雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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夏のお花見に行こう! 剣山のキレンゲショウマは人気沸騰!(その2)
キレンゲショウマの分布について
2015年4月23日付け拙記事 から要約再録します。

●キレンゲショウマは剣山にしかないのではありません。石鎚山 がキレンゲショウマの基準産地のようですし、四国カルストの黒滝山にも、紀伊半島の大峰山系にもあります。九州の祖母山や白鳥山などにもあります。島根県の山にも自生が知られ、ようするに、キレンゲショウマは西南日本外帯のブナ帯~亜高山帯に点々と分布しているわけです。分布域からすると襲速紀要素 (そはやきようそ) の植物の典型例だといえましょう。分布が限られるといっても、西南日本外帯のブナ帯上部~亜高山帯に点々と自生し、中国にもあるというから日本固有種でもありません。

●ネット情報で、基準産地の石鎚山以外に、キレンゲショウマの確度の高そうな自生情報を探してみましたところ、次のような自生地点が見つかりました。
九州 祖母山九州熊本県 御三池 (おみけ)宮崎県 白岩山九州 市房山(11頁)、高知県 黒滝山高知県 筒上山徳島県 剣山(徳島県では剣山1か所のみ)、広島県 戸河内町(恐羅漢山あたり?)、島根県 匹見町奈良県 天川村・川上村(行者還岳、観音峰山?) 得られた自生地情報を地図にプロットしたら、分布図らしきもの (分布図もどき) ができてしまいました。

キレンゲショウマの分布

キレンゲショウマの分布域を概観すると、日本国内に大きく5か所であるといえましょう。 ①、大峰山系 ②、剣山系 ③石鎚山系 ④、九州脊梁山地 ⑤、中国山地西部 であります。ということは、西日本各地の人はキレンゲショウマの花を見るだけならば、剣山である必然性はないわけです。最寄りの自生地を訪問すればいいわけです。各地の自生地では山岳観光の目玉として顕彰し保護し案内看板を設置するなど、キレンゲショウマの見学をサポートしているようです。

●↓ 村田 源 : 『近畿地方植物誌』 大阪自然史センター刊, 4頁, (2004年) にキレンゲショウマの分布図が載っています。で、借用します。 広島県西部ならびに鳥取県西部のデータがプロットされていないので、それらが見つかる前のきわめて古い標本群をプロットした分布図かもしれませんが、こちらの方が信用なります。あるいは、ソハヤキ要素の植物であることを強調したいがゆえに、ソハヤキ地区から外れる自生地を無視したのかも? いずれにせよネット情報でこしらえた分布図もどきと比べて、それほど大きな違いはないようです。
キレンゲショウマの分布図


キレンゲショウマの剣山自生地の周辺環境
キレンゲショウマの自生地地図

●関係者がネットを張ってシカの食害を防いで残っている現存のキレンゲショウマの自生地は、標高1720~1750mあたりのようです。かなり急斜面で、石の多いガレ場で、ブナ帯上部と亜高山帯の境界付近の針広混交林の林床・林縁・ギャップといったような環境です。周辺の樹木が良く生い茂っているため光環境は必ずしも良いとは言えませんが、キレンゲショウマは比較的に耐陰性がある半日蔭の植物かも? 見ノ越にあるレストハウスの店先に植えてあるキレンゲショウマは陽光環境にあるのですが、生育は葉が陽に焼けているような感じに見受けられます。半日蔭を好む植物かもわかりません。キレンゲショウマ自生地の土壌水分を考えると、水分の多い沢筋というわけでもなく、また乾燥しやすい尾根でもありません。

かなり急な斜面にある
↑ 地元の人々がネットを張ってシカの食害を防いでいるキレンゲショウマの自生地 (保護地) です。白い花はツルギハナウド、黄色の花はオタカラコウです。
かなり急な斜面にある


キレンゲショウマは好石灰植物か?
自生地の地質は石灰岩層
●付近の岩石は石灰岩 (炭酸カルシュウムが主成分) です。付近には崖地や岩峰が多く荒々しい地形ですが、崖の岩石はみな石灰岩です。ならば鍾乳洞がありそうですが、そういえば行者が修行をする洞窟がありますよね。以前覗いたことがあり、今回も覗いてみましたが凍りつくような寒風が吹きだしていて気持ちの悪い洞窟です。探検隊を編成してザイル等で身の安全を図りながら調査するレベルで、近づかないほうがよろしい。吾輩もただちにその場を離れたわ。石灰岩層は幅が狭く、行場のすぐ上方1800m以上はチャートで黒っぽい岩石 (二酸化ケイ素が主成分) です。石灰岩の岩場を目をこらして観察するとキレンゲショウマがありますね。保護柵の外にもわずかにあるようです。ただしシカが手を出せないような所にあります。おそらく剣山のキレンゲショウマは石灰岩の場所 (石灰岩が母岩の土壌の所) にのみ自生しているのでは?

↓ 保護柵・保護網の外であっても、岩壁などに僅かにキレンゲショウマが見られます。1株とか数株のごく小規模な自生が点々とあるようです。
保護作外では、岩場で僅かにみられる程度

↓ 見事な岩峰です。山水画の題材になりそうな景色です。
地形は急峻で岩峰がある


台風11号 (T1511) の大雨で崩壊した穴吹川源流の谷
↓ 穴吹川の源流の谷です。写真中央に谷があるのですが木が茂っているから分かりにくいです。台風11号の大雨で、この源流の谷が鉄砲水の土石流で崩壊したようです。写真中央のてっぺんに頂上ヒュッテが見えています。見晴らしのいい岩場の小ピークの上 (三五神社か?) から眺めた。


●四国東部を縦断した台風11号は、室戸岬の東側に上陸した後は進行速度が遅く、久しぶりに徳島県下に大雨をもたらしました。7月16日~17日の2日間の降水量は、気象庁の観測ではアメダス福原旭の512.5ミリを筆頭に、アメダス木頭で470.5ミリが目立ちました。観測網密度が数倍高い国土交通省の川の防災情報の観測では、勝浦川水系の殿川内の812ミリが最高だったように思います。剣山のすぐ南側の槍戸で552ミリでしたが、那賀川水系のあちこちで600ミリを越えました。しかしながら、日本屈指の多雨地帯のひとつである剣山系南側の降水量としてはそれほどでありません。この程度の雨量はこの地域では過去に頻繁にあります。谷の崩壊の程度から想像すると、1時間あたりの降水量で表わされる降水強度の強烈なもの (80ミリ/h超とか) が数時間連続したのではないか? 降雨強度が強ければ総雨量が300ミリでもメタメタにやられます。
谷に土石流が襲った
登山道が分断された

●谷に土石流が流れ落ちた結果、巨石が累々としています。浮石など不安定なものも多そうです。谷を渡って一ノ森へと向かう登山道が完全に分断されています。無理をすれば谷を横切れないこともないですが、いつ落石があるかもわかりません。写真では 「たいしたことはねえじゃないか」 と緊迫感が起こりませんが、実際には遥かに急傾斜の谷で危険なので立ち入らないように‥。おめえは立ち入っているじゃないか、と言われそうですが谷を渡っていません。谷の手前から見ているだけです。谷の手前までは来られます。

巨石累々、浮石もあり危険



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