雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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環境省の調査の網から漏れ落ちたかわいそうな巨木・巨樹たち。    兵庫県南あわじ市編 (その10)
●目下、南あわじ市内における巨樹・巨木林調査を行っていますが、何を巨樹とみなすか? 環境省基準の地面から130センチの高さで幹周3m超のものが対象巨樹です。幹周の計測は難しい面があるのですが 巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル に従っています。環境省では過去2回全国的な規模での調査を行い、その調査の成果が1990年3月と2001年3月に報告書としてまとめられました。それによると南あわじ市には巨樹は20本ということになっています。いくらなんでも少なすぎです。例えば、諭鶴羽神社の大スギも、大日寺の夫婦スギも、次回紹介する淳仁天皇ゆかりの市陵墓参考地の超巨大クスノキも抜けています。これで調査したなどと言えるのか? という疑問があります。調査漏ればかりです。

●ハッタリでもなんでもなく、吾輩の予想では南あわじ市に100本前後は巨樹・巨木があります。それを立証したいと思います。こういう自然史 (Natural history、博物学とも訳す) の調査で大事なことは、徹底的な網羅主義であり、悉皆・全数調査であります。一つも漏らすことなく (すくなくともその精神で) その地域のすべての巨樹を網羅して記述するということでありましょう。エラそうなことを申すようですが、これには動植物の観察や調査をされている方からの反論はないと思います。ただ問題は環境省の2回目の全国調査から15年が経過していることです。申すまでもなく樹木は年々大きくなり幹は太ります。また、大木も年月が経つと枯れたり台風で倒れたり都合で伐採されます。巨木数は流動的です。吾輩がしているのは2015年時点での調査なのですが、以上のことを考慮して幹周3m以上の巨木を次のように2分類します。

①、環境省の調査の網から漏れ落ちたかわいそうな巨樹幹周3m40以上
これは2000年時点で幹周3m以上あったと推定される巨木です。15年間での幹周の増加量は不明なのですが、巨木の切り株の年輪幅の観察から、幹周の増加量の範囲は0.5~5センチ/年と推定します。0.5センチは老木で欠損が多く生長がかんばしくない巨樹の場合で、5センチは肥沃で厚い土壌・土壌水分多い・日照良好と好条件のところの生長が早い樹種で若木です。普通は1~3センチ程度であろうかと試算しました。で、幹周が3m40センチ以上のものが該当します。なお、巨大切り株があって、その木が2000年時点で生存していたと確認できるものは含めます。

②、参考巨樹 (将来3回目の巨樹・巨木林調査の対象)幹周3m40未満
幹周が3m40センチ未満のものが該当します。ただし、老木で欠損が多く、幹の大きさにたいして小枝・葉の分量が少ないものは生長が悪く幹の太りも緩慢と推定されるので、3m40センチ未満であっても ① に該当と判断したものもあります。




環境省の調査の網から漏れ落ちたかわいそうな巨木・巨樹たち ファイル13
クスノキ科 クスノキ 幹周3m68cm
南あわじ市 (旧 三原町) 神代富田 のT氏の屋敷森の端にあります。南あわじ市経営の市営住宅が4棟並んでいますが一番奥の棟の横です。個人所有の巨樹です。個人でこんな巨樹を所有しているなんて本当にリッチですね。金銭的なことではなくこんな巨樹・巨木を所有するのが本当のリッチではないか? T氏を訪ねて調査の許可を頂戴しようとしましたが、ご不在でしたので勝手に計測しました。
枝張りは雄大である
見上げたところ
枝の張りは雄大で、主幹・大枝ともに全く欠損がありません。根元を見ても根上がりではなく、大木なのに幹や木全体に若々しさがあふれています。今後もグングンと生長して幹周5m、6mを目指すでしょう。このクスノキの根元の右側にマダケ (真竹) がありますね。6月上旬~中旬にタケノコが出ますが、T氏はタケノコを自給できそうです。本当にリッチでうらやましい限りです。
まだまだ生長しそうな感じ
幹周は3m68cmです。
幹周は3m68センチ



環境省の調査の網から漏れ落ちたかわいそうな巨木・巨樹たち ファイル14
クスノキ科 クスノキ 幹周3m28cm
南あわじ市 (旧 三原町) 神代社家 の上田八幡神社にあるクスノキです。大きな枝が伐り払われており、主幹にも欠損がみられ樹高も低すぎです。幹周3m超の巨木の割に樹冠が小さすぎます。よって幹の太るスピードは遅くなると判断、幹周3m40センチに満たないのですが、2000年時点で3mに達していたと推定します。
上田八幡神社のクスノキ
見上げたところ
幹の下部がくびれる
幹がやや横に寝ているので根上がりの上端から130センチのところを測ると、太枝が分岐した膨らみにかかってしまします。これは異常な膨らみなのでもっと下のくびれたところを計測すると3m28センチです。
幹周は3m28センチ



参考巨樹 6 (将来3回目の巨樹・巨木林調査の対象)】
クスノキ科 クスノキ 幹周3m23cm
南あわじ市 (旧 三原町) 神代国衙 久度神社の社叢林にあるクスノキです。主幹・大枝ともに欠損がなく生育良好そうで、かつ3m40センチに満たないので参考巨樹とします。
久度神社のクスノキ
根上がりではない
幹周は3m23センチです。
幹周は3m23センチ



参考巨樹 7 (将来3回目の巨樹・巨木林調査の対象)】
ブナ科 シイノキ 幹周3m09cm
南あわじ市 (旧 三原町) 市福永 の若宮神社のシイノキです。最近、このシイノキの大枝が無残にも伐採されました。伐採のしすぎです。幹にサルノコシカケ科と思われる得体のしれないキノコも出ています。目に見えるキノコというのは、菌学で言う子実体で植物の花に相当するのですが、キノコの本体は幹の材に蔓延する菌糸体です。癌細胞が健康組織を浸潤するように、このシイノキの幹は菌に侵されています。そこに加えて過剰なる枝の伐採です。極めてヤバイ状況ですわね。枝の伐採がなければキノコが幹を浸潤するよりも幹が太るほうが勝り、幹が空洞になりながらも意外に持ちこたえたりするものですが、これでは非常に厳しいと言わざるをえません。伐採に関わった人々にバチが当ったのではないか? 巨樹・巨木をみだりに触ると恐いものですよ。
大枝を伐採しすぎ
キノコが幹を浸潤している
幹周は3m09センチです。
幹周は3m09センチ



参考巨樹 8 (将来3回目の巨樹・巨木林調査の対象)】
モチノキ科 クロガネモチ 幹周3m11cm
南あわじ市 (旧 三原町) 神代地頭方 の北池という池の北側に天王社があり、その小さな社叢にひときわ高く聳えるクロガネモチの巨木です。高さがあります。亜高木層の上に突き抜けて大枝を広げています。太い幹がその太さをあまり減衰せずに天空高くそびえ立つさまは、まるで巨大神殿の巨大な柱を見るようです。幹周は3mぎりぎりセーフですが、実際の木ははるかに巨大に見えます。他の樹種は幹周が太いといっても根元だけとか、主幹の下部が太いだけです。それに比べるとクロガネモチの大木は高さがあり、真っ直ぐに伸びる幹はかなりの迫力があります。3mに満たないけど2m50センチとか2m70センチなどの準巨木が続々と控えています。クロガネモチは生長がかなり早く、数十年後には旧 三原町内でクロガネモチの大木が沢山見られることでしょう。

なお、波田先生 は 「樹高も高木としてはあまり高くならない」 と言い、Wikipedia も 「高木に分類されるものの、自然状態での成長は普通10m程度にとどまり、あまり高くならない。」 などと言うのですけど、旧 三原町では素晴らしい大木になりますね。30mに達しますね。三原町の人里エリアは地形的には諭鶴羽山系を浸食した土砂が厚く堆積した沖積平野~山麓扇状地です。肥沃で水はけがよく土壌が深いとか、クロガネモチの生育条件が非常によろしいのでしょう。

亜高木層の上に突き抜ける
太い幹が立ち上がる
幹周は3m11センチです。
幹周は3m11センチ


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