雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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これは珍しい? 珍しくない? 
日常的に見慣れたものは珍しくない?
非日常的な見たこともないものは珍しい?


●東北地方太平洋沖大地震の1か月あまり後のことですが、北海道からの御一行10名様が、吾輩の住む村 (兵庫県南あわじ市神代地区) にやってきました。あることから吾輩が村の中を案内して回るということになったのですが、詳しく話を伺うと、ご先祖様が明治の頃にわが村から北海道へと開拓移住したらしい。ようするにルーツを訪ねてやってきたということでありますが、案内をして回っているさいに、御一行様の一人がやたらと木の名前を聞きます。

「これは何という木ですか?」 
「これはブナ科のシイノキ、これはバラ科のカナメモチです」
「こちらの木は?」
「これはモチノキ科のクロガネモチ」
「これは、もしかするとモミの木ですか?」
「そうです。ただし、淡路島にはモミの自然分布はないので、これは植栽品ですわ」
「やっぱりモミなんですね」
「北海道のトドマツの親戚ですよね。たしか、モミ属は、本州以南の低地じゃモミ、山に行くとウラジロモミ、高い山の太平洋側がシラビソ、日本海側ではオオシラビソ、北海道はトドマツと地方ごとに棲み分けている、でしたか?」

というふうな植物談義になったのですが、その方はおそらく自然観察 (植物観察) をしている方だったのでしょう。その方にとってはルーツを訪ねる旅などではなく、見知らぬ土地の見たこともない植物の観察旅行だったのではないか? 気候や植生の異なる南の方に来て、生えている木や草が珍しかったということでありましょう。つまり日常的に見慣れているものは珍しくなく、見たこともないもの、見る機会がめったにないものは珍しいということでありましょう。



このツツジは、珍しい? 珍しくない?
淡路島の島民である吾輩的には、非常に珍しいものに見えます。これが珍しく見えるか、珍しく見えないかで、その人がどこの住民なのかおおよその見当がつきます。キシツツジ というツツジですが、川岸の岩場が生息地です。写真は2016年4月12日、徳島県神山町の鮎喰川で撮りました。このあいだ剣山へよじ登った帰りに、徳島市への近道コースでこれを見にきました。剣山見ノ越 → 木屋平村 → 川井峠 → 神山町 → 徳島市がその近道コースです。
キシツツジ
キシツツジ
このキシツツジは、淡路島にあるモチツツジと近縁ですがひと目見て 「こりゃあ別物だわね」 とすぐに分かります。しかしながら良く似ています。似て非なるものです。違いは次の通りです。
キシツツジ‥‥‥雄しべは10本、花の基部は粘りが少ない、樹勢が小振り1mま
           で、葉は細身、葉や若枝に毛が多い、川岸岩場に生育。
モチツツジ‥‥‥雄しべは5本、花の基部はよく粘る、樹勢が大ぶり2mまで、葉は
           幅広、毛が少なく、丘陵や里山に生育。

キシツツジ
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生育環境は川岸の岩場
洪水になったら間違いなく水に浸かるような所にあります。
生育環境は川岸の岩場
生育環境は川路氏の岩場
徳島県神山町 鮎喰川の川岸 です。淡路島は兵庫陸運部の管轄なので車は神戸ナンバーです。神山町の地元の人がみたら、阪神間の都会のやつが来て、くだらないツツジの写真を一生懸命撮っているわ、というふうに見えるハズです。しかし街の人間が田舎の植物を珍しがっているのでは全くなく、キシツツジ分布エリア外から来たから珍しいのです。神山町の地元の人には見慣れた当たり前のツツジだと思いますが、他所者が珍しがっている本当の理由がたぶん分からないでしょう。 なお、三波川変成帯の結晶片岩などと写真の中に書き込みましたが、地質は関係ないです。キシツツジは中央構造線の北側の領家変成帯にも分布しています。結晶片岩類を観察するのに良い場所だという意味であります。

●むかし、ここに来て、この渕で一生懸命アユ釣りをしましたが、どちらかというともっと上流に行ってアマゴを狙いました。地元の人に聞いたら地元の人は鮎喰川であまり釣りみたいなことをしないらしい。もっぱら来るのはよその人 (市内の人など=徳島市内の意味) とのことです。なお、アユ・アマゴ・ウナギを釣るには神山町役場内の漁業組合に入漁料を納める必要があります。年券は5000円 であります。



モチツツジとキシツツジの分布域
↓ 徳島県立博物館の小川先生の 珍しくないのに珍しいツツジの話 から分布域図を借用しました。図から分かるように、淡路島にはキシツツジは自生していません。
モチツツジとキシツツジの分布域



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