雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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第一級の食用菌? タマゴタケ(卵茸)の観察
淡路島南部の照葉樹林でタマゴタケが大発生!

●淡路島南部の南あわじ市の山中で、いま タマゴタケ が大発生しています。タマゴタケは非常に美しいキノコであります。まるで絵本の挿絵に出てくるようなメルヘンチックな姿のキノコです。日本列島では信州以北のシラカバ分布域に発生するベニテングタケと、西南日本の照葉樹林にも発生するこのタマゴタケ、この2種が日本の美しいキノコの双璧です。 9月29日の午後1時過ぎに、同級生のO君 (おお君) から緊急連絡をいただいた。 「タマゴテケが出たあぁァ! はよ見に来いよ」 ということで、1時間後の2時過ぎに現場に到着。観察するのであるが、先ず腹ごしらえです。O君の軽トラ荷台にブルーシートを敷いて買ってきた握り寿司を食べました。O君、情報提供ありがとう!

付近の環境】 
・付近は50年前までは炭焼が行われていました。シイを主体とする自然林に近い二次林ですが、炭焼き時代が去って50年、伐採跡の “ひこばえ” は50年程度経っています。50年前に山が丸坊主だったわけでもないし、50年前に樹齢30~50年の樹はあったハズだから、周囲の林分の樹齢は50~100年であろうかと推定できます。幹周3mを越える巨樹も点々とあるようで、深い暖帯照葉樹林であります。 

・地質的には中央構造線のすぐ北側で、愛媛県松山 ~ 徳島・香川県境の阿讃山地 ~ 淡路島の諭鶴羽山地 ~ 大坂・和歌山県境の和泉山地の東西300キロ続く 和泉層群 で、中生代白亜紀後期に和泉内海で堆積した海成層です。砂岩と泥岩の互層となっていますが、ところによっては礫岩もあります。また、地表下2m~3mには固結していない凝灰岩層が数センチ見られる露頭もあります。縄文時代に大噴火した喜界カルデラの火山灰が淡路まで飛来したものと思われます。土壌はそういう母岩が風化した森林褐色土で、現場ではやや黄褐色で粘土質な細粒の土壌であります。現場は兵庫県では最も温暖な地なので、表面の腐植は少ないです。(分解が早いから) 場所によっては中央構造線の断層群で形成されたと思われる青色の断層粘土 (母岩は三波川変成帯から流れてきた緑色片岩か?) も見られます。一帯は兵庫県有数の地滑り地帯であります。


生長が非常に早い!
↓ 29日15時にはまだ幼菌であります。一番右の物は、白いタマゴが割れて、中から赤身 (?) が出た直後です。
29日15時にはまだ幼菌

19時間30分後になると
↓ 30日10時過ぎには傘が完全に平開しています。すっかり成菌となっております。生長はすこぶる早く、地上に出てきて傘が平開するのに1~2日のようであります。傘が平開したのち何日もつのか不明ですが、せいぜい数日の寿命ではないか? (ただしキノコの本体は地中の菌糸でこれは寿命が長いハズです。なぜならば毎年同じ所にタマゴタケが出てくるから)
30日10時には傘が平開する


タマゴタケは第一級の食用菌か?
●まず、はじめにタマゴタケは第一級の食用菌であります。
培養困難な食用きのこ、「タマゴタケ」 の人工栽培化を目指して マッタケ栽培研究といえば小川真先生が有名ですが、タマゴタケ栽培研究は遠藤直樹先生? 冒頭部分を引用させていただきます。なんと、食用価値が高いキノコとして、タマゴタケがマッタケやトリュフと並べられています! 

「食用価値の高い野生きのこであるマツタケ、トリュフ、ポルチーニ、タマゴタケは外生菌根菌に属し、樹木と共生関係にあることが知られています。外生菌根菌は、多糖類 (セルロースなど) を分解する能力を持たないため、増殖するためには生きた樹木からの炭素源の供給が不可欠です。そのため、原木や菌床を用いた従来の方法では栽培することができません。したがって、菌根性きのこ類の栽培化を実現するためには、宿主植物の根に菌根菌を感染させた苗木を作出し、それを維持する技術の開発が必要です。」

キノコ研究の専門家がタマゴタケはマッタケに並ぶ高級キノコだと太鼓判をおしていますから、近縁の毒茸と見間違わないようにしっかりと観察しましょう! 秋の自然観察会は緊急にタマゴタケ狩りかな?? でもまあ、誰も気持ち悪がって喰えへんのちゃうか?



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タマゴタケの観察
観察日は2016年9月29日、および30日。観察場所は兵庫県南あわじ市の山中。観察者はO君(おおくん)・山のキノコの2名。観察などとエラそうなことを言うのであれば、検鏡による胞子や菌糸の観察、試薬による呈色反応、胞子紋を採る、まで行かなければならないが肩が凝る話です。更にDNA解析まで視野にいれたら理想的ですが素人には手が届かない世界です。で、現場における単なる肉眼観察にすぎません。 なお、現場には18本のタマゴタケの子実体 (いわゆる繁殖器官のキノコのこと) が認められました。直径3mほどのほぼ円形の円周上に数本づつ、4、6、2、4、2本づつ配列して発生していて、フェアリーリング (妖精の輪) を形成している模様です。現場にはシイノキ (スダジイ) が3本あり、これらと外生菌根を形成して相利共生関係にあるものと、たぶん、思われます。

タマゴタケのつぼ
タマゴタケの若い傘
タマゴタケの柄
タマゴタケの平開した傘
タマゴタケの傘の縁の条腺
タマゴタケの傘の裡面

↓ 右側のシイノキの根元にタマゴタケが発生しました。現場は標高190~200mぐらいです。
右側のシイノキの根元にタマゴタケが発生した

↓ 遠くに徳島県南部の阿南市あたりが見えています。43キロ先の紀伊水道入り口の蒲生田岬がすぐそこに見えています。島のいいところは、周囲が海なのでさえぎる障害物がなく、50キロ~100キロ先まで楽々と見通しが利いて眺望がいいことです。
遠くに徳島県南部の阿南市あたりが見える

↓ 付近にウスヒラタケ (薄平茸) が出ていました。晩秋~初冬に出るような肉厚のボリューム感たっぷりのヒラタケとことなり、夏場に出るものは傘が薄く軟弱でちょっとたよりない感じです。しかし味噌汁に入れれば非常に美味いキノコです。
付近にはウスヒラタケも出ていた

↓ マタタビ科のシマサルナシの実がなっています。淡路地方名は “コクモンジ” ですが全く意味不明。中国語の 「びこっとう」 → 「こっこー・山口県祝島」 → 「こくもんじ」 と変化したのかも? これは吾輩の 「中国語語源説」 ですが、やや無理があるかも? シマサルナシは個体ごとに実の味がかなり違います。写真のものは山中で発見された非常に甘い良い味の株です。穂木を採取し栽培を試みるも失敗! この系統を保存したいのですがプロの園芸家の協力を仰ぐ必要がありそう。
シマサルナシの実がなっている





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