雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
201708<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201710
5月5日にシャクナゲのお花見をします。宜しければ是非どうぞ!
今年も、淡路島の自生シャクナゲのお花見会をします。
風薫る新緑の好季節となりました。ワラビやウドやタラノ芽などの山菜は終ってしまいましたが、里山では今ちょうど色々なツツジ属の花が咲き誇っています。そのツツジ属の花でいちばん見ごたえのあるのは申すまでもなくシャクナゲです。で、今年もシャクナゲのお花見に行きましょう!

2016年のシャクナゲのお花見
集合場所は、旧三原町役場の駐車場に、午前9時まで


●なお、これは淡路島民向けの企画です。島の貴重なシャクナゲが島民の間でほとんど知られていないので、皆で見に行って、できれば系統保存するなど護ろうという狙いです。 兵庫県本土側、他府県の方も大歓迎ですが、シャクナゲは各地の山にありますから、なにも淡路島までわざわざ見に来るほどのものじゃないと思います。ただし、シャクナゲは産地ごとに形質にかなり違いがみられまして、シャクナゲの淡路系統を入手したいという方には来る価値があるかも? 接ぎ穂を2本か3本採取する程度ならば許容範囲か? それと、淡路島のシャクナゲはもともと低標高に自生するので、種子から苗を育てた場合は特に平地の環境によくなじみ、日射のきつい庭に植えてもかなり強健です。

庭植えの淡路シャクナゲ (実生9年生)
↑ わが雑想庵の庭に植えた淡路シャクナゲ(ホンシャクナゲ)ですが、種を蒔いて育てたもので実生9年生だったかと思いますが、詳細な栽培記録をとっていないので違うかもしれませんが、10年にはなっていないと思います。鉢植えで育てたのと、初期3年の生育が緩慢なのでなかなか大きくなりませんが、これからはドンドン育つでしょう。淡路シャクナゲは、(交配しての雑種強勢などなくても) 原種のままで平地の夏の暑さや乾燥によく耐えるという印象がします。で、園芸的な価値があるのではないか?


通常はシャクナゲは標高が高い所に自生するものだが‥
●通常は、シャクナゲは高山植物(キバナシャクナゲなどは全くそう)か、もしくは高山植物に近いようなもので、平地には自生しません。どのような種類のシャクナゲでも、環境的には標高が高くてつねに雲(霧)がかかるような所を好むわけで、近畿地方や四国・中国地方に分布するホンシャクナゲは比較的に標高が低いところにあるものの、それでも海抜1000m前後まで登らないと自生シャクナゲには出会えません。琵琶湖西岸にそびえる比良山地とか、滋賀・三重県境の鈴鹿山地とか、紀伊半島の大台ケ原山や、山上ヶ岳や稲村ヶ岳などシャクナゲお花見ポイントは関西にはたくさんあって、むかし、あっちをよじ登りこっちをよじ登りしましたが、たいていシャクナゲが出現する高度は1000m前後から上です。ただし、下限は700~800mっていう感じですわね。近畿の日本海側(京都北山とか兵庫但馬とか)にいくともう少し出現高度が下がるかな? と言う感じですね。ま、いずれにせよ人里近くの里山にはシャクナゲは自生しないわけです。 なお、関西では室生寺のシャクナゲが特に有名ですが、あれは植栽品です。自生品じゃありません。


ところが、ときには海岸近くにあったりもする
●ところが、シャクナゲは葉を観察すれば紛れもない照葉樹です。日本南部の照葉樹林帯のシイノキやツバキやカシ類みたいに、葉の表面がテカテカと光沢があってもちろん常緑種です。で、 “シャクナゲは本来は低地の照葉樹林帯の樹木であったのだけれども、標高の高い冷温帯(ブナ帯)や亜高山帯にまで分布をひろげたのである。ところが、本来の分布域であった照葉樹林帯のシャクナゲが何らかの要因で衰退してしまい、現在は標高の高い所にだけ残っているのである”  というふうな説もあるようです。なるほどそうかもしれません。西日本 (九州は除く、九州本土はツクシシャクナゲ) のホンシャクナゲは概ねブナ帯か暖温帯上部の深山にあるわけですが、点々と標高の低い所にもあります。一番良く知られるのは志摩半島の伊勢シャクナゲです。南伊勢町の人里近くの200mほどの里山の尾根にあります。むかし吾輩も見に行って志摩半島をあちこち歩き回ったのですが、海岸の標高10mに自生しているシャクナゲを見てビックリです。徳島県では、植物調査をしている人に聞いたら県南部に海抜50mにシャクナゲの自生があるそうです。ブナ帯や深山に自生するシャクナゲが何で海岸近くにあるんや? というのは不思議ですが、先の説では簡単に説明がついてしまいます。本来の照葉樹林帯のシャクナゲが遺存しているのだ、ということか? つまり、かつて氷期に寒冷地の植物が南下あるいは下山したのち、後氷期になって寒冷地植物が後退しても、暖地の北斜面の谷筋に氷期の植物が遺存することがありますが、その逆パターンみたいなものか?

淡路島のシャクナゲは比較的に標高が低い所にある
淡路島のシャクナゲは標高が300mとか400mあたりにありますが、最低では200mちょっとの所にもあります。ウバメガシなどカシ類の林床にあります。光環境が不良で生育はかんばしくありません。遷移の進行で山の樹が大きくなっています。林床が暗過ぎます。今後シャクナゲが消えて行く可能性があります。自生シャクナゲを見るのは今のうちかも? じゃあ、シャクナゲの生育を良くするために樹を伐ったらいいのでは? という考えもあるかもしれません。しかしながら遷移の進行は自然の摂理であり法則です。シャクナゲの生育を助けるために他の樹木を伐採するのは、それも自然破壊といえましょう。希少な植物を残すためにという大義名分は正当なものなのか? 淡路島南部のみならず、いま日本中の山でレッドデータの植物が衰退していますが、遷移の進行が大きな要因のひとつです。レッドデータ種を残すために森林破壊するのが自然保護といえるのか? レッドデータ種の生育する草原を維持するために、あえて草刈りをして遷移の進行を停めるのは本当に自然保護なのか? 研究者や自然保護団体の人々がやっている活動にも大きな疑問があります。私は自然の摂理に逆らうこと自体が自然破壊だと考えますが、ここに自然保護の難しい問題があります。
光環境の悪化から着花数は少なめ
写真背後の樹木の幹はウバメガシです。淡路島のシンボルツリー、これが森林をなしているのは淡路島が少雨地帯である証拠です。少雨地帯ですけれども、紀伊水道からの湿気が影響する島南部の山にシャクナゲが自生します。より乾燥する島北部にはありません。
淡路島の自生ホンシャクナゲ


スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.