雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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環境省の調査の網から漏れ落ちたかわいそうな巨木・巨樹たち。    兵庫県南あわじ市編 (その1)
●前エントリーで巨木・巨樹の話題が出てきましたので、自分の住んでいる町の身近な巨木を観察します。巨木・巨樹の調査というのは環境省の利権なのですが、1988年~1989年に全国規模での調査および情報処理がおこなわれ1990年3月に報告書 巨樹・巨木林調査 報告書 (全国版) が発表されました。巨木・巨樹の国勢調査だと大変な話題になりました。1999年~2000年に再調査が行われ2001年3月に2回目の報告書 巨樹・巨木林フォローアップ調査報告書 が発表がされました。3回めの調査報告書はまだだと思いますが、わが南あわじ市でも沢山の巨木・巨樹が報告されました。吾輩が入会している植物調査会の会員にも巨木・巨樹調査に参加した人がいたようですが、吾輩は 「お役所が主導する調査などは、お役人たちの利権の一つ」 とぐらいにしか見ていないので一切かかわっていません。高みの見物でした。

案の定、報告書はかなり杜撰なもので、全国調査といいながら克明に調査された地域と、調査がきわめて手薄な地域との調査密度の濃淡が顕著です。専門家から子供達まで大勢が参加して調査したため、調査員の属性がまちまちで調査の正確さの担保も怪しげに思われます。とくに、巨木の幹周の測り方が問題で、測る位置の微妙な違いで数値が大きく変わってしまいます。でもまあ、全国的な巨木・巨樹の現況調査としてはそれなりに意義はあろうかと思うのですけれども、幹周の数値のみをもって巨木の順位をつけるのは好ましくないないのではないか? たとえば樹種によって樹形・樹姿が全く異なります。同じ幹周が12mの巨木であっても、横広がりのクスノキと比べると、天空高くそびえ立つスギは神々しいまでに巨大に見えます。それから、調査密度の濃さが都府県によってかなり違うわけだから、県別の巨木本数の順位をつけるのも無理があります。なんと都道府県別の巨木数の1位は東京都です。へえーっ? てな感じです。意外というよりも違和感を感じますね。東京都が1位になった理由の1つが山間部の奥多摩のある山域を徹底的に調査したことが反映しています。ならば、山国の県で原生林をしらみつぶしに調査すれば巨木本数はハネ上がるのではないか? 環境省の巨木・巨樹調査はいろいろと問題や疑問が多く、突っ込みどころ満載の調査であります。

●ま、しょせん調査なんてそういうものです。植物の分布調査、フロラの解明、などは調査が手薄ならばその地域の植物の種数は少ないですし、徹底的に調べれば調べるほど次から次へと新しい植物が見つかるものです。巨木でも同じで、野山や里を歩き回れば回るほどに、新しい巨木が見つかるものです。環境省の2回の調査で、わが南あわじ市では20本の巨木が報告されています。しかしながら、いかに調査から漏れ落ちた巨木があるかを順に示して(写真を撮り幹周を測ってくる必要があるので少し時間がかかりますが)、国 (環境省) がやる調査であっても実はかなりいい加減なものだということを立証したいと思います。 環境省の行った2回の巨木・巨樹調査の成果はデータベース化されていかす。奥多摩町森林館 巨樹・巨木林データベース で検索閲覧できます。わが南あわじ市から報告された巨木は20本です。以下がそのリストです。



旧 三原町は10本
南あわじ市 旧 三原町の巨木

【吾輩のメモ】 三原町2番のカエデの地所は神代社家、個人所有、欠損度は大枝枯損、空洞あり。 三原町10番のシイノキも地所が神代社家、個人所有、欠損度は大枝枯損、小枝枯損。 詳細な記録を近畿版の277-278で確認した。いったいどこなんだろうか? と思ったがこれで分かった。上田池の奥の一軒家 (現在は無人) だ。

旧 西淡町は9本
南あわじ市 旧 西淡町の巨木


旧 南淡町は1本
南あわじ市 旧 南淡町の巨木


●なお、旧 緑町からは巨木の報告はないようですが、南淡町が1本だけってなのはいくらなんでも変です。わざわざ調査に向かわなくても10本は思い浮かびますわ。要するに調査がされていないのでしょう。三原や西淡は比較的に調査が行き届いたと思われます。けれども、あそこにシイノキの巨木があったね、ここにも確かホルトノキの巨木があったよね、と調査から漏れた可哀そうな巨木たちが脳裏に思い浮かんできます‥‥。


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ちなみに‥‥
淡路島最大の巨木は兵庫県最大のクスノキ。(幹周900cm)

巨木 (=巨樹、環境省調査では両者を区別していませんが、用語を統一して巨木が使われています) とは地面からの高さ1.3mで幹の周囲が3m以上と定義されていますが、淡路島には幹周10mを超えるようなスーパー巨樹(?)はまだ見つかっていません。多分、ないでしょうね。下の写真のものが淡路島最大の巨木です。旧 一宮町のイザナギ神宮の夫婦大楠の800cmよりも100cm大きいです。なお、これは環境省調査から漏れてはいません。


兵庫県洲本市鮎屋 にあります。楠大明神がお祀りされていますが、このクスノキそのものがご神体なのかも? 
兵庫県最大のクスノキ 楠大明神側から
楠大明神 御神体はこのクスノキ?

↓ 反対側に回ってみました。鮎屋多目的集会施設という建物があります。鮎屋地区の公民館なのか? あるいは別の施設? 広い庭は楠大明神の鏡内地なのかな?
反対側から見たところ
鮎屋多目的集会施設

↓ このあいだ観察した徳島県・加茂の大クスと比べれば貧弱ですが、クスノキでは兵庫県一という巨木なので根元はそれなりに立派です。ただし、クスノキは根元が根上がりになる傾向の強い樹木ですが、ここのものは全く根上がりになっていません。おそらく根元に客土してかさ上げをしているのではないか?
根元はそれなりに巨大
根元に土を入れてあるようだ

↓ 環境省のデータベースでは樹高25mとなっています。けれども目測でそんなにあるとは思えません。幹の太さの割に樹高や枝張り横幅が少ない印象がします。で、よく観察したら、太い枝をすべて切り詰め剪定しているではありませんか! 茂り過ぎて樹姿をコンパクトにしようとしたのでしょうが、おそらくご神体の木を傷つけて誰かバチが当たったのではないか? 切り詰め剪定の切り口から出た枝は細く、2000年に調査された時は剪定前だったのではないかな?
大枝の伐り詰め剪定がされている

↓ 当地は鮎屋川の河岸段丘面の端 (段丘崖の上) にあります。写真は集会場の端から鮎屋川を見下ろしました。平坦面には田んぼがあり、段丘崖は傾斜が急なので田畑が出来ず樹木が茂っています。のどかな、とてもいい風景です。
このクスノキの立地は、河岸段丘の上にある
↓ 段丘面の風景ですが、すこし標高が高くなっているので遥か遠くがよく眺望できます。なんとなく高原の雰囲気です。遠くに先山 (せんざん、448m) が見えています
段丘の上は高原見たいな風景
↓ 先山にズームイン。
先山nズームイン



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