雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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株立ち巨樹の幹周についての “環境省測定法” はおかしくないか?
株立ち巨樹の環境省測定法は、数字が過大になりすぎて、巨樹を前にしたときの実感からはかけ離れている!
環境省の生物多様性センターが示している 巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル によれば、巨樹が根元付近から複数の幹が立ち上がるいわゆる “株立ち” の場合には次の図のように測るのだ、と言っています。 (リーフレットの7ページから借用)

株立ち巨樹の幹周の求め方

●上の図に示された株立ち巨樹の測り方には、大いなる違和感を持ちます。とにかく数値が異常に大きくなってしまいます。極端なことを申せば、主幹の幹周200cmの周りに直径4cmの細いもの (幹周12cm) が9本出ているだけでも幹周308cmで巨樹です。そう極端なことを言わなくても、幹周200cmの周りに直径11cm (太り気味の人の腕ぐらい) が3本で幹周の合計が302cmで巨樹になってしまいます。実際にその程度の物は吾輩が観察した中でも沢山ありました。で、環境省基準に準拠すれば巨樹になってしまう株立ち樹はけっこうあるのですが、全部無視 (割愛) しました。メインの幹が幹周200cmあれば可ということですが、幹周300cmと比べるとやはりかなり小さいです。それに細い枝みたいのが3本加わっても大して巨樹には見えません。この株立ち巨樹の基準は緩すぎですし、複数の幹周を単純に総計するのは、やはりおかしいです。間違っていると思います。株立ち巨樹という場合には、主幹は惜しくも300cmにちょっと足りないとか、せめて250cm以上は欲しいところ‥。ようするに、本来1本だったであろう太い幹がいくつかに分割した場合、分割した幹周の合計は本来の太い幹よりも遥かに長くなってしまうということであります。

株立ち巨樹の環境省測定法が、数字が過大になる理由。
環境省の巨樹・巨木林測定マニュアルが言う測定法で、株立ち巨樹の幹周が異常な数値になる理由はハッキリしています。文章では説明しにくいので図をこしらえました。本当は四角でなく円形のほうがいいのですが、円形では作図が難しくなるのと、四角の方が周長の比較が簡単です。

図形を分割したら外周長は長くなる

●なぜ、株立ち巨樹の基準があまりにも緩く、おかしな測定法になったのか? 勘ぐれば巨樹の数を増やしたい意図がありはしないか? 巨樹を増やせば増やすほど担当するお役人の利権が拡張します。ま、巨樹みたいなものではあまり利権にはならんと思いますが、ちょっと調べてみても関係の民間会社や任意団体などあるようで、そういう所に天下ったりとか? 巨樹の数を増やし社会の巨樹にたいする関心や調査熱を煽ればいろいろ仕事になりましょう。その樹種の性質として巨樹にならないものまで調査対象に加えているなども、まさに巨樹を増やす意図が見え透いています。


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株立ち巨樹は1本の幹に統合し、その仮想の1本幹の外周を計算で求めるのがいいのではないか?
と吾輩は考えるのであるが、具体的な例を上げて敷衍します。下の写真は南あわじ市 (旧 三原町) 八木にある八木八幡神社の鏡内のシイノキ (樹皮が深く裂けるスダジイ) です。
大きなシイノキ (スダジイ)
↓ 地面から30センチぐらいの低い所で2分岐しています。主幹は主幹で地面からちょうど130センチのところで3分岐しています。結局4分岐する複雑な幹です。
4本に幹が分かれている
↓ 上を見上げたところです。
見上げたところ
↓ 主幹は地上130cmで幹周297センチ
地上130cmで幹周297センチ
↓ 地上100センチでは幹周275センチ。
地上100cmで幹周275センチ
↓ 分岐した4本の幹周は次の通り。
それぞれの幹周長

●左側の主幹はちょうど地上130cmのところで3つに分岐しています。分岐したところでは膨らみがあるから少し下のくびれたところを測ると幹周は275センチです。 これを幹周275センチの主幹とみなすか、いや3つに分岐しているではないか! と分岐した3つのものと看做すか微妙なところです。

●さて、3つに分岐したものと看做すと、その3つの幹の外周の長さは165cm、165cm、93cmです。幹はほぼ円形 (円柱) であるから外周長に囲まれた円の面積は、2167、2167、688平方センチとなります。これがそれぞれの幹の断面積ですが、合計すると5022平方センチです。これは分岐した3つの幹をくっつけたものです。仮想の1本幹の断面積です。この5022平方センチから幹周を計算すると、251cmという数字が得られます。275センチと比べると9%少ないですが、これは分岐した幹を地上130センチで測りにくかったので若干上で測っていることと、275センチというのは地上100cmでの数字であり、さらに30センチか40センチ上では当然減るであろうと考えられるから、ほぼピタリと一致していると考えてさしつかえありません。165+165+93は423センチですがそんな現実離れした浮世の数字よりも、251センチのほうがはるかに実体に近い数字です。このように、左側の主幹はもし幹が分岐していなかったならば、地上130cmで幹周250か260センチぐらいであっただろうと推定できます。 なお、297センチという数字は幹が分岐する箇所が膨らむためで、これも過大な数字です。

さて、以上試算した “分岐した複数の幹を合体させたものを、1本の幹と解して、その仮想1本幹の幹周を計算で求める” という考え方は、樹木は幹が太い1本であろうと複数に分岐しようと、その根周り規模がおなじであれば樹冠の広がりはほぼ同じであるという観察に基づいています。また、森林内での単位面積あたりの葉量は樹種や林分構造が同じならば、ほぼ一定であるという森林生態学の教えに基づいています。つまり、その樹の根周り規模が同じならば、葉量も同じで光合成で生産される同化物質量もおなじで、それが1本の幹に集中しようが、複数の幹に分散しようが、総量は同じであるということです。




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