雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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3月4日の徳島県剣山 山行記録 (その3)
●四国は日本地図をみると紛れもなく島です。大きな離島とも言われます。おおむね淡路島の約30倍です。淡路島の面積は約600平方キロであるのに対し、四国本島のそれは約18000平方キロです。島は大きくても、本土 (本州島) の住民が四国に来るのは心理的にやや来づらい面があるようです。今でこそ架橋でつながっていますが、昔のフェリーボートや連絡船で海を渡らなきゃならんイメージが強く残っているみたいです。

●で、かなりローカルな山である剣山は本土から登りにくるには相当な構えというか、強固な動機が要るようです。その動機になるのが 日本百名山 です。登山道で出会った他の登山者と話をすると、遠方から来た人はほとんど例外なく 「日本百名山を登っています」 と異口同音です。山頂に1時間ほどいたのですが、あとから登ってきた単独行の男性と話をすると、「茨城県から来たが、50山ほど登ったわ」 と言っていました。次は石鎚山へ行くとのこと。百名山を全て制覇するには、利尻島と屋久島へと海を渡らなきゃならんわけで、四国島へ渡るのはまだまし‥。遠くから剣山に来るのは、日本百名山巡礼とみてほぼ間違いないところです。

それから剣山の場合は、テレビドラマ化された 天涯の花 の影響も無視できません。夏に咲くキレンゲショウマの花をひと目みたいと、遠方からわんさかと来ます。手前味噌ですが こういう花 で、花期は7月下旬~8月上旬、あるいは8月中旬のころ。たしかに美しい花で一見の価値があります。その分布は、典型的なソハヤキ要素の花



2時間23分かかって山頂にたどり着いた
↓ 頂上ヒュッテ直前のところから、祖谷渓を見下ろしたところですが、これがなかなか雄大な谷で、大台ケ原山の東側の大杉谷みたいな雰囲気です。
祖谷渓を見下ろす

↓ 剣山頂上ヒュッテに着いたのは09時28分です。見ノ越から2時間23分かかった。たいていの登山者は1時間で登って来るようですので、やはり人よりも2倍以上かかります。
剣山頂上ヒュッテに着いたのは09時28分

↓ 昨年に頂上ヒュッテは改装していましたので、屋根の青が鮮やかです。
剣山頂上ヒュッテの青い屋根

↓ 頂上ヒュッテの横にあるのが剣山本宮ですが、深い冬眠に入っています。冬眠から覚めるのは登山リフトが動き出すころです。
剣山本宮神社

↓ この大きな宝蔵石は剣山本宮の御神体でありますが、巨石信仰の対象のいわゆる 磐座 (いわくら、岩倉とも書く) ですね。地質的には層状チャートですよね。チャートだということは太古には太平洋の海底にあったということなんでしょうが、そのころは太平洋じゃなくて テティス海 ですか?
宝蔵石は御神体であり岩倉であるが、地質的には層状チャートだ

↓ 頂上にある水たまりが氷結しています。水たまりが氷結しているということは、気温が上がって雪が溶けたという証拠ですわね。
頂上の水たまりは氷結

↓ 剣山の山頂一帯は、隆起準平原の名残があって、比較的になだらかです。三嶺の山頂もそんな感じです。
隆起準平原の名残で、山頂一帯はなだらか
隆起準平原の名残で、山頂一帯はなだらか

↓ 昨年7月に新築され華々しく報道されたのですが、 あわエコトイレは閉鎖されてしまいました。話が違うのでは? という気もしますが、冬期には緊急時には登山者の避難小屋になるって言っていませんでしたか?
あわエコトイレは閉鎖されているが、話が違うのでは?


殉職者を出して観測された貴重なデータ
↓ 剣山測候所の残骸です。かつて、ここで越冬して有人気象観測が行われていました。厳冬期には気温がマイナス20度前後まで下がり、風速も20ー30mと非常に過酷な環境です。で、剣山測候所職員が1人殉職しています。昭和40年3月16日に、一の森の北斜面で、通信線故障修理中に雪崩に巻き込まれています。そういう犠牲者を出しながら貴重な観測データが残されました。
剣山測候所の残骸

↓ 積雪の観測がおこなわれたのは22年間ですが、その間で最深積雪の最小値が30センチ、最大値が292センチです。10倍近い開きがあります。雪が多い年と少ない年とが極端にあることをデータは示しています。剣山測候所の観測データ 年ごとの値 から当該情報を取得して作成しました。
年ごとの最深積雪はバラツキが大きい

↓ 【関連データ】 これは西日本各地の年ごとの最深積雪ですが、少ない年と比べると雪が多い年はおおむね3倍~4倍程度です。結局、積雪といっても雨量と同じです。少雨で旱魃が発生するような年と比べると、多雨で洪水が起こるような年は、降水量は3倍くらいになります。結局、降水量の多寡が積雪の多い少ないということなのでしょう。
西日本各地の年ごとの最深積雪


剣山は、西方向の次郎笈~三嶺の眺めが一番のみどころ
↓ 剣山の山頂、一等三角点がある所です。海抜は1955m、西日本第2位の標高です。でも、まあ、「剣山国定公園、1955m」 と書かれた標識がみすぼらしくなっていますわね。早急にさらにする必要がありますが、さて誰がするのでしょうか? 環境省? 徳島県? 地元の観光協会? 剣山を愛する登山者たち?
山頂だ、標高1955m

↓ 次郎笈 (ジロウギュー、1930m) は秀麗な山容です。一度見たら記憶に残る独特な山容ですが、吾輩は奈良の若草山を連想します。あるいは琵琶湖の北にそびえる伊吹山に似ています。ヤギでも山地放牧できそうな、たおやかな感じが似ています。
次郎笈は秀麗な山容

↓ わずかに拡大
次郎笈は秀麗な山容

↓ 次郎笈の左肩に石立山 (1708m) がちらりと見えていますが、石立山は四国の山では登りにくい山の筆頭とされます。険しいということもあるし、登山口まで行くアプローチが非常に長いからです。むかし石立山で高山植物の ムシトリスミレ が発見されて話題になりました。
次郎笈の左肩に石立山がちらりと

↓ 次郎笈から三嶺への縦走路の尾根です。四国の岳人の間ではゴールデンルートなどと呼ばれ、非常に人気のある縦走路のようですが、遠くかすんでいる三嶺まで歩くなど人間業とは思えないわけです。目まいがしてきそう‥。
次郎笈から三嶺への縦走路

↓ すこし拡大
すこし拡大

↓ 馬の背中のような塔丸 (とうのまる、1713m)
馬の背中のような塔丸

↓ 矢筈山方面を眺める (北西方向)
矢筈山を眺める

↓ 南側の景色はあまり見映えが良いとは言えません。幾重にも山々が重畳していて室戸岬は見えません。
南側の景色は見映えが悪い

↓ 一の森の方向を見る (東方向)
一の森の方向を見る

↓ 3月4日10時正時でプラス3度、ポカポカと暖かい。暑いぐらいです。十二単ほどではないが、着ダルマの衣装を1枚脱ぎ、また1枚脱ぎます。タマネギの皮をむくみたいですわ。
3月4日10時正時でプラス3度

↓ 旧木屋平村を見下ろしましたが、この東側の眺望もあまり見映えがしません。
木屋平を見下ろす


下山路で日本列島最高の珍味! エゾハリタケを見つけた!
↓ 山頂にはちょうど1時間滞在して、10時30分に下山開始です。標高1500mあたりまで降りてきましたが、付近はかずら橋の材料になるサルナシが非常に多いです。写真で、茶色っぽい密に絡まったものがサルナシのかずらです。
かずら橋の材料のサルナシが多い

↓ 枯れたブナの大木の幹にエゾハリタケが出ているではないか! これは日本列島最高の珍味です。幻の食材です。東北地方のマタギが好むキノコですが、秋に採ったものを土に埋めて半腐れにしたものをよく掃除して利用します。あるいは茹でこぼしてから塩蔵して、塩出ししたのち味噌漬けします。手間がかかるから珍味なのです。春先まで樹上にあるものは採って直ぐに利用することが可能です。マタギは春先に雪上に落ちてきたものを 「ぬけおち」 と称して拾うらしい。問題は5mぐらいの高さにあることです。手が届きません。棒もないので採れません。残念。どうしようか? 足しげく剣山へ見に来て自然に落ちてくるのを拾うか? あるいは竹竿を持ってきて叩き落とすか。写真のものは今度来たときに吾輩が採るために予約済みです。予約のない方は採ることができません。→ 参考サイト 庄内の恵み屋
エゾハリタケ

↓ 少し拡大
エゾハリタケ

それにしても500グラムで4104円とは、法外な値段だと思うのですけれども、採集者が足を棒にして一日山を歩き回って探しても、なかなか見つからない代物です。で、採集者の日当に充当する分は戴かねばなりません。というふうに考えたら、とても高いようだけれども妥当なお値段なのかも? さしずめ写真のものは2~3キロぐらいはありそうで、時価2万円ぐらいだと思います。




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