雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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雨上がりの雲海を見に行ったが、見ノ越に客がいない。 (その2)    剣山が基準産地のトゲアザミが見頃!
すこし肩の凝る本日のお花見。お花見につきものの酒はなし。
●剣山が基準産地であり、四国山地の標高が高い風衝草原や林縁に自生するトゲアザミが見ごろを迎えています。トゲアザミは平地に見られるノアザミの変種という分類学的な位置づけであります。その特徴は、① 恐ろしいほどの著しいトゲと、② 茎や葉に毛が多く、頭花の基部にふっくらとしている部分の ③ 総苞の外片が鋭いトゲとなって斜上しているなどが特徴です。トゲアザミの分布は剣山系、石鎚山系、および赤石山地の標高が高いところです。

たぶんアザミ分類研究の第一人者の門田裕一氏の運営される 国立科学博物館植物研究部 「日本のアザミ」 のデーターベースを参考にしました。 当該種の詳細情報 → ノアザミ変種トゲアザミ



剣山を彩るトゲアザミの観賞価値はすこぶる高い
↓ 剣山地山頂付近の風衝草原や、標高がやや低い所ではブナ林の林縁やギャップの中で、トゲアザミのお花畑となっています。美しいアザミです。土質を選ぶようで、石灰岩地や超塩基性岩地 (蛇紋岩やカンラン岩など) のところにあるらしい。確かに写真背後の岩は石灰岩だ。
トゲアザミのお花畑

↓ 1か月ぐらい前から咲いているけど今が最盛期かな? という感じです。まだまだ小さな蕾が沢山あるので今月一杯は咲くのではないか? ひょっとしたらお盆ころまで花が残るかな?? ノアザミの変種であっても平地に咲くノアザミとは花期がかなりずれています。
観賞価値はすこぶる高い

↓ 近づいて見ると綺麗ですね。平地のノアザミはありふれた花ですが、ノアザミからドイツアザミという園芸種が作出されています。その観賞価値が高いノアザミの変種なので綺麗ハズです。これから夏~秋に色々なアザミ類が山野を彩りますが、秋咲きのアザミはそんなに綺麗なものではありません。お花見にはこのトゲアザミがよろしそうです。
アップで見ると頭花は豪華で美しい


トゲアザミの特徴
↓ 写真のものは草丈20センチに満たない小株ですが、シッカリと花がついています。地面の生え際の根生葉は枯れずに残っています。草丈が低いから茎の節間が詰まっていて葉が密生しています。注目すべきは葉のトゲです。鋭いトゲが沢山あり、素手で触れるものではありません。ちなみに軍手を履いて触ってみましたが軍手の生地を貫いて容赦なくトゲが手に刺さります。軍手を履いても触れません。これでは屈強の剣山のシカたちも手がだせないでしょう。つまりトゲアザミの物理的な盤石の食害防御策のまえには、本種はシカの不嗜好植物となっています。
20センチに満たない小株にも花が着くが、物凄いトゲ

↓ トゲアザミの頭花はたぶん200個とか300個の小さな花の大集団ですが、花の集団の基部に大黒様のお腹のようにふっくらとしている部分に小さな緑色の葉 (苞、ほう) が多数とりまいています。多数あるので全体をさして総苞 (そうほう) と呼ぶようで、1個1個の小さな葉は総苞片 (そうほうへん) です。その総苞片を観察すると、基部が幅広で先端が細いですが全体的に細身の小さな葉です。中央は白っぽいですが縁は緑色です。総苞片の先端は次第に細くトゲになっていて色はやや黒く斜めに立ち上がっています
総苞外片がトゲになって斜上する

茎や葉に毛が多いのも特徴らしい。たしかに茎には線状の長い毛がびっしりとあります。写真では分かりづらいのですが、ルーペで観察すると葉の表面には微小な寝た毛が少し見られる程度ですが、葉の裏面には小な線状の毛が沢山あり特に葉脈の上に葉はびっしりととあります。毛が多いのは高標高地の強風から身を守るためでしょうか?
茎や葉に毛が非常に多い

探せば必ず出てくる白花品!
↓ どんな花でも探せば色変りがでてくるものです。シャクナゲでも探したら白花のものや赤花のものが出てきます。あちこち歩き回って、たぶん数百個体 (500個体ぐらいか?) は見て回ったと思いますが、出てきましたね。白花のトゲアザミであります。トゲアザミの普通の花色は紫味の入った桃色ですが、さがしまわったら赤花とか出てくるかも??
探せば必ず出てくる白花品


訪花昆虫の観察
●トゲアザミの花には花粉や蜜を求めて沢山の訪花昆虫が集まってきます。観察しているとミツバチに似るのですが丸っこくて毛むくじゃらのマルハナバチ属昆虫が特によく目立ちました。四国の高山にいるのはミヤママルハナバチですが、漢字で書けば 「深山丸花蜂」 でしょうかね。マルハナバチ属は近づいたら刺されそうな気がして恐いけど大丈夫です。とてもおとなしいハチで捕まえたりしないかぎり大丈夫でしょう。たぶん。(吾輩はまだマルハナバチ類に刺された経験はありません)

東北大と山形大の生物多様性の研究者が中心となって運営している クラウドシステムを用いた市民参加型マルハナバチ類国勢調査 を参考にしました。 分布図は 生物情報収集システム から検索取得しました。


↓ これは夫婦池の近くで撮った写真です。ミヤママルハナバチは腹部背面がオレンジ色のマルハナバチです。
ミヤママルハナバチが花粉を運ぶ

↓ 以下の3葉の写真は剣山スキー場のゲレンデ草地で撮った写真です。ミヤママルハナバチの背面。こういう生態写真は毛の1本1本が識別できるぐらいシャープに撮らなければいけませんが、機材的に無理ですし、写真の修行がまだまだ足りません。ていうか吾輩は写真家ではありません。
ミヤママルハナバチの背面

↓ ミヤママルハナバチの頭部。頭の上にも肩にも花粉をたくさんくっつけています。体の両脇腹に大きな花粉玉をくっつけています。写真でクリーム色の丸い塊です。2個あります。花の蜜だけでなく花粉も集めて餌としているようです。
ミヤママルナナバチの頭部

↓ ミヤママルハナバチの側面。カメラを花の15センチまで近づけていますが、蜜を吸うのに一心不乱なので全く逃げません。こちらに気づいていないのか、気付いていても無視しているのか分かりませんが、ハチの一種だといっても危険性は全くありません。
ミヤママルナナバチの側面

↓ ミヤママルハナバチの分布図です。長野県を中心にして本州の中央高地に非常に多い種でありますが、四国の標高の高いところにもいます。
ミヤママルナナバチの分布



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