雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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環境省の調査の網から漏れ落ちたかわいそうな巨木・巨樹たち。    兵庫県南あわじ市編 (その3)
●淡路島南部には ホルトノキ が沢山あります。柏原ー諭鶴羽山系の南側にも北側にも山裾に点々と自生が見られますし、寺社によく植えられます。 洲本市千草丙にある猪鼻公会堂 の横に淡路島最大のホルトノキがあります。幹周は約5m。どぎもを抜くような巨木でこれは環境省の巨樹・巨木林調査の網に引っかかっています。環境省調査では4m81センチです。

「岡山県には自然分布はない。おそらく冬季の低温が分布を制限しているものと思われる。」 と波田先生が言うように、ホルトノキは兵庫県本土側にも分布していません。兵庫県植物目録 (兵庫県産維管束植物5, 128頁) に記載されているホルトノキの標本はすべて淡路島産であります。ホルトノキは関東以西 (以南) の温暖地・沿海地の樹木であるようです。淡路島は瀬戸内海上に浮かぶ離島なので冷えづらく、最低気温の記録は-6.1度でしかなく、冬の寒さに締まりがありません。で、寒さに弱いホルトノキも何とか越冬できるのでしょう。つまり分布の北限線ギリギリに自生するハズなのに見事な大木になります。南あわじ市の寺社林にホルトノキは非常に多いのですが、自生ではなく植栽品の感じですがみな大木・準大木だらけですわ。ただ、南あわじ市に多い樹木なのに認知度が極めて低い木です。ほとんどの住民は本種の名前を知らないようです。あちこち調べて廻っていると 「これ、いったい何の木やねん?」 と聞かれます。



環境省の調査の網から漏れ落ちたかわいそうな巨木・巨樹たち ファイル2
ホルトノキ科 ホルトノキ 幹周   cm
9月4日付け拙記事の十一神社の鏡内 にあります。木の根元から樹冠を見上げたら圧倒されるような巨大さです。巨木・巨樹といっても、実物を目の前にしたらその迫力に圧倒されるのですが、写真では全くみすぼらしくなってしまいます。で、このアングルからの写真が一番その巨木の迫力を表現できるのではないか?
巨大なホルトノキ

↓ この木は根上がりが顕著です。環境省の巨樹・巨木調査マニュアルでは、「根上がり」 はその根上がりの最上部から130センチ上の幹周を測ります。いったいどこが、幹と根との境界なのか? 非常に分かりづらいし、人によって解釈が違い異論が出るところでしょうけれども、本稿は環境省の調査のいい加減さを立証する目的もあるので、数字が過大になるような疑惑ある測定の仕方は極力避けなければ‥‥。なお、現在幹周300センチ超であっても、環境省の2000年調査時(全国からの報告集計時)に300センチに満たなかったと推定できるものは、調査漏れの数にはいれません。15年間で幹周がどれだけ増加するかは樹種・生育環境でケースバイケースで、推定しづらいので、現在幹周330以下は数に入れない方針といたします。
根上がりが著しい

●で、肝心の測定結果ですが撮ってきた写真がピンボケで使いものになりません。近々、再度撮ってきます。なお、基準の300センチは軽々とクリアしています。
どの高さで測るか再検討して、3m80センチとしました。(9月10日拙記事)



環境省の調査の網から漏れ落ちたかわいそうな巨木・巨樹たち ファイル3
ホルトノキ科 ホルトノキ 幹周591cm?
↓ 同じく十一神社にあるものですが、巨大な切り株が残るだけです。環境省の2度にわたる調査でも発見されることなく、幹周も測られることなく、人知れず消えて行った可哀そうな巨樹です。老朽化が著しく幹に空洞ができて危険なために2014年7月に伐採されました。1989年や2000年の環境省の巨樹・巨木林調査時には100%間違いなく生存していた巨木です。調査から漏れ落ちた巨木です。吾輩も過去何べんでもここにきて確認しています。でも幹周は測らなかったなあ。測っとけば良かったと思うけど後の祭。

↓ 写真の手前にホルトノキの巨大な切り株 (ファイル3) があります。切り株の右にあるのは石碑です。写真の向こう側の木がファイル2のホルトノキです。
写真手前に切り株、向こうにファイル2のホルトノキ

↓ 別の角度から見たところ。
別の角度から見た

↓ 幹の真ん中に空洞が出来ていて、空洞の地面は鏡内の高さより僅かに高いだけです。切口は空洞地面から90センチの高さです。この切株も根上がり傾向なので、根上がりの最上部から130センチはかなり上になりましょう。一体どれぐらいだっただろうか? 5m90よりはかなり少ないにしても5m前後あったのではないか? 数字では猪鼻公会堂の巨木級ですが、しかしながら老朽化が著しく主幹や大枝が欠損していてそう大木には見えなかったです。やはり、幹周という1つの数値・指標だけではその木の巨大さは分からない、と環境省も言っていますね。
切口の周囲を測った

↓ 5m90ですが、ただし本来はもっと上を測らなければなりませんが、今となっては測りようがありません。
5m90センチ

●なお、環境省の調査では、巨木が1本だけの 「単木」 と、複数の巨木がある 「巨木林」 に分けてカウントしています。寺社の社叢林は (いわゆる鎮守の森は) 小さくても巨木林と看做すということで、環境省の調査の手が及んだら十一神社には、「巨木林」 が1つとカウントされ、内訳として計測巨木が3本と明細されましょう。そういう定義というか基準になっています。


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ホルトノキの見分け方
ホルトノキとヤマモモの木は酷似しています。多くの人が騙されます。観察深い人ならば、よく見るとヤマモモとはなんか違うようだねと言うかもしれませんが、半数の人が 「この木はヤマモモだよ」 というわけです。「この木は、なんて言う木なのかしら?」 などと言う人は観察しているわけで、ヤマモモとは違うことに気づいています。

↓ ホルトノキの枝葉です。たしかにヤマモモににています。これでは騙される人が出るのは無理もありません。
ホルトノキの葉

↓ ホルトノキには赤い葉が混じっています。
赤い葉が混じる

↓ ホルトノキの葉は赤く紅葉したのちに落ちます。年中はらはらと紅葉が落ちてきます。
赤い葉が混じる

↓ ホルトノキの樹冠の下には赤い落ち葉があります。木に赤い葉が見られなかったら地面を見るといいでしょう。
地面に赤い落葉がある

↓ ホルトノキに全く赤い葉がないときもありますから、注意が必要です。いちおう年中紅葉して葉が落ちるといっても、季節的な消長があります。冬から春にかけては紅葉が非常に多いですが、夏から秋にかけては非常に少なくなります。で、ホルトノキには赤い葉があると思いこんでいたら、これまた騙されます。
赤い葉がない場合もある

↓ 騙されそうになったら、葉のギザギザを見たらいいのですが、ホルトノキの葉には、葉のふちに鈍い鋸歯があります。このギザギザの形状はややケヤキの葉に似ています。ヤマモモの葉には通常は鋸歯がないので見分けられます。
ホルトノキの葉には鋸葉がある

↓ ただし、ヤマモモの葉にも鋸歯が出る場合もあるので要注意です。何重にも騙される可能性があります。でも、鋸歯の形状は両種でかなり違います。
ヤマモモの葉にも鋸歯がある場合もある

↓ 決定的に違うのは花や果実ですが、ホルトノキの果実は楕円形で、緑色から熟せば青黒っぽく、夏から冬まで木に着いています。ちょうどホルトノキに紅葉が非常に少なくなる時季に果実があるので、果実を探すといいでしょう。花の時期はちょっとの間ですが、果実があるのは何カ月にも及びます。ホルトノキの果実の長さはせいぜい2センチですが、秋遅くに熟して食べられます。結構甘くて美味いですわ。
ホルトノキの果実


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