雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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剣山にマイタケはあった。 (その1)
本日は2016年9月28日 (水曜日) であります。

●9月の前半は商売が忙しく、後半になると梅雨のような天気が続いてしばらく山にいっておりませんでしたが、気象庁の週間予報では今日だけ晴れあとは雨天が続くという予報で、今日を外したら行く日がなくなるということで昨日の27日に徳島県の剣山(標高1955m)に登ってまいりました。時期的に秋のキノコ狩りシーズンとなっておりますので、登る道すがら、かつ下山の道すがらキノコ観察を行いました。本日の自然観察は植物ではなくキノコでありますが、マイタケが出ていました。なんと、マイタケが発生するミズナラの木を3本もみつけたので写真を陳列します。なお、剣山一帯は保護林となっていて植物やキノコの採集は法律で禁止されています。よって、見て観察するだけです。残念ながら採ることはできませんので、発生場所をほぼ特定できる形で公開することができるわけです。

ふつう、キノコハンターの世界では、どこの山のどのあたりでそのキノコを見つけたのか、その発生場所など仲間にはもちろん親兄弟にさえも言わないものなのです。プロキノコハンターは単独行で隠密行動が原則で、キノコ発生地情報の門外流出・拡散を嫌います。採集者がふえて商売ができなくなるからです。その点、吾輩はキノコハンターではなく、ただの素人自然観察者ですので口が軽いわけです。


本日 (9月27日) 剣山はガスって何も見えません。
↓ 4時55分。つるぎ町一宇漆野瀬の電光標識のところまで来ました。朝2時20分に淡路島南部の南あわじ市にある雑想庵を出発して2時間35分もかかっています。これは徳島自動車道を来たら夜間工事中で土成インターで強制的に一般道に排除されて、調子が狂ったためであります。 それにしても17.3度とか気温が高いスね。これじゃ8月のお盆ころの気温です。写真にチェーン着脱場という標識があるように、南国四国といえども山間高標高のこのあたりは冬には雪が積もるは真冬日 (終日氷点下) など当たり前です。 ところで、平地でも山でもいまだに真夏の気温です。富士山の初冠雪のたよりもまだありません。ところが、なぜか最近はマスゴミや温暖化利権者どもが騒がなくなりましたね。以前じゃ少しでも気温が高いと 「温暖化で大変なことになる!」 って大騒ぎしていたのに‥。
つるぎ町一宇漆野瀬の電光標識

↓ 5時33分、夜明けです。登山車道の最高所、つるぎ町と三好市の境界を通過すると剣山が見えてきました。剣山は独立峰じゃありません。重畳する山々のなかでの最高峰というだけで、前衛の山並みが幾重にも取り囲んでいます。で、麓の平野部から剣山を遠望できるところは意外に少ないです。たとえば県都の徳島市からでは市西部の鮎喰川沿いの一部や、眉山の山頂からしか剣山はみえません。むしろ淡路島南部のように遠く離れたところからのほうが剣山の全貌がよく見えます。
夜が明けてしまった

↓  秋雨の中休みの今日しかないと来ましたが、富士山に架かる笠雲みたいなイヤな雲がかかっています。太郎笈 (たろうぎゅう・剣山の古名?) にも次郎笈にも笠雲がかかっています。暖湿気が這いあがっている証拠で、こりゃあ嫌な予感がします。遠路はるばる来た山頂山小屋の宿泊者 (四国島内や近県からの登山者はほとんど日帰り) は、たぶんご来光が拝めず宿泊料を損した気分ではないか?
太郎次郎に笠雲がかかる

↓ 5時41分、見ノ越到着であります。駐車場の奥の方にすこし車が停まっています。平日なので登拝者はあまり多くありません。吾輩は駐車場の入り口の一番目につくところにポンコツ車を置きます。山じゃ、とくに単独行や老人の場合は、とにかく目立つ行動がよろしいかと。つまり遭難した場合の対策です。他の登山者や山岳業者の人の目に、「あの人また来とるわ」 と印象を残しておくことです。 06時05分に登山開始。
5時41分、見ノ越到着

↓ 8時16分、標高1900m地点です。ナナカマドが色づきはじめました。ナナカマドといえば登山者でその名を知らぬひとがないほど有名な植物です。秋の紅葉が美しいことでも有名です。しかし瀬戸内地方では平地にはなく、四国東アルプスではおおむね標高1000m以上の山にあります。ときには600~700mぐらいでも見られます。
ナナカマドの紅葉が始まった

↓ 山頂直下の岩場にあるコメツツジ群落も色づきはじめました。何べんも言うのですが、淡路島の人が言っているコメツツジは 「シロバナノウンゼンツツジ」 です。コメツツジはブナ帯上部~亜高山帯の植物です。西日本では紀伊半島の大峰、四国剣山・四国石鎚、九州祖母傾など1500m以上の高所にあります。淡路島は最高標高608mでコメツツジの分布標高域から外れていますよ。
コメツツジも色づき始めた

↓ 08時30分、山頂の剣山頂上ヒュッテに到着。2時間半もかかったのは登るみちすがらキノコ観察をしていたからです。建物の外壁に掛けてある温度計は17度を表示しています。なぜか封入してあるアルコールの赤色が薄くなっています。そろそろ新しい温度計に替える必要がありそうです。それにしても、真夏のままの気温です。たいてい10月下旬、遅くても11月上旬、早ければ10月中頃に初雪が来るのに、いまだに気温高すぎです。 頂上ヒュッテに入って朝食を喰って一命を取り留めた。ワカメうどん600円とホットココア300円。早朝の06時から営業しているから、ご来光を拝みにきて宿泊登山者に混じって朝定食を食べることもできます。
気温は17度を表示

↓ 09時02分、剣山山頂部の様子です。完全にガスっていて何も見えません。他の登山者と話をすると、今日は遠方からのお客様が多いようです。岩手から見えた方は息子が岡山にいて会いにくるついでに回ってきたとのこと。横浜からのお客様はなんて言っていたっけ? 最近、聞いた話を覚えていられないわ。静岡からのお客様は車で四国一周旅行だとか、今日は剣山下山後は足摺岬に向かい、あしたは日本百名山の石鎚山に登るとか。広島からのお客様は高速道路を6時間も突っ走ったとか、登山道がよく整備できていていいネ! と言っていました。単独行の外国人の方も見えて、韋駄天のごとくビックリの早さで走って登っていて、これは話しかけても吾輩の発音不良で通じません。みなさん遠路はるばる来たのに眺望なしで気の毒でありますが、 「雨が降っていないだけマシよ!」 との返事。なるほど、最悪でなけりゃあラッキーということのようです。
山頂はガスっています
眺望はありません

↓ 山頂部の隆起準平原のミヤマクマザサです。剣山の山頂はなだらかな平坦地ですが、周氷河地形だという説もありますが、私は隆起準平原説を支持します。なぜならば、四国山地東部は中心に一番標高が高い剣山があり、同心円状に外周にいくほど標高が低くなる山々が取り囲んでいるからです。中心が高く周辺ほど低いという東西の圧縮応力で隆起した曲隆山地の性質をよく表わしています。周氷河地形であれば一定の高度以上の山頂部はみななだらかになる筈ですが、次郎笈や矢筈山など平坦じゃない山も多いです。平坦じゃない山は浸食がすすんで準平原が残っていないと考えると説明がつきますよネ!
山頂のミヤマクマザサ

↓ 剣山のササですが、標高1600m以上はミヤマクマザサで、見ノ越周辺など標高の低いところはスズタケです。標高で画然と棲み分けているようです。ミヤマクマザサの葉は冬期には葉の縁が白い隈どりができるのですが、そういえば何時から白い隈ができるのか、何べん来ても何も観察していないようです。で、白い隈がいつ頃から出来るのかと疑問を持ってみると、ぼちぼちと隈ができかかっています。では、冬期に葉の周囲が白くなった隈どり葉は春になったら全部落ちるのか? 落ちる葉もあるでしょうが残って青く戻る (回青する) のでしょうかね? ???長年しょっちゅう来ているのに全く何も観察できていません‥。一般論として、ヒトは目は節穴で、目の前の物を何も見ず、何も観察していないということです。騙すのは簡単です。国民はとことん自民党にだまされるようです。今では自民党は多国籍企業やアメリカ帝国のエージェントです。庶民の味方じゃありません。自分たちに牙をむけているのです。肉屋を支持するブタみたいになるのは悲しいことですが、ヒトの目は節穴だからしかたがないのかもしれません。
葉の縁に白い隈どりが出来はじめた


さて、剣山のマイタケ写真を公開します。
↓ 06時42分、登山道からすこし樹林の中に入って早速にマイタケを見つけました。たぶん標高1560mあたりだと思われます。06時05分に見ノ越を出発して登り始めたから1時間と経っていません。自分で言うのはなんですが、この速攻性は、素人ですが長年植物観察とキノコ観察を積み上げたことが背景にあります。初心者ならばこうはいかないと思います。で、以前マイタケがみつからないというコメントを頂戴したこともあるので、僭越ながらマイタケ探しのコツを伝授したいと思います。
剣山の天然マイタケ、2016.9.27
剣山の天然マイタケ、2016.9.27
このマイタケはかなり小振りです。おそらくこの発生木では裏年だと思われます。マイタケは必ずしも毎年出るわけではなく、隔年で出たり、数年に一度だったり、毎年出る場合であっても大きな物が出た翌年は小さい物がでるなど裏表・大小の差があります。ただし、どういうふうに出るかはケースバイケースで一概には言えません。
剣山の天然マイタケ、2016.9.27

●マイタケが発生する樹種は特定の樹種だけに見られます。淡路島や四国東部の山地では、おおむねその山の標高でマイタケが出る樹種は決定されます。マイタケ探しの要諦はまずマイタケが出る樹種を捜すことです。マイタケが出ない樹をいくら捜しまわってもマイタケは見つかりません。つまり、キノコ探しの出発点は木の名前を覚えることであります。ようするにキノコ観察と植物観察は表裏一体なのです。

平地や里山(暖温帯下部)‥‥シイノキ・サクラ
少し山のほう(暖温帯上部・中間温帯ともいう)‥‥アカガシやシラカシなどの樫類
深山(冷温帯・ブナ帯ともいう)‥‥ミズナラ

●マイタケの分布は非常に広く、知られていないだけで西日本太平洋側にも自生するし、平地から深山まで分布の幅が広いです。ここで注意を要するのは、冷温帯の標徴種のブナそのものには絶対にマイタケが出ないということです。ブナに出るのは品質の落ちるトンビマイタケ (土用マイタケとか、ブナマイタケともいう) です。東北地方の人らが 「ブナマイタケ」 などと言っているのを書物やネットで知って、ブナにマイタケが出るなどと騙されないことです。冷温帯のブナ林にマイタケを探しにいったら、その林分が極相(クライマックス)に達しているか、二次林の最終段階なのか、よく観察します。極相林ならばダメです。どちらかというと陽樹であるミズナラが消えているからです。つまり、かつて100年前か200年前に伐採されて、そのご年月が経って鬱蒼と茂っているけれども、まだ昔の陽樹が大木になってブナ林の中に残っている、というところを狙います。

剣山は標高が高いからブナ林が広がっていますが、ブナ林の中に残存するミズナラを見てまわります。捜すのはとにかく大木です。環境省の巨樹・巨木林調査基準でいう地上1.3mの幹周が3m以上の大木を捜すんですが、もう少し細くても出る場合があります。幹周2m以上はみな見てまわります。ただし、全く健康な樹はマイタケが出ません。菌に感染していないからです。樹にとってマイタケ菌はやがて樹を枯らす害菌です。であるから、そのミズナラの大木が一部分どこか傷んでいるというのを重点的に捜します。東北地方の人に言わせれば、マイタケは山の南東斜面に出るといいますが、こちらではそんなことはありません。淡路島や四国東部では山の南側にも北側にも出ます。実際、写真のものは剣山の北側斜面ですわ。もちろん、剣山の南斜面側のスーパー林道周辺にも出ますわ。


幹周が6mクラスのミズナラ巨樹
この樹の根にでていたのですが、登山用の杖を物差しにすると幹の径は約2m、幹周は6mクラスの巨樹です。低い位置からの大枝が欠損して傷んでいます。 台風の暴風で枝が折れるとそこからマイタケ菌が侵入するものと思われますが、種々の文献によるとマイタケ菌はじつは弱い菌で、健康な樹にはマイタケ菌は感染しないようです。
大きな枝を延ばすが、樹は傷んでいる。

ミズナラとはどのような樹木なのか?
ミズナラ の葉です。コナラとどう違うのか? ですが微妙で初心者ならば見分けられないかも分かりません。(リンクの波田先生の解説をよく参照) ですが、分布域が全く違います。四国東部では標高1000mあたりを境にして、低い所はコナラ、高い所はミズナラと完璧に棲み分けています。両種を見分けられなかったら標高で見当をつけたらいいでしょう。なお、ミズナラは水楢の意味で材に水分が多いから言うのだそうです。
ミズナラの葉

↓ ミズナラのどんぐりです。
ミズナラのどんぐり

↓ ミズナラは幹径30~40センチ程度までの若い樹は、コナラと樹皮が似ています。けれども大木になると樹皮が一変して、まるでクスノキそっくりに見えます。で、このクスノキ似の樹皮をよく覚えておきます。大木の葉は遥か20~30mの頭上にあるので葉の観察が困難だからです。できれば樹皮をひと目見て (幹をみて) 何の木か分かるようになりたいものです。
ミズナラの樹皮はクスノキに似る

↓ マイタケ発生地から丸笹山の頂が見えていました。
マイタケ発生地から丸笹山が見える

↓ 06時58分、マイタケが見つかったのを祝って、虹が出てきました。
虹が出た



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