コナラとミズナラの見分けは意外に難しいものです。葉も樹皮もよく似ています。幸いに両種は見事に高度指標になっています。コナラは標高1000mまでで、ミズナラは1000mよりも上に見られます。標高千mを境にして見事に棲み分けています。ただ、両種の混在ゾーンがあるからそれを避けて、標高の低い里山ではコナラ、見ノ越ではミズナラと見なして全く誤りはありません。そうして観察すればいいのではないか? ミズナラも幹周3m以上の巨樹になると樹皮が別物みたいになります。パッとみたらクスノキみたいに見えます。クスノキの樹皮みたいに見えるミズナラの巨樹にマイタケが出ますわ。
ミズナラ

林床を観察すると、けっこうミズナラの実生苗があります。
ミズナラの実生苗

キンロバイ (植栽品)
これは見ノ越の劔神社の参道階段の最上部にあったものです。明らかに植栽です。ここには、黄花の キンロバイ と白花のギンロバイ (ハクロバイ) が植えられていますが、黄花のほうが花期が少し早いのでしょうか。白花はまだ見当たりません。問題は、剣山に自生 (現在では絶滅?) していたものは白花のギンロバイ (ハクロバイ) のほうです。そもそも黄花のキンロバイは四国には自然分布していないハズで、剣山にないものを植栽するのは登山者に錯誤させてしまうからマズイんじゃないのかな? 登山リフト山上駅の西島駅にニッコウキスゲが植えられていますが、これもマズイです。そもそも四国はニッコウキスゲの分布域じゃないよね。植えるのであればユウスゲですね。
ギンロバイ(植栽)
ギンロバイ(植栽)



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