雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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剣山にハクサンシャクナゲを見にいこう! (その4)
●刀掛の松で朝飯の弁当を喰ったり、静岡県から日本百名山を登っているという男性と話をするなどで30分近く大休止をしたところ、元気がでてきて最後の胸突き八丁の尾根急登は意外に楽であったので、なんと7時59分に剣山頂上ヒュッテにつきました。ヒュッテでは三代目さんが忙しそうに大工仕事をされていました。新装オープンされているのですが、内装とかまだ残っているんでしょうかね。見ノ越を出たのが5時15分なので2時間44分かかっています。健脚家らしい静岡の方はスタスタと平地を歩くように先にいったので、吾輩は剣山の今朝の訪問者としては2番目のようです。

●本日の目的は第一に西日本では非常に珍しいハクサンシャクナゲの観察なのであります。第二には大変貴重とされる 「鑓戸(やりど)植物群落保護林」 の見学であります。山登りが目的じゃ全くありません。吾輩は登山家ではありません。山の上にそれがあるから山登りみたいになっているだけです。それに関係するのですが、行場の山腹崩壊の様子を詳細に聞きたいところですが、大変忙しそうにされていたので聞けませんでした。 (ま、これに関しては後ほど一の森ヒュッテの管理人さんに聞くことができた) ハクサンシャクナゲにかんしては徳島県のレッドデータ種なので写真をチラとお見せするだけで詳細は書けませんが、鑓戸植物群落保護林は立派な説明看板も設置されていて、登山家や観光客の方も一見の価値があります。ところが、残念なことにみんなジローギューに行ってしまいます。あんなのただの笹山ですわ。見るには秀麗な山で綺麗ですが登る値打ちがありません。剣山に登る登山者や観光客は、剣山の一番の見どころを見ないのは残念なことであります。案外、多くの人は自然なんて何の興味も関心もないようです。


新装オープンなった剣山頂上ヒュッテ 剣山頂上ヒュッテ公式サイト
剣山頂上ヒュッテに到着


以下、剣山山頂の写真ギャラリー (写真は2015年7月24日撮影)

↓ この巨大な岩石は、剣山本宮宝蔵石神社の御神体か? 人文科学的にはこれって磐座 (いわくら) ですよね。色々な宗教が未分化で混沌としていたアニミズムの先史時代には、ヒトは自然の猛威になすすべもなく畏怖し、同時に自然の豊かな恩恵に感謝しながら自然の摂理の中で生きていました。自然が怒ったりほほえんだりするのは自然物に神が座るからだと考えたのでありましょう。で、自然のあらゆる物の中に神が鎮座するなかでも、とりわけ巨大な岩石に高い神性を見出したわけで、巨岩は神そのものであり、ひれ伏す信仰の対象でありました。巨大な岩石に注連縄を張って手を合わすということが連綿として現代まで残っているということでありましょう。
宝蔵石
ご神体を触るというのはバチ当たりでありますが、近づいて岩肌を触ってみたり、裸眼ないしはルーペを用いた程度では、放散虫や珪質海綿などのミクロな化石は絶対に見えれへんわな、と思いながらも観察しましたところ、これって層状チャートですよね。剣山は秩父帯に属するのですが、秩父帯は東西に長く延びていて宝蔵石を形成する岩石と同じものが天神丸や高城山や雲早山の露頭で点々と見られますね。雲早山の北斜面をトラバースするスーパー林道ですが、一番標高が高くなったところ (1250mあたり) に層状チャートを観察できる見事な露頭がありますわ。
宝蔵石を観察
さて、登山者や観光客がこの剣山山頂の巨大な岩石を見て何を想うか? 「これはありがたい石なのよ、お陰を被るために手を合わせよう!」 と思うのか、あるいは、「これはただの岩石やんか、変わった石やけど何ていう岩石なのかな?」 と反応は二手に分かれそうです。ようするに、この巨大な岩石は、これを見るその人が文系的な人間なのか、理系的な人間なのかのリトマス試験紙なのですわ。


↓ 山頂のトイレは完成したようですが、まだ使用に供されていないです。 (26日オープンセレモニーがあった模様、剣山山頂にエコトイレ開所 飯泉嘉門知事らテープカット) トイレの前に説明文とも宣伝文ともつかない妙な文言の看板が2つあります。まるで新興宗教のキャッチコピーみたいです。何となく胡散臭さそうな団体名が記されています。なぜこの敷地が意味不明な財団の所有なのか? 不思議ですが、考えりゃこれほど眺望の利く山頂は東京の中心地並みの一等地です。たとえば電波中継所を建てるならば最高の立地場所です。この山頂の土地を所有するのは経済合理性があるのでしょう。それから、地元の官民連合体は剣山を護ろうと呼びかけていますが、その実、背後の 「全国の皆さん剣山に来てカネを落としてくださいな」 というホンネが透けています。で、つい砂糖に群がるアリを連想しますわ。冬期は避難小屋をも兼ねるというこの山頂トイレを建てた主体は誰なのか? 管理者は誰なのか? 肝心のことが分かりません。環境省やろか? ホンマは剣山は敬遠したい山なんですが、それは登るたびに、第一級の美しい自然の陰にひそむ美しくないヒトの習性や商業主義を見てしまうからに他なりません。平たく申せば、剣山は 「俗化されすぎている」 と言えましょう。 ま、中高年の登山ブームを牽引した団塊の世代が高齢化してきました。まもなく全国どこの山も静かになるのではないかと、期待されます。
山頂トイレは完成したようだ

↓ 剣山測候所の跡です。1944年から2001年まで行われた 剣山測候所の観測データ を見ると観測された最低気温の記録は-23.5度です。冬は厳しい冬山になります。
剣山測候所跡

↓ 山頂の隆起準平原の南東の端にある木製のテラスから北西ないし北北西方向を見たところです。頂上ヒュッテの屋根が綺麗になりましたね。
南側テラスから頂上ヒュッテを見る

↓ その南東テラスから西方向の山頂を見ました。朝早いので静岡から見えた方以外には誰もいません。風もほとんど無く、静寂のなかのすがすがしい山頂です。なんだか伊吹山 (滋賀・岐阜県境付近、1377m) の山頂に雰囲気が似ていますね。
東側テラス

↓ 山頂近くに来て逆に東方向をみました。やはり誰もいません。広い山頂を贅沢にひとり占めです。やっぱり人気の山は朝早くとか、お客さんでごった返す時間帯は避けるべきですわね。そもそも山に来てヒトの大群を見るのはバカげています。ヒトの大群を見たければ、ヒトの大生息地である大阪や東京へ行けばよろしいかと。
山頂の木道

↓ よたよたと木道を歩いて山頂に近付いてきましたが、この木道だいぶん傷んできましたよね。ぼちぼち改修時期が迫っているのでは? そのうち重量級のお客さんが踏みぬいてはまり、折れた板の先端で怪我をするかも? 吾輩は重量級ではありませんが、踏みぬかないようにと緩んだ雪原を歩く慎重さですわ。このままじゃ必ず事故が起こるかと‥‥。
平家の馬場
三角点の手前

↓ 三好市のライブカメラでありますが長いこと1年以上故障中です。三好市観光ライブカメラ で閲覧できたのですが、半年前ぐらいだったか 「剣山」 のアイコン画像が削除されてしまいました。もはや修理するハラはなさそうな感じです。冬の降雪状態などが確認できたので、なかなか人気があったライブカメラですが残念です。ま、山頂の気象条件は厳しく冬は-20度までいきますね。以前でも故障で閲覧不能は頻繁でした。
三好市のライブカメラ
三好市のライブカメラ

↓ 標高1955mの山頂に到着です。三角点の標石の周囲に注連縄を張っています。注連縄は聖域と俗域を区別する結界、山開きのお神輿を繰り出してこの注連縄の上にお神輿を置くのかな? 剣山本宮宝蔵石神社のお旅所か? (勝手な想像) 木道を外れてこの注連縄の内側に立って記念写真をする人がいますが、バチがあたりますよ。
山頂の注連縄

↓ 三嶺のコメツツジ群落は圧巻ですが、屈強の山登りしか寄せ付けません。替わりに山頂北側に少しあるコメツツジを観察ですが、すでに花期が終わっています。
すでにコメツツジの花期は終っている



山頂からの眺望
↓ 画面の左よりのやや尖った山が三嶺 (さんれい、みうね、1894m) です。旧 東祖谷山村の谷はけっこう深くて長大です。大台ケ原山の大杉谷みたい。遥かに石鎚山系の峰々が見えています。
三嶺と深い東祖谷山村の谷
はるかには四国カルストあたりの山々も眺望できます。
四国カルストあたりが見える
高知市あたりか? と思われる平野部がかすかに見えます。写真じゃわかりにくいけど、肉眼じゃ高知県沖の太平洋が良く見えていましたわ。
高知市あたりも見える


↓ 次郎ギューから三嶺に至る縦走路の尾根ですが、四国の岳人の間ではゴールデンルートと呼ばれる人気の縦走路らしいです。しかし、山登りじゃない者が見たら 「あの距離を歩くんですか?!」 と絶句するほかありません。良く見ると、距離が長いだけでなく、登ったり降りたり相当なアップダウンを繰り返していますね。見ただけでしんどそう。山登りの方々は異質な人種に思えます。 そういえば、植村直己がむかし日本列島徒歩縦断を敢行、北海道の北の端から九州の南の端まで3000キロを50日ほどで歩きましたが、正気の沙汰ではありません。企画としては面白そうですが、しんどそう。登山家という人種は歩くのが大好きなようです。結局、植村直己はマッキンリーの氷河の露と消えましたが、登山にのめりこむとロクなことがないようです。
次郎ギュウから三嶺に至る縦走ルート

↓ 秀麗な山容でひときわ目をひきます。徳島県第二の高峰の次郎ギュー (1930m) ですが、尾根では森林が成立できずに風衝草原のササ原です。尾根道で突風にあおられると飛ばされそう。
秀麗な次郎ギュウ

↓ 薄茶色のなだらかな尾根の山が塔丸(とうのまる、1713m)で、画面中央の山が矢筈山(1849m)。
矢筈山方向

↓ 遥かに徳島・香川県境の阿讃山地が東西走向にあり、少し手前の山塊は高越山(1133m)ですが、近接する奥野々山のほうが1159mと高いです。
高越山方向

↓ 画面の中央あたりに高越山 (1133m) が見えます。頂上ヒュッテの別館の遥雲荘は昔は東祖谷山村の村営山小屋だったかと。
高越山と遥雲荘

↓ 山頂から南を見ました。しかし、あまり特徴のない峰々が幾重にも重畳しているだけで、眺望は見栄えがしません。真南に室戸岬があるハズなんですが前衛の山々が邪魔して見えません。でも太平洋ならば見えています。南からの暖湿気が入り始めた初期に、前衛峰の間で雲が発生しはじめて、その雲が吹き上がって流れてくる光景は綺麗ですが、なかなかタイミングよく来れません。
室戸岬は見えない

↓ 山頂から東方を見てもあまりパッとしなくて見栄えがしませんわ。
東方向の眺望は見栄えがしない



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