雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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巨樹・巨木林のビッグデータを調べたら、見えてくるもの
徳島県で巨樹となる樹木にはどういうものがあるのか?
環境省の巨樹・巨木林データベース をフル活用して調べてみました。次のグラフにある通りですが、おおよそ50種ほどの樹種で巨樹が記録されています。なお、シイノキというのはスダジイ、ツブラジイ、シイノキと3つに分散収録されていたから一つにまとめました。なお、これら50種ほどは一部の例外 (ブナやヨグソミネバリやイタヤカエデなど) を除けば、徳島県の平野部や人里あるいは山間部の山里で見られる樹木ばかりです。ていうか、人里の寺社林などを中心にして調査された結果なのだから、それは当たり前といえば当たり前です。
徳島県の巨樹の出現頻度順



次に、それぞれの樹種が、最大限でどこまで巨大になるのか調べた。
その方法として、データベースをフル活用して、それぞれの樹種で全国ベスト10をしらべ、その10個のデータを平均した。平均したのは、トップ一つだけでは突出した数字である場合があるので、先頭集団の大まかな数値を示すためです。たとえば、クスノキでは最大限で幹周が20mぐらいにまでなる可能性があるということです。奥山のブナならば幹周7m台で打ち止めということで、それ以上にはならないわけです。
樹木はどこまで巨大になれるのか?
↑ 赤く着色したものは、高城山や雲早山のブナ原生林で見られる樹種。なお、モミは海抜1000mあまりまでで、標高が高くなるとウラジロモミにかわる。標高1000~1200mあたりは両種が混在する移行帯。


下表は、上記グラフの元になった詳細なデータ。
樹種ごとの巨樹全国ランキング上位10傑



簡単に考察すると
2枚目のグラフで赤く着色したのは、高城山や雲早山のブナ帯 (ブナ原生林) で見られる樹木です。これで一目瞭然です。奥山のブナ原生林に本当に大きな巨樹がないのは、そもそも巨大になる種類の樹 (クスノキやイチョウやスギ) がないためであります。

●なお、1枚目のグラフで1本だけ巨樹が出現した樹種で、ヨグソミネバリ、イタヤカエデ、コウヤマキ、ヒメコマツはブナ帯の植物です。これらも高城山のブナ原生林中で見られます。念のためにこれらの樹木の最大限の大きさも調べてみます。なお、標高が高くなるとモミはウラジロモミに変わるのでこれも調べます。ブナ帯で比較的大きな樹、サワグルミ、ヒメシャラもついでに。ほかにもミズナラ、ハリギリも。
四国のブナ帯で比較的に大きくなる樹木
これらのブナ原生林で比較的に大きくなる樹種を加えてグラフを作りなおすと、
ブナ林の樹種を加えてグラフを作りなおすと

ヨグソミネバリ(390cm)、イタヤカエデ(602cm)、コウヤマキ(600cm)、ヒメコマツ(425cm)、ウラジロモミ(452cm)、サワグルミ(563cm)、ヒメシャラ(340cm)、ミズナラ(884cm)、ハリギリ(630cm)、結局、度肝をぬかれるような巨大になる樹種は一つもありません。平地にある巨大になる樹種よりも小さめのものが多いです。

①、ミズナラが比較的に大きいですが、これは陽樹でブナ帯の二次林を形成する樹種でして、鬱蒼と茂るブナ原生林にはあまりありません。

②、トチノキも最大限で幹周10mまで生長するといってもクスノキの半分ですし、トチノキはブナ原生林というよりもやや標高が低いところの渓畔林を形成する樹木です。

③、それから問題はカツラですが、これはイチョウ並みに大きくなりますが徳島県の山では少ないし、株立ちになる性質が強すぎて幹周の割には大きくは見えません。沖縄県のガジュマルほどではありませんが、カツラの樹もかなり特殊な樹形であまり大きく見えないんですわ。それにトチノキと同じように水分を好む樹木で、渓畔林の構成樹種でもあります。 日本一の権現山の大カツラ (幹周20m) もやはり株立ちで、主幹はすぐ上で細くなる。


以上の3点から、高城山や雲早山などの奥山の鬱蒼としげるブナ原生林では、ブナが事実上一番大きな樹なのですけれども、しかし日本全国の巨樹データをみても最大限で幹周7mどまりで、クスノキのように巨大になることはないのです。



ブナは、そもそも巨大になる樹木ではない
↓ 森の駅 (?) ファガスの森 高城 の周辺のブナ原生林。海抜約1300mです。鬱蒼と茂ってはいますが、巨樹はせいぜい幹周3~4mまでです。徳島平野の幹周10mみたいな化け物巨樹は全く見たことがありません。

なお、余計なことではありましょうが、ファガス森 高城のキャッチコピーに、「剣山スーパー林道ぞい。ブナやシイ、ナラが青々と茂る森の中だ。」 というのはどう考えてもヘンです。ファガス森の敷地内に4等三角点1301mがあります。この標高ではシイなどある筈がなく、暖温帯下部の表徴種のシイは海抜600mあたりで消えますわ。ナラをコナラではなくミズナラと解するならばこれでいいのですが、シイは何とかならないものだろうか? シイの替わりに何がいいだろうか? 2字なので、「トチ」 とか 「ツガ」 とか 「モミ=ウラジロモミの省略形」 あたりか?
ファガスの森の周辺のブナ原生林
↓ 徳島のヘソのところのブナ原生林です。海抜約1500m。ブナ原生林を観察すると、鬱蒼と茂ってはいますが幹周2mから2m半が大半であろうかと思われます。度肝を抜かれるような巨木がないのは、ひとつの理由として、海抜が高いだけに気温が低く、植物がどんどん生長するための積算温度が不足しているためではないか? 自然が豊かなハズの北海道に主幹が10m超の巨樹がないのと同じ理由か? (北海道で最大の巨樹は主幹が910cmのミズナラとカツラのようです。)
徳島のヘソの近く




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