雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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4月30日 徳島県・剣山 山行記録 (その2) 霜と霜柱のお花見? 
晩冬の寒気が近畿地方まで南下
今回の剣山は大変寒く、晩冬に逆戻りしたかのようで、標高1600mより上では登山道の土の部分には顕著な霜柱が立ち、ミヤマクマザサの葉の上まで霜が降りていました。すでに雪はないにしても冬の風物詩が見られたわけで、これは北からの寒気が近畿地方まで楔のように南下したためです。

↓ 2016年4月29日09時 500hPa高層図から抜粋し、-30度線を着色した。原図は気象庁作成。地表の気温や湿度によっては地表で雪になる可能性の高い-30度線が、29日~30日に北国をなめるように通過しました。
2016年4月29日09時 500hPa高層図

↓ 2016年4月29日09時 850hPa高層図から抜粋し、零度の等温線を強調。原図は気象庁作成。高い山で降水があれば雪になる目安の零度線が近畿地方まで南下しています。また、この零度線は高い山で雲がかかると霧氷が見られる目安にもなりますね。
2016年4月29日09時 850hPa高層図

4月30日午前5時19分、頂上ヒュッテ (標高1930m地点) の外壁にかけてある温度計では氷点下1度です。剣山測候所が残した観測データによると、5月の最低気温記録は-7度です。南国四国といえども2000m近い亜高山です。5月連休ころでも冷える日には普通に氷点下となります。ときには雪も降るし霧氷の花も咲くわけです。
頂上ヒュッテの外壁温度計は-1度


2016.4.30 南海道阿波国 剣山にて、霜と霜柱のお花見?
霧氷ならば、“樹に、霧氷の花が咲いた” などという表現がなされるので、霧氷のお花見というのはおかしくありません。ならば霜や霜柱はお花見の対象となり得るか? ですがなりますね。氷の結晶の変幻さや、造詣の妙 (たえ) は立派にお花見の対象です。専門知識を持つ氷雪研究者ならばルーペや顕微鏡で “観察” というところ、われわれ庶民は “お花見” というわけであります。

霜の写真ギャラリー
↓ ノアザミ変種トゲアザミの越冬株ロゼットが霜で真っ白です。温度が高い (0度に近い) 状態での霜なので、結晶が粒状であまり綺麗ではありません。
トゲアザミの越冬株が霜で真っ白
↓ その拡大
トゲアザミの越冬株が霜で真っ白 拡大

↓ ミヤマクマザサの葉の上にも霜
ミヤマクマザサの上にも霜
↓ その拡大
ミヤマクマザサの上にも霜 拡大

↓ 草 (種名不明) の上にも霜
草(種名不明)の上にも霜

↓ 剣山頂上ヒュッテ本館の前のテラスにも霜が降りています。寒そうな感じ。
剣山頂上ヒュッテ本館の前のテラスにも霜

霜柱の写真ギャラリー
↓ 登山道は霜で白くなっています。踏みしめるとザクザクと音が鳴り、絨毯の上を歩くような感覚がします。
登山道は霜柱で真っ白
↓ 霜柱の長さは5~6センチですが、霜柱は生長につれて次第に湾曲していくようです。また霜柱は髪の毛のような細い線状の氷柱の集合体のように見えます。つまり繊維状にみえます。このような構造は、霜柱が形成されるときの気温の高低や、土壌水分の多寡などで変わるのでしょうかね?
剣山の霜柱
剣山の霜柱
剣山の霜
剣山の霜
剣山の霜
剣山の霜
剣山の霜

朝日が少し昇ってきましたが、太陽高度が低い位置からの斜めの陽光にてらされた山ひだが鮮明によくわかります。
朝の旧東祖谷山村の山々


剣山山頂は西日本屈指の寒冷地、“構造土” があるとされる
●剣山は西日本一の寒冷地であります。気象官署とアメダスとの観測統計においては、今は廃止されましたが旧剣山測候所で 西日本での最低気温記録-23.5度 を保持する地点です。 (ただし、むかしの区内観測所では、広島県・八幡で-28度というとんでもない観測記録がありますが) この剣山の寒冷気候のため、剣山では氷河地形そのものではないのですが、周氷河地形の一種である構造土が見られます。そういう調査記録があります。

Wikipedia の説明によると、「構造土 (こうぞうど) とは、自然現象が原因で表面に円形・多角形・網状・階段状・縞模様などの幾何学模様が現れている土壌のことである。周氷河地形 の一種である。主に夏季に地下の凍土の表面の氷が融解し、地表の土壌を運搬することで形成される。日本では北海道大雪山の山頂付近の緩斜面で見られるソリフラクションが構造土の一種である。」 ということです。 国土地理院の定義では、「模様地面ともいう。主に凍結作用によって形成される多少とも対称形あるいは幾何学的な形をした地表面の模様や微地形の総称。平面形態によって多角形土、亀甲土、円形土、網状土、条線土、階状土等に分類され、構成する物質によって礫質、土質に分類される。周氷河地域で形成される。」 ということです。

なお、中部山岳の森林限界より上では、周氷河地形が現在進行形で形成されています。しかし、標高の低い剣山ではかつての氷期に周氷河地形が形成されたが、現在は形成が停止している “いわば周氷河地形の化石” であります。

●かつての氷期には平均気温が現在よりも6度~9度も下がり(資料により氷期の気温低下見積もりは異なる)、剣山は氷河こそ形成されませんでしたけど、森林限界が1000-1500mも下がることによって、剣山の山頂一帯は森林限界の上に突き出し、岩石累々、地肌むきだしの裸地であったと考えられます。で、当時形成された構造土が化石のように残り、剣山は周氷河地形が見られる所として良く知られています。いろいろな文献に記述がありますわ。で、山頂の裸地を目をこらして観察しましたが、それらしいものは見いだせません。そもそも山頂は笹原となっていて地表の様子が観察しづらいし、かつて登山客が踏み荒らしているので消失したのでしょうかね?

国土地理院が行った 日本の典型地形に関する調査 で、構造土 のリストの末尾に剣山山頂が挙げられています。


周氷河地形の 「構造土」 があるとされるが‥
幾何学模様などはなさそうですが、登山客が踏み荒らしたのかもしれません。
周氷河地形の 「構造土」 があるとされるが‥




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