雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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ハリギリは、ブナ帯では比較的に巨樹になる樹種
●今日、昨年4月15日付けの拙記事 タラの芽よりも美味いハリギリのてんぷら にコメントを頂戴しました。

うちの庭のはりぎりは、アクがつよくて、とてもたべられません。

と仰るわけですが、たしかに、ハリギリは山菜としては評価は大きく分かれますね。こんな苦くてエグいものは喰えれへんわ! ということで、地方によってはイヌダラと呼ぶところもあるようです。このイヌという接頭辞は 「役に立たないもの」 「価値のないもの」 の意味です。本家のタラの芽よりも価値が低いからイヌダラと蔑視するわけです。苦くてエグいのだからイヌダラと軽んじるのも当然でしょう。ところが、山菜ファンでタラの芽をはじめ色々な山菜を食べていると、アクの強さが山菜の魅力でもあるということが次第に分かってきます。アクがあってこその山菜です。苦くてエグくてアクがたっぷりでなければいけないわけで、アクがない山菜はワサビのない刺身みたいなものなのです。そういうことなので、ハリギリは食通好み、山菜上級者の食べるものです。山菜初心者はとっつきにくいでしょう。広い世の中にはタラの芽よりもハリギリの芽を珍重する人々がたしかにいますね。

●「うちの庭のハリギリはアクが強い」 ということなので、庭にあるのだから比較的に若木か? と想像するのですが、一般的にいって山菜は若木ほどトゲが多くアクが強く旨味に欠ける傾向は認められます。果物でもそうです。ミカンでもブドウでもなんでも若木の果物は水くさく糖度が低い傾向です。山菜でも果物でも古木になるほどにコクのある旨いものが採れますね。ハリギリ一般がとても食べられないということではなく、うちの庭のものにかぎってアクが強すぎて食べられない、とも読めます。もしそうだとしたならば若木であるせいかもしれません。いすれにせよ、ハリギリはアクが強いものなのですが、普通は天麩羅にするのが定番料理です。何故か? と申すと衣をつけて高温で揚げるのはアクを軽減するための工夫なのです。

●さて、それにしてもお庭にハリギリがあるとは驚きです。おそらく北海道か長野県あたりの方ではないですか? まず西日本じゃないと思います。ハリギリは材木としての価値もあるみたいで別名センノキと称され、国内でのハリギリ木材の産地は北海道です。北海道がほとんどを占めていると思います。ハリギリの木自体は淡路島にも西日本にも分布していて、国内分布は北海道から九州まで本土全域ですが、やはり分布の中心は北日本で、西日本で庭にハリギリの木があるなどまず考えられません。そもそもハリギリは巨樹になる樹種であって、北海道の道東地方の農家など広い敷地にあるのならばともかく、関東以西の狭い庭にハリギリなんてあったらじきに巨大になって困るでしょう。秋の落葉も掃除が大変ですし。



西砥石権現 (にしといしごんげん) のハリギリ巨樹
西砥石権現は高城山の前衛の山で標高1457mです。ブナの原生林に覆われた山ですが、巨樹になる樹種としては、ブナトチノキミズメツガが目立ちますが、やや標高が低い所でモミカツラが大きくなります。ただし幹周がせいぜい3mか4mまでです。徳島平野の平地の寺社林では普通に幹周が7mとか8m、ときには10m超のクスノキやイチョウが沢山ありますが、ブナ原生林の中にそんな大きなものはありません。どうみても、本当に巨大な木は平地 (人里) にあります。 
↓ 写真は2015年9月23日撮影。場所は西砥石権現の南東斜面、海抜1350m

ハリギリの巨樹
↓ スギほどではありませんが、かなり真っ直ぐな幹です。幹周3m超の幹、つまり直径1mの太い幹が20m近く上まで枝が無いまま伸びているので大きくみえます。幹の太さがあまり減衰せずに高く伸びているので、長尺の板がたくさん採れそうで、用材の価値は高いのではないか?
真っ直ぐな幹
↓ 専用の道具なしに樹高を目測するのは難しいですが、実は簡単です。正方形の板を対角線にそってカットすると、直角二等辺三角形ができます。直角を挟む二辺は同じ長さです。3つの角は90度、45度、45度です。これを利用します。この三角板の45度の角に目をあてて、三角板の底辺の先を根元に合わせ、斜辺の先を木のてっぺんに合わせる場所まで後退しますね。そこから根元まで巻尺で実測すれが、それが樹高と同じです。測定原理はしごく簡単です。で、このハリギリは樹高約30mです。 問題があるとすれば、それは木のてっぺんが樹種によっては分かりにくいことです。スギやモミなどの針葉樹は分かりやすいです。広葉樹は分かりにくいです。それと、木のてっぺんが根元からの鉛直線上になくズレていることも多いので、適宜補正が必要です。
はるか上で葉を展開する
幹周は3m31センチ! 立派なハリギリ巨樹です。
幹周は3m31センチ


●下掲のYou Tube動画ですが、10月18日に剣山から下山するときに登山リフト (下山リフトか?) から撮ったものです。ハリギリの巨樹が写っています。ちょうど4分30秒に索道の右側にある大きな木がハリギリです。リフトの上から観察しましたところ、おそらく幹周350-400センチのレベルではないかと思います。

また、ちょうど2分のところで、索道の左側にツガの巨木が見えています。幹周は300-350センチのレベルであろうかと思います。ただし、その場所は海抜1650mぐらいのところで、ツガ → コメツガ への移行帯にあたります。で、コメツガの可能性もあり得ますが、画像からは同定不可能。葉を手に取れば、葉の大きさが異なるから識別できますが、写真や画像から見分けるなんてできないし、またするべきではないでしょう。


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