雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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夏のお花見に行こう! 剣山のキレンゲショウマは人気沸騰!(その1)
やはり 「天涯の花」 効果はものすごい!
●昨日の2015年8月7日(金曜日)に、剣山の山頂直下の北東斜面に咲くキレンゲショウマのお花見に行って来たので、詳細にレポートします。 剣山の山頂直下の岩場や急斜面のガレ場に咲くキレンゲショウマが一躍有有名になったのは申すまでもなく、宮尾登美子の小説  『天涯の花』 (てんがいのはな) によります。徳島新聞に1996年8月から1997年2月まで連載された新聞小説ですが、テレビドラマ化もされてNHK総合テレビで1999年11月に放映されました。でも、まあ、吾輩は 『天涯の花』 などという 「こしらえもの」 には興味はございません。「こしらえもの」 とはつまり架空の作りバナシなのです。


残念ながら、新聞小説の文学的評価は低い
●吾輩は文学部国文学科の出身で、昔あちこちの文芸同人雑誌に参加していました。で、文学とか小説には大いに関心がありますが、古典文学でも現代文学でも 「実録」 に価値があるのであって、架空の 「こしらえもの」 には価値は乏しいと考えています。それは文学というのは歴史の記録であり、その時代を写す鏡であるべきだという考え方によります。実録として剥き出しのまま描こうとすると色々な理由 (政治的迫害を受けるとか) で差しさわるテーマや題材を、やむなく 「こしらえもの」 として描く作品は高く評価出来ます。それは形式的に 「こしらえもの」 というだけだからです。それから、新聞小説というのは一般的に申して、文学史的に評価は低いものです。そもそも大衆文学のきわみが新聞小説です。大衆迎合的なんです。新聞小説というのは鋳型にはまったものです。毎日連載されるから、一日に掲載される分量は原稿用紙3枚です。そのわずか3枚のなかで、起承転結とか序破急のプロットが要求されまです。そういう鋳型のなかで執筆されますから、文学としては不自然です。それから新聞読者にあからさまな迎合 (サービス) が行われます。まず第一に、その新聞読者の居住エリアが小説の舞台として設定されます。もし、全く関係ない土地が舞台になっている場合でも、不思議と、ハナシの途中から新聞読者の居住エリアとの関係性が出てきます。ようするに作為的なんです。主人公の先祖が新聞読者エリアの出身だったとか。そういう鋳型・パターン性があるのが新聞小説です。だから文学史的には評価が低いです。

などと申すと、『天涯の花』 を暗黙にこきおろしているみたいですが、別にそういう意図はありません。一般論を述べているだけです。それから 「小説」 は人間を描くものです。人間の苦悩であるとか、確執や葛藤を描いたり、不条理に鬱屈する声なき声を描くものです。小説とは花を描くものでは全くありません。花はただの背景です。たんなる舞台装置の道具です。にもかかわらず、たんなる舞台装置のひとつを見るために日本全国から剣山にわんさかと来るのはいかがなものか? 異常と言わざるを得ないです。ちょっと前に一世を風靡した韓国ドラマの “あのぺっちゃりした顔のメガネの主人公” に黄色い声を挙げていた姫どもの狂喜とどう違うのか? 全く同じですわ。つまりキレンゲショウマを見に来る観光客の9割は、自然観察でもないし、山の花の観賞でもないということなのです。 

●で、ホントはこの時期に剣山の自生地に来たくなかったのですが、キレンゲショウマは1属1種の特異な植物であり、日本の植物分類学草創期における日本人研究者の金字塔的植物であり、襲速紀要素 (そはやきようそ) の植物の代表例であり、観察の見どころが満載です。シャクナゲのような豪華さ・華麗さはないにしても、一応は綺麗な花です。で、つい来てしまいました。



また、来たわね。
↓ いつもの第1チェーン着脱場に着いたとき6時12分になっていました。完全に夜が明けています。昨日日が暮れたら寝たのにうっかり寝過ごしです。家を出たのが午前3時45分で、遅すぎ。2時に出るつもりだった。平日と言えども時期的に観光客の喧騒に巻き込まれてしまいそう‥‥。イヤな予感。えらいこっちゃあぁ!
第一チェーン着脱場に到着

●それにしても19.7度! ですか。いいですわね。ここの住民 (旧 一宇村の住民) にはクーラーは要りませんね! 大阪管区気象台の6時の気温が28.7度です。なんと9度も低いですわね。ちなみに7日06時の気温は京都で28度、神戸で29.1です。京阪神はスーパー熱帯夜地獄です。札幌でも21.3度、旭川で18.6度でした。徳島県西部の山間冷涼地は西日本の北海道といえましょう。涼しいのはうらやましい限りですが、でもまあ、冬は厳しいですわね。また冬になれば吾輩はスタッドレスに履きかえ、チェーン・牽引ロープ・スコップ・のこぎり・むしろ・砂一式を積み込んで雪を見にきますね。ウソみたいな話に聞こえるかもしれませんが、徳島県西部山間部にはよく雪崩注意報が出るんですわ。(徳島地方気象台が出します) 冬がくるのが待ち遠しいですね。


↓ 剣山スキー場 (つるぎ町の所管だが事実上の倒産) に到着。6時40分。中国最高の詩人、杜甫が生き返ってここに来れば 「スキー場破れてブナ林あり、ゲレンデ夏にして草木ぼうぼう」 って詠みそう。ここでヤギでも飼えばいいかも? 剣山ヤギ牧場! ヤギ乳は牛乳よりも濃厚で栄養があるんだけどなあ。
朝の剣山スキー場

↓ 夫婦池を通過してしばらく行ったら見えてきました。祖谷地方の名峰、三嶺 (標高1894m) です。歴史的には 「みうね」 と呼称されるが、登山者の間では 「さんれい」 と呼ばれることのほうが多いですわね。標高差1000mを尾根伝いに直登するので、見ただけで足が痛くなりそう。年寄りには登れない山。吾輩はもう一生三嶺に登ることはないでしょう‥。登る山ではなく眺める山です。富士山みたい。
夫婦池を少し行くと山嶺がみえてくる

↓ 6時55分に剣山登山口の見ノ越に到着。所要時間は3時間10分。途中、撫養街道から阿波街道に移る場所にあるファミマ阿波岩津橋北店で20分休憩したので、実質は2時間50分。走行距離は120キロ。吾輩の雑想庵から南淡路インターまで9キロもあるから、淡路島の出口からだと111キロです。
見ノ越に到着

↓ 朝7時では登山リフトは稼働していません。で、平安時代の人のように1時間かけて自分の足で登山道を登ってきました。標高1750m地点から西島駅の屋根を見降ろしたところ。出発前に気象庁の水蒸気画像を見たら、西日本に南からの暖湿気が侵入していました。上空に特別に寒気が侵入しているわけじゃないけど、強い日射で地表が温まったら午後に夕立ちが来るぞ。朝の山々にかかる雲からヤバイなという予感がします。
登山リフト終点の西島駅

↓ 昨日 (8月6日) は空気の透明度は低かったのですが、南風がでてきて瀬戸内海地方の空中の微粒子が滞留した汚れた空気を追い払ったためか? 太平洋上の比較的きれいな空気と入れ替わったためか? 昨日よりかなり空気の透明度が増しました。平地での視程は昨日はせいぜい2~3キロだったのに、今日は20~30キロ先まで見えますわ。ま、ここ1週間ほど無風状態で日を追いごとに空気が淀んでスモッグみたいになっていましたが、今日は一変、山の上の視程はさらによく明瞭ではないのですが愛媛県の山が見えています。
かすかに愛媛県の山が見えています

↓ キク科のコウモリソウ属の カニコウモリ です。四国から近畿地方以北の亜高山帯に分布する植物ですが、西日本平地には絶対にない植物で珍しいハズなのにこれを観察する観光客・登山者はいません。シカさんの不嗜好植物でしょうかねえ? 剣山のウラジロモミやシラビソやコメツガ等の林床や林縁で大群落を作っています。キレンゲショウマ自生地へ降りて行く登山道はカニコウモリのお花畑です。
カニコウモリの大群落
こんな花

↓ キレンゲショウマの自生地への登山道にテキサスゲートが設置されています。若干危険性があるのではないか? 降雨後とか、ガスがかかって樹木から霧滴が落ちて、木製丸木が濡れているとき、足の小さい小柄な女性や子供がスリットにはまり込まないか? 大の成人男性でも足場の悪さのあまりよろめいた拍子にねん挫とか? 今まで事故がなかったのだろうか? 留め金等でひょいと引っかけて開閉する扉の方がいいのではないか? 高越山の船越オンツツジ公園では留め金で引っかける扉式ですが、それで全く問題がないですわ。ぎょうぎょうしいテキサスゲートには違和感があるし、もしここで怪我をしたら責任の所在は?? 自己責任で突き放すことは無理じゃないかと思うけど‥。
自生地入口にシカよけのテキサスゲートがある

↓ 難行苦行の末に、やっとキレンゲショウマの自生地にたどり着きました。8時50分です。見ノ越を出て1時間50分もかかりました。じつはここはチョイチョイと行けるところではなく、それなりに健脚向きの、山馴れた人向きの、お花見場所です。遭難事故もしばしば発生しているようですが、『天涯の花』 に浮かれた観光客が気易く入山することが背景にありそうです。もし、山など登ったことが無い方には悪いことは言わないから、やめときなさい。
無事にキレンゲショウマの自生地にたどり着いた
こんな花

(拙稿は続く)



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