雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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石のお花見をもう一度 (その3)
沼島の鞘型褶曲は、観光漁船で海上からは観察できない

などと申せば、沼島の兼業観光業でメシを喰っている人々に叱られそうです。しかしながら、その通りでありまして、吾輩も何年前だったか4年か5年前だったかと思うけれども、漁師さんの観光漁船で沼島周遊奇岩見物クルーズでいったことがあります。普段漁師さんらは漁業をしているわけですが、観光客からのリクエストに応じて漁船で沼島を一周してくれます。1人でも可能ですが、何人か誘って団体で申し込めば割安となります。で、沼島で開催されたある会合が引けてから、その会合参加者同士が誘いあって10人ほど観光漁船に乗船したのですが、一周40分か50分ぐらいだったかと思います。有名な立神岩とか、そそり立つ断崖絶壁は迫力満点で見ごたえがありましたけど、問題は鞘形褶曲のある黒崎です。海岸から少し沖に船を停めて、浪打際の岩を漁師さんが 「あの岩じゃよ!」 と指さします。操舵室の外にかけてあるスピーカーから録音してある解説の声が聞こえますが、波の音や風切音で何を言っているのかよく聞こえません。結局、これでは観察はおろか見物にもなりません。海岸に黒っぽい岩が見えるだけです。船で来て鞘形褶曲を観察しようとするならば、沼島一周クルーズではなく、黒崎のみでお願いして、浜に上陸する必要があります。しかしながら、付近は岩礁地帯であって、水面下に隠れた岩も多く座礁するかも? 上陸する波止場などなく、浜の方に向けた船首から飛び降りて上陸するほかなく、多少は濡れるでしょう。上陸に失敗すればずぶ濡れかも? 帰る際は逆に船首に飛び上がって乗り込むわけだから難易度が高くなりますよね! ということで、海上からは無理ですわ。諭鶴羽山で久しぶりに会ったお姉さまのMさんも 「全然見れれへんかったわ!」 と言うのはそういうことでしょう。つまり、鞘形褶曲を間近で見物・観察するには陸上コースで行くべきだということであります。


4月28日に、潮位表で潮位を確認してから再度やってまいりました。

1回目の下見は23日にO君と来ましたが、今日は単独行であります。2回めの下見というのは、つまり前回は潮が引いていなくて鞘形褶曲が見れなかったためです。本日 (4月28日) は昼間の磯としてはほぼ年間で最も潮位が下がる日であります。下図は紀伊水道の徳島県側の小松島の潮位表です。沼島は数分遅れると思いますがほとんど同じです。13時21分に-8センチまで潮位が下がります。このタイミングを狙って黒崎にやってまいりました。で、バッチリです! 前回の23日には、10時08分に干潮58センチ → 16時01分満潮137センチです。中間の13時に98センチぐらいだったか? その前後の時間帯に来ておりましたが潮位が高すぎて観察できませんでした。つまり、沼島黒崎の鞘形褶曲を見に来るには、潮位表での干潮潮位の確認が絶対に必要だということです。潮位の数字がマイナスになるぐらいの日のその時間帯を狙わなきゃダメだということです。人間の側の都合ではなく、潮位に人間側の都合を合わせなきゃあかんわけです。


↓ これは 気象庁の潮位表 から借用しました。海上保安庁の潮汐表 を閲覧してもいいと思いますが、どちらも国家機関であることは同じでも組織が違えば目的が違うので、観測方法や表示・表現の仕方が微妙に異なるようです。少し注意がいりそうです。
2017年4月の小松島潮位表


10時40分に沼島港に到着


色違いのタツナミソウがあり、30分の時間ロス。

沼島港を10時43分に出発して、人家のあるところを通過して山の中腹を巻く周遊道路に進入したあたりに、タツナミソウの群落があります。タツナミソウはありふれた雑草でとくに言及するほどのものではないのですが、その群落が2つのグループに画然とわかれているのが目にとまりました。写真では分かりにくいかもしれませんが、一線を画して青い色が勝った集団とやや桃色味の入った集団とが接しています。桃色っぽいものは葉の色も薄いです。ここでルーペを出して、葉形・毛の様子・花の構造などに違いがあるのか? 30分子細にしらべました。同じところに隣接して生育しているから、環境による違いではなさそうです。もしかしたら変種ぐらいのレベルの別のものか? という可能性もあります。
花の色違いのタツナミソウ
↓ 青色の強い個体群の花。
紫色の花
↓ 花に桃色味が入っていて葉色も薄い個体群。
明らかに桃色っぽい
実際はもっと桃色
ルーペで目を凝らして観察しましたが、花や葉の色が違うだけです。他に相違点は何もありません。単なる色変わりであるだけでしょう。仮に無理に別物に仕立てたとしてもせいぜい品種の違いでしょうね。ということで30分の時間ロス。こんなの無視して通り過ぎても良かったんですが、一応、泡沫会員といえ兵庫県の植物を徹底調査する会の会員である以上、おや? と思うものは子細に観察します。


沼島北端の黒崎に11時40分にやってきた

本日 (4月28日) の沼島における干潮は、たぶん13時25分か30分頃と思われます。小松島よりも数分遅れです。まだ1時間40分か50分ありますが、すでに磯は引いています。鞘形褶曲の観察はできます。早速に鞘形褶曲を観察し、干潮のピークには観察を終えて帰途につくぐらいがいいでしょう。白い矢印の岩が鞘形褶曲のあるところです。
沼島北端の黒崎
矢印のところが鞘状褶曲
↓のところが鞘状褶曲
潮位が一番下がったとき
鞘形褶曲の見られる面が海側を向く


これを観光資源というには無理があるのでは?

1億年近くまえに、地の底のプレート沈み込みのところにあった付加体の岩盤が、マントルのほうへ沈み込んでいく海洋プレートの物凄い剪断力で固い岩石もぐにゃりと変形したもので、ひとかたまりの岩盤も柔らかいところ固い所など一様ではなく変形にムラがあって鞘状にねじ曲げられたのでありましょうけど、地底の剪断応力場で何が起こったんか? 固い岩石・岩盤も地質年代的時間スケールのなかでは、空気や水と同じように流体のふるまいををするわけで、地底でどういう岩盤の流動があったのか? それは今でも地底で進行しているハズですが、非常に難しいハナシです。  「地球のシワ」 などと意味不明の言葉で説明できるもんじゃありません。シワというものは、物体を覆う表皮が、物体が収縮することによって表皮が剥離しダブついて浮き上がり、物体に密着することができなくなって形成されるもんではないでしょうか? あるいは、物体が収縮しなくても、表皮が異常生長してもシワはできそう! 地底のプレート沈み込みのところで起こった現象と全く違う筈です。よね? 「地球のシワ」 なんて意味不明の言葉で誤魔化さざるをえないものを、観光資源とするには無理がありそうです。それに、見ていると色々と連想がわいて気持ち悪くなってきますし。
日本地質百選、兵庫県天然記念物の鞘形褶曲
日本地質百選、兵庫県天然記念物の鞘形褶曲
日本地質百選、兵庫県天然記念物の鞘形褶曲

出版から年月が経って少し内容が古くなってしまいましたが、地学の教科書 (概説書レベル) から引用します。『新版地学教育講座4 岩石と地下資源、1995』 の128ー130頁。鞘形褶曲がなんであるのか説明されていますが、チンプンカンプンなんだかよく分かりません! なお、さや褶曲に下線を引きました。

ずれ応力場の開析と変成帯の流動
変成帯の褶曲は、ずれ応力下の変形の結果である。帯状に分布する三波川変成帯では、地質図上に示される主要な褶曲軸が大局的には帯状ののびにほぼ平行している。このため、褶曲軸に直交する方向から構造が観察され、四国では南北方向の変位が強調されてきた。しかし、フォーレ(M.Faure,1983)は、四国東部三波川帯でシース褶曲さや褶曲)や斑状変晶の回転を記載し、東への横ずれ変形をともなう流動を強調した。さや褶曲とは、刀のさやのような形をした褶曲で、1978年にフランスで発見された。強いずれ(剪断)応力場で形成される褶曲である。(口絵および図3-26参照)ウォリス(S.Wallis,1991)はさや褶曲のさらにくわしい検討から、四国中央部三波川帯は上部が西側へ流動する変形が卓越していたことを明らかにした。そして、南北性の変位は東西性の変位に付随するものとした。これは三波川帯の流動機構に関する考え方の大きな転換であった。さらに鳥海光弘(1991)は回転をともなう三波川帯の流動を提案している。三波川帯の変形と上昇については、大槻憲四郎(1992)が準3次元「潤滑油」モデルで力学計算をおこなっている。大槻の結論は、三波川帯の付加プリズムの出口がいちじるしくせまく、プレートの沈み込みが海溝軸に対して反時計回りに20°斜交した場合に反流が生じて、変成帯の上昇が実現されるというものである。モデルは条件がかなり限定され、反流の方向だけが説明できているものである。フィールドの減少をさらにくわしく説明するためには、モデルの精度がさらに向上することが期待される。

三郡変成帯や神居古潭帯の泥質片岩も、さや褶曲の変形を部分的に残し、さらに変形が進んだものであることが明らかになっている。また、日高変成帯には南への流動を示すさや褶曲のほか、変成帯の上盤が南にのし上げることによいって形成されるデュプレックス(二重の)構造がみられる。(志村俊昭,1992)また、西に接する幌尻オフィオライト中にも、これと調和的な右横ずれ構造がみられる(宮下純夫ほか,1994)。

大規模なさや褶曲は単純剪断(ずれ)変形成分が卓越したものであるから、前項で述べた変形岩中の石英C軸のファブリックス(fabrics)は、さや褶曲の位置によって異なる。マラビール(Malaveille,1989)の研究によれば、石英C軸の集中域の変化から、「さや」の先端にいくほど単純剪断(ずれ)変形部分が強いことが理解できる。



われわれ庶民はこっちのほうがいいよね!

↓ ワカメです。鳴門ワカメではなく、沼島ワカメでしょうか? 写真左下の茶色っぽい太い毛みたいなものはヒジキです。ほかに食べられる海藻ではフノリ (フクロフノリ) が岩にたくさん付着しています。ここは外洋に面していて荒磯なのでモズクはみあたりません。(対岸の灘大川の磯にはモズクがあります)
鳴門ワカメではなく沼島ワカメ?

↓ さすが、紀伊水道の宝島です。おおきいですね。ビックリの長径18センチ! たぶん重量は1キロ近いんじゃない? ここのものはみな17~18センチもあります。淡路本島じゃ14~15センチまでが大部分です。これは夏場でも食べられますが、ただし、第一種漁業権侵害で怒られる可能性がありますので、獲りたい方は自己責任で。吾輩は獲ってはいけません、としか言えません。磯ガネとかバールなど鉄器の道具を持っていたらマズいです。で、道具はそこらへんにたくさん転がっています。鉄器時代の現代に (まだ鉄器時代が続いています) にわか石器時代人になって打製石器 (石斧) を作りましょう。意外に簡単に作れますわ。わが瀬戸内地区では石斧の材料はサヌカイト でありますが、そんな上等な石は急には手に入りません。で、そこらの結晶片岩で作ります。難点は結晶片岩でこしらえた石斧は強度が低いようです。
さすが沼島、大きいね! 長径18センチもある!


紀伊水道の宝島、沼島のロケーションは素晴らしい!

夢のように美しい磯です。やはり、ここは磯釣り師垂涎の宝島ですね!
夢のように美しい磯
磯釣り師垂涎の宝島だ!
↓ でも、もし、釣りの最中に南海地震がきたらどうするんでしょうか? いま、わが南海道地方は南海地震の警戒体制を構築しつつありますね。離れ岩なので渡し船が迎えにくるまで待つんでしょうか? 渡し舟の船頭さんも自分の命が大事だから、渡し舟を捨てて高台に避難するかも? もし、南海地震の震源が紀伊水道のすぐ沖だったら10分か20分で津波がきそうです。船頭さんがわが身をすてて離れ岩の釣り客を拾って回ったとしても、間に合わないかも? ていうよりも、離れ岩が小さいです。手前の岩とは別の三角形の小さな岩です。震度6弱ぐらいでこの釣り師は海中に振り落とされるんじゃない? 海岸にいるだけだったら、揺れたらとにかく斜面の茂みをヤブ漕ぎしてでも高みに昇れば助かりますが、離れる岩ではどうしたらいいんでしょうかね?
釣の最中に南海地震がきたら、どう逃げる??

さて、帰ります。沼島発14時40分の船にのりました。黒崎を14時10分に出発、時間があまりないので駆け足! 2つの小山を越えて上がったり下がったりの、かなりキツイ2キロほどですが、2時28分に船着き場に到着。重いリュック (これは熱中症防止のため沢山の水を持参なんで、ほんまに) を背負って所要時間は18分、まだ12分もあります。余裕しゃくしゃく。毎日積み重ねている10キロ駆け足の効果がハッキリとでてまいりました。ところで、やっぱり、お見送りの太鼓も踊りもありません。
お見送りの太鼓もダンスもありません


淡路本島に帰還して、浜のお花畑を観察

ハマダイコン (白い花のほう) とハマエンドウ (赤紫の花) のお花畑です。海岸にもしばしば高山帯みたいな見事なお花畑ができます。共通する環境要素があるからでしょうか? 強光、強風、乾燥、土壌がない、など。ハマエンドウはよく見ると美しい花です。
ハマエンドウとハマダイコンのお花畑
美しい花だ
帰りの道路脇に遅いタラノメがありました。美味そうですが、これは2番芽あるいは3番芽かも? 採ってはいけません。
これは採ってはいけません




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